土を育てる: 自然をよみがえらせる土壌革命

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140819005

作品紹介・あらすじ

人と自然の関係が変わる!
生態系を回復させ、温暖化まで止める
「奇跡のカーボン・ファーミング」とは?

有効な温暖化対策「カーボン・ファーミング」としていま脚光を浴びるリジェネラティブ(環境再生型)農業。その第一人者による初のノンフィクション。
4年続いた凶作の苦難を乗り越え、著者が自然から学んだ「土の健康の5原則」。そこには、生態系の回復や カーボン・ファーミングのエッセンスが凝縮されている。地中の生態系のはたらきを阻害さえしなければ、あらゆる土が真に「生きた土」に変わる。さらに、やせた土地の回復は、農業の衰退、食料危機、環境破壊、気候変動問題などの対策にもつながるのだ。
21世紀のさまざまな課題解決の糸口となり、自然への見方が変わる、野心的な〈土壌のバイブル〉!

各氏絶賛!
米アマゾンで1000を超える5つ星レビューを獲得!

「土は生命現象の産物、そして生命のゆりかご。土から始まる環境革命の実践書」福岡伸一(生物学者)

「人が土を育て、土が人間を育てる。土をケアする営みは、こんなにも奥深く切実で面白い」森田真生(独立研究者)

感想・レビュー・書評

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  • 今週の本棚:養老孟司・評 『土を育てる 自然をよみがえらせる土壌革命』=ゲイブ・ブラウン著、服部雄一郎・訳 | 毎日新聞(有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20220625/ddm/015/070/007000c

    リジェネラティブ農業の本『土を育てる』刊行 | サステイナブルに暮らしたい
    https://sustainably.jp/dirttosoil/

    土を育てる 自然をよみがえらせる土壌革命 | NHK出版
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000819002022.html

  • 不耕起を説く
    アメリカらしく収益をテーマとして、常に合理的に感じる
    農業やるなら読まないと
    返却期限きたため未読

  • 朝日の書評を読んでこれは面白そうだと借りて読んだ.

    農業にさほど興味のない自分がなぜこれほど本書の世界に引き込まれたのか.それは著者のポジティブな語りによるチャレンジングな成功譚が一級のドキュメンタリーを観るようなドラマだからなんだけど,工業的農業という間違ったセオリーをひとつひとつ自身の経験でひっくり返し,最後には全くちがうものの見方に到達するという,農の世界に止まらない大切なことに気づかせてくれるからだろう.

    やり方を変えることよりも,見方を変えることの大切さを教えてくれる本でした.

  • ゼロ・ウェイスト・ホーム、ゼロ・プラスチック生活と服部さんの翻訳の本がとても良かったので、「土を育てる」も続けて読んでみました。

    農業に携わったことのない私でも、
    頑張って耕して、肥料入れて、消毒して、、、という農業のイメージと全く逆のアプローチはとても新鮮でした。

    土の6原則
    1.土を機械的、化学的になるべくかき乱さない
    2.土を覆う
    3.多様性を高める
    4.土の中に生きた根を保つ
    5.動物を組み込む
    6.背景の原則


    土の中に多くの有機物や水を溜め込める農地を作ることは、温暖化対策や洪水予防としても有効です。

  • k

  • 面白い。ただのノウハウ本ではない。確かに御多分に洩れず成功者の話ではあるが、単に農に限らない学びがあります。環境問題や人生哲学など。
    しかし成功者の話っていつも、失敗から学べ、が含まれている。でもそれは成功者の話なのだ。と思う。

  • 農業で土の栄養が大事なこと、土の栄養は微生物がどれだけ生息しているかに直結する。
    耕作や化学肥料は土壌の微生物を減らす方向に働き、土地がやせ細り、農作物の収穫量や栄養が減る。さらに、化学肥料を含んだ水分が川などに漏れだし、環境に影響がある可能性がある。
    長い目で農業を持続可能とするためには、化学肥料を減らし、土壌の微生物を増やすようにする。その方法として、カバークロップを使うことを本書で上げている。

    土壌の影響や農作物の収穫量、栄養などを科学的に分析出来ていれば、無駄に化学肥料や除草剤を使うことにならなかったのではないか?
    そこのなぜ?の部分が解明出来ていなかったから、化学肥料に頼ることになってしまったのか?

