ズームバック×オチアイ 過去を「巨視」して未来を考える

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140818855

作品紹介・あらすじ

NHK人気番組、初の書籍化! 過去から見えてくる、激動の時代を生き抜くキーワード

ペスト、世界恐慌、オイルショック……過去の事例を徹底検証してこれからの世界を読み解き、未来への展望を示す。「自粛=空気を読む力を武器にする」「環境負荷を制限する新しいイノベーション」「連帯の精神が経済を変える」などウィズコロナの世界を生きるヒントが満載! 「世界の知見」オードリー・タン、マルクス・ガブリエルとの特別対談も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 「ズームバック×オチアイ」は、Eテレで放映されていた番組で、本書はそれを文字起こししたものである。だから、分かりやすいが浅く、番組を見た人には既視感があるシロモノだろう。私は幸いにも番組を見ていないので楽しく読んだ。ズームバック=俯瞰してみよ。一つの事象から、範囲も時系列も広く。

    オードリー・タンやマルクス・ガブリエルとの対談も収納されるが、折角の異才二人に対し、時間制限のせいか、表明的な会話でやや惜しい。

    下記、本著で気になった内容の抜粋。

    ラスコーの壁画に描かれたヨーロッパパイソンは、現在絶滅の危機にさらされている。そうした事象から、データを引く。陸上の哺乳類の全体重で比較する場合、96%が人間と家畜。野生動物はわずか4%しかいない。

    1618年にカトリックとプロテスタントの対立から30年戦争が始まった。教育こそが、人間を人間たらしめるものであり、戦争を避けられる唯一の手段だとコメニウスは考えた。文字や文章が読めない人にも得て伝えられ、言語や文化の壁を超え、全員が同じ知識を得ることができると言うコンセプトのもと「世界図絵」が作られた。

    ヴェルグルの奇跡。ゲゼルの自由貨幣理論を導入して大成功を収めた町。オーストリア・チロル地方の小さな田舎町、ヴェルグル。世界大恐慌の影響は、このヨーロッパの小さな田舎町にも波及していたが、価値が目減りするスタンプ通貨により再興。尚、この通貨はやがて政府に禁止され終了。

    ゲーテや孔子、ソクラテスの3人は、少なくとも自分の頭で考えることが大事と知っていた人たちだが、ソクラテスは死刑になり、孔子は大臣の座を失う。理解できる大衆がいなかったのかもしれない。大衆が作り出す人間の波(ヒューマンウェーブ) を意識する必要があるとすれば、その波に乗るのではなく、潜る関わり方をした哲学者がディオゲネス。ディオゲネスは、コスモポリタンという言葉を生み出した皮肉屋。家を持たず、酒の甕に住み、何でも欲しいものを与えると尋ねてきたアレクサンドロス大王に対して、日陰になるからどいてくれと答えた。

    ソニーの創業者でもある井深大が起草した設立趣意書。70年以上社内で伝えられてきた。そこには、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」。

    デモにより天皇が2度目の玉音放送を行った。都市における食料事情は未だ例を見ないほど窮迫し、その状況は深く心を痛ましめるものがある。この窮況を切り抜けなければならない。

    目的の曖昧な作戦は必ず失敗する。それは大規模組織を明確な方向性を欠いたまま指揮し、行動させることになるから。

    みんな違ってみんなどうでもいい、という寛容さ。誰が不倫しようと関係ない。落合陽一は私にとって、動向が気になる一人である。

  • 森を切り開くと病が来る 「過去を巨視して未来を考える」一冊 | OVO [オーヴォ]
    https://ovo.kyodo.co.jp/news/culture/a-1726729

    ズームバック×オチアイ 過去を「巨視」して未来を考える | 多彩な創作 | テレビマンユニオン | TV MAN UNION
    https://www.tvu.co.jp/product/202201_zoomback/

    ズームバック×オチアイ 過去を「巨視」して未来を考える | NHK出版
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000818852022.html

  • コロナ禍がもたらした社会不安、分断、孤独、格差等で苦しんでいる私達に対し、如何に現状をポジティブに考え、行動していくかを説いている本です。テレビのコメンテーターとして出演時の落合陽一さんそのままの忖度無く、飾らない洞察・意見はとても参考になりました。オードーリー・タンさんとの特別対談も興味深かったです。

  • 選ばれた14章のキーワードをざっと俯瞰。

  • 「愉快を求めて成長した企業」が刺さった。
    STAY SMALL
    BE AMATEUR
    小さなチームで一人ひとりが「没頭」することで面白いものが生まれる。
    たまごっち供養は日本的な価値のある無駄なものでしたが、今はそのような風潮はありません。無駄を愛せないとイノベーションは起こらないのではないでしょうか。→ほんと、その通り。イノベーションって色々な物事の組み合わせによるシナジーだと思うので、無駄かどうかわからないけどやってみなはれを繰り返していかないと生まれないだろうなと。

  • NHKの番組を観ていたので、本の方も読んでみた。
    過去の知識を知るだけでなく、トレンドとして昇華し、現在の動きをみる姿勢を真似したい。
    番組の方が、映像があるのでいいかなー

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1301466

  • 様々な感染症について、過去をさかのぼりなぞるのは面白いなあと思った。
    ペストだ、天然痘だと歴史に名が上がる世界的な感染症の蔓延した時代に、私たちは確かに生きた。

    エイズやエボラ出血熱などは森林の伐採、野生動物の捕獲などで、自然と人間の生きる境目があやふやになったところに付け込んでくるようにあらわれる。

    フィジカル(身体性)の喜び
    Lコロナで行動が制限されてから、体験やライブ感のあるものに対しての欲求・価値は再定義されている気がする。

    犯人探しや悪者をさらすことが目的ではなく、結果は改善であり、それに気が付いてもらう事。
    みんな違って、みんなどうでもいい。けど、自分の中の孤独・孤立を見逃さないで。
    みんなどうでもいいけど、みんな大切。

    意義深い言葉
    ソニー_「愉快」なものを求める

  • ズームバックでほっとかない視座。
    没頭と没入(ゲーム)をキーワーに。
    サードプレイスとしての祝祭は身体を持つ人間に必要だ。
    一元的ではなく多元的に関わり合いを持ちたい。
    ウィズコロナ時代に価値観を問い直す話なので一次情報の汲み取り方が参考になる。

  • 【推薦コメント】
    「過去を巨視して考える」―― NHKで昨年放送されていた番組をもとに作られていた本です。過去に立ち返って、現在の日本の在り方とのつながりを考えます。個人的には、この本の著者で筑波大学教授の落合陽一さんの考え方がとても新鮮で面白いと感じます!
    (現代システム科学域一回 M)

    【所蔵館】
    中百舌鳥図書館

    OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000963449

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著者プロフィール

メディアアーティスト。1987年生まれ。JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。
東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。
筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授、京都市立芸術大学客員教授、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授、金沢美術工芸大学客員教授。
2020年度、2021年度文化庁文化交流使、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーなどを務める。
2017~2019年まで筑波大学学長補佐、2018年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員,デジタル改革関連法案WG構成員などを歴任。

「2023年 『xDiversityという可能性の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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