  • 化学肥料や農薬を使わない不耕起の栽培方法によって、持続可能で高い収益を上げる農業を実践している著者が、そのポイントと意義を説明してくれている本。この方法の根幹にあるのは、本書のタイトルにもあるように土壌を育て、そこに物質や生物の循環する生態系をつくることにあるということが分かった。

    筆者はこの方法のポイントを、次の6つの原則(原著では5つの原則だが、日本語版への前書きで6つになっている)として整理している。

    第一の原則である「土をかき乱さない」というところから、まず目からうろこが落ちた。農地は耕すものと考えていたが、耕すことによって土の中の構造が崩れ、水が滞留するための孔隙が失われる。また、化学肥料などによって化学的な環境をかき乱すことによって、微生物の生態系も崩れる。

    第二の原則は、「土を覆う」ということである。筆者は、カバークロップと呼んでいるが、秋から冬の間にも多年草などによって土を覆うことで、土の中の乾燥や雨による表土の流出を防ぐだけでなく、それらの草によって植物と土中の微生物との生態系が維持されることにより、休耕中も土中の化学的環境が維持・改善される。

    第三の原則が「多様性を高める」というものであるが、これが現代農業経営の観点からすると、最もハードルが高い取り組みかも知れない。筆者は、「多様性は良いこと」という一般論ではなく、その効用を科学的な調査に基づいて検証している。ここでの多様性とは、作物の多様性というより、カバークロップを含めた栽培種の多様性を意味している。そして、その効用は、何よりも土壌を改善することにある。

    土壌で微生物が活発に働くためには、窒素と炭素の比率が重要である。土壌生物にとって最適な比率を保つために、トウモロコシ、大麦、小麦などの炭素率の高い植物だけでなく、マメ科のような窒素率の高い品種を混ぜていくことが有効であり、そうすることで地表の作物残渣の分解が進むことを、自らの畑での調査なども踏まえながら説明している。

    次に第四の原則が「土の中に『生きた根』を保つ」というものである。根は、表土を保持し、土壌の保水性を高める機能があるということは認識していたが、物質循環の観点からは、土中から水や養分を「吸い上げる」機能しか果たしていないと考えていた。しかし、実際には、植物は光合成で作り出した糖類の多くを土中に放出しているという。それにより、土中の微生物との物質循環が生まれ、植物の側も多くの養分を受け取ることができるようになる。

    第五の原則は、「動物を組み込む」というものである。牛などの草食の動物の放牧は、カバークロップの生育を活性化し、土中の炭素循環を高める。筆者の放牧の特徴的な点は、超高密度の輪換放牧というものである。旧来の放牧では放牧密度は1,000㎡あたり数十㎏であるが、筆者の場合は、1,000㎡あたり79,000kgにまで上げていくというものとのことである。それを複数の区画に分けた放牧地をランダムに回していくという輪換放牧という方法で、放牧していく。

    放牧をするということは、肉牛の出荷などで、新たな収益源を生むことにもつながる。これは、その土地の収益性をいかに高めるかという視点で、筆者の取り組みの非常に重要な要素となっている。

    最後の第六の原則が、「背景の法則」である。これまでに述べてきた5つの原則に沿って筆者の農場で具体的な取組みをしているが、他の地域であればその地域に沿った品種の選定ややり方があるということだ。それぞれの農場の気候、土壌の特性などをよく知るということが、最も重要なことである。

    不耕起農業、有機農業といった取り組みは、環境保護や健康的な食品の提供といった観点から語られることが多いが、本書では農業経営の視点から、これらの取り組みの有効性が語られている。このような視点に立って農業のあり方を語っているという点も、非常に新鮮であった。

    土地から持続可能な高収益を上げるためにはどうすればよいかという点から見て、肥料や農薬、農耕機械に多額の費用が掛かる従来の農業は、必ずしも投資効率は良くない。また、土の中に蓄えられた炭素や窒素、微生物の生態系といった「土壌資本」を毀損しているという面で、持続可能な経営とも言えない。

    旧来の慣行栽培からスタートし、農機具や化学肥料のために多くの借り入れをしたところで雹や吹雪などの自然災害に見舞われ、手探りで農業のやり方を見直しながら経営を立て直していったという筆者の経験があるからこそ、不耕起栽培についてもあくまでこのような経営の観点から見た合理性を語ることができるのであろう。

    土を軸にした自然の循環の仕組みと農業経営という、二つの視点が組み合わさったユニークな本であると感じた。

  • そうやんさんのインスタで紹介
    https://www.instagram.com/p/Cfp-k0oPMfN/

    https://books.rakuten.co.jp/rb/17106414/
    より転載
    内容紹介(出版社より)
    人と自然の関係が変わる!
    生態系を回復させ、温暖化まで止める
    「奇跡のカーボン・ファーミング」とは?

    有効な温暖化対策「カーボン・ファーミング」としていま脚光を浴びるリジェネラティブ(環境再生型)農業。その第一人者による初のノンフィクション。
    4年続いた凶作の苦難を乗り越え、著者が自然から学んだ「土の健康の5原則」。そこには、生態系の回復や カーボン・ファーミングのエッセンスが凝縮されている。地中の生態系のはたらきを阻害さえしなければ、あらゆる土が真に「生きた土」に変わる。さらに、やせた土地の回復は、農業の衰退、食料危機、環境破壊、気候変動問題などの対策にもつながるのだ。
    21世紀のさまざまな課題解決の糸口となり、自然への見方が変わる、野心的な〈土壌のバイブル〉!

    各氏絶賛!
    米アマゾンで1000を超える5つ星レビューを獲得!

    「土は生命現象の産物、そして生命のゆりかご。土から始まる環境革命の実践書」福岡伸一(生物学者)

    「人が土を育て、土が人間を育てる。土をケアする営みは、こんなにも奥深く切実で面白い」森田真生(独立研究者)
    〈目次〉
    日本版に寄せて
    はじめに いちばんの師
    第1部 道のはじまり
    第1章 絶望からの出発
    第2章 自然をよみがえらせる
    第3章 リジェネラティブの目覚め
    第4章 牛が牛でいられるように
    第5章 次世代に引き継ぐ
    第6章 “自然そだち”
    第2部 理想の「土」を育てる
    第7章 土の健康の5原則
    第8章 カバークロップの偉大な力
    第9章 土さえあればうまくいく
    第10章 “収量”よりも“収益”を
    おわりに 行動を起こす

    内容紹介(「BOOK」データベースより)
    有効な温暖化対策「カーボン・ファーミング」としていま脚光を浴びる環境再生型農業。その第一人者が、4年連続の凶作を乗り越えた末に自然から学んだ「土の健康の5原則」には生態系の回復やカーボン・ファーミングのエッセンスが凝縮されている。地中の生態系のはたらきを阻害さえしなければ、農園から家庭菜園、ガーデニングまで、あらゆる土が真に生きた土に変わる。さらに、やせた土地の回復は、農業の衰退、食料危機、環境破壊、気候変動問題などの対策にもつながるのだ。21世紀のさまざまな課題解決の糸口となり自然への見方が変わる、野心的な“土壌のバイブル”!

    目次(「BOOK」データベースより)
    第1部 道のはじまり(絶望からの出発/自然がよみがえる/リジェネラティブの気づき/牛が牛でいられるように/次世代に引き継ぐ/ブランドをつくり出す)/第2部 理想の「土」を育てる(土の健康の5原則/カバークロップの偉大な力/土さえあればうまくいく/収量よりも収益を)

    著者情報(「BOOK」データベースより)
    ブラウン,ゲイブ(Brown,Gabe)
    気候変動対策「カーボン・ファーミング」として、いま世界で注目を集めるリジェネラティブ農業(環境再生型農業)の第一人者。アメリカ、ノースダコタ州で2,000ヘクタールの農場・牧場を営む。妻と息子の家族3人でたび重なる危機を乗り越えて、化学肥料・農薬を使わない不耕起の栽培によって、自然の生態系を回復させる新たな農業を確立した。彼の農場には国内外から毎年数千人の見学者が訪れるほか、講演やメディア出演も多数行い、世界中にそのメソッドを伝えている。アメリカ不耕起栽培者賞、天然資源保護協議会から成長グリーン賞を受賞

    服部雄一郎(ハットリユウイチロウ)
    翻訳家。UCバークレー公共政策大学院修了。「ゼロウェイスト」や「プラスチック・フリー」の実践的な取り組みがメディアで紹介され注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 農場経営者。気候変動対策として、いま世界で注目を集めるリジェネラティブ農業(環境再生型農業)の第一人者。アメリカ、ノースダコタ州で2,000ヘクタールの農場・牧場を営む。妻と息子の家族3人でたび重なる危機を乗り越え、化学肥料・農薬を使わない不耕起栽培によって自然の生態系を回復させる新たな農業を確立した。その農場には国内外から毎年数千人の見学者が訪れるほか、講演やメディア出演も多数行い、世界中にメソッドを伝えている。米国不耕起栽培者賞、天然資源保護協議会から成長グリーン賞を受賞。

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著者プロフィール

農場経営者。気候変動対策として、いま世界で注目を集めるリジェネラティブ農業(環境再生型農業)の第一人者。アメリカ、ノースダコタ州で2,000ヘクタールの農場・牧場を営む。妻と息子の家族3人でたび重なる危機を乗り越え、化学肥料・農薬を使わない不耕起栽培によって自然の生態系を回復させる新たな農業を確立した。その農場には国内外から毎年数千人の見学者が訪れるほか、講演やメディア出演も多数行い、世界中にメソッドを伝えている。米国不耕起栽培者賞、天然資源保護協議会から成長グリーン賞を受賞。

「2022年 『土を育てる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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