- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140817353
作品紹介・あらすじ
科学的好奇心が暴走するとき、理性は崩壊する。切り刻み、投薬し、極限状況まで追い込む-。NHK「フランケンシュタインの誘惑」待望の出版化!
感想・レビュー・書評
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積読をようやく読了。NHKの番組『フランケンシュタインの誘惑』の書籍化。歴史に名を残す科学者の功績に潜む闇の部分に焦点を当てたこの番組はとても面白く、普段は理系の理の字もわからない自分も毎回夢中で見ていた。怪奇趣味的な好奇心もあったことを否めない私も読んであらためて反省。誤った研究、理論の影には何も知らない多くの人々(その中には子供も)の犠牲があるということ。
第1章「切り裂きハンター 死のコレクション」
外科医・解剖学者のジョン・ハンター(18世紀イギリス)
第2章「“いのち”の優劣 ナチス 知られざる科学者」
人類遺伝学者オトマール・フォン・フェアシュアー(ナチスドイツ)
第3章「脳を切る 悪魔の手術ロボトミー」
精神科医ウォルター・フリーマン(1940年代アメリカ)
第4章「汚れた金メダル 国家ドーピング計画」
医師マンフレッド・ヒョップナー(1960〜70年代東ドイツ)
第5章「人が悪魔に変わる時 史上最悪の心理学実験」
社会心理学者フィリップ・ジンバルドー(1971年アメリカ)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いま振り返れば暴走と思える科学者も、当時はそれを推し進めるのに十分な背景、大義名分、意義があった。科学の暗い歴史を知ること、これから生まれる新しく魅力的な科学もあらゆる角度から評価することが大切。
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怖いもの見たさ
ひとは自制心以外に興味があると惨虐なこともできる
ホラーをみる気持ちなのか
扇動されたり、集団となれば非人道的なこともこれから起こりうる
しかし、人間は良識のもとで動くべきだ -
面白い内容だった。
ナチスが行ったユダヤ人を使った実験、そしてスタンフォードの監獄実験、残酷極まりないし、人の命をこんなにも簡単に切り捨てるのは本当に気が狂っていると思う。犠牲者の人は本当に運が悪かったとしか言いようがないし、自分がもし被験者の立場だったらと思うと背筋が凍る。
さらに残酷なのは、その実験がその分野の医学が発達するきっかけになってしまったということだ。
ゲノム編集しかり、今までSF映画や漫画の世界での話としか思えなかった「作られた人間」が将来本当に誕生するかもしれない。神への冒涜、そんな未来は滅んでしまうのか。
便利さとは、正直、国の権力争いに有利というだけで、人々の生活には何も還元されないし、逆に生きにくくなっていく気がする。人の欲が人生の豊かさを奪っていく。そんなことを考えさせられる本だった。 -
さまざまな犠牲や間違いを忘れずに、そして生かしていきたいと思った
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史実上の人体実験について好奇心や科学の暗黒面にフォーカスされており、とても興味深い内容でした。収録されているのが6放送分だけなので、シリーズで刊行してほしいと思いました
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たまたまAmazonで見つけて購入した。
逐一調べながら読んでいったが、年号や日付などに若干怪しいところがあるため、星3つ。
内容としては悪くない。
もう一歩踏み込んだ内容であれば嬉しかったが、それぞれのテーマの入門であろうから、致し方ない。
科学の歴史から、科学そのものが抱える課題や矛盾を浮き彫りにする試みは成功している。
池内了の「あとがきにかえて」は現在の科学者が陥りがちな状況が端的に記されていて良い。科学の一部が善悪の二面性を持つのではなく、科学のすべてが二面性を持つと言える。科学的真理は善悪無記であるが、ゆえに善悪の両面を抱えるのだ。
カントは「真善美」を価値とした。その後、「利善美」を唱えた人もいた。
しかし、利を求める風潮が強まっているいま、科学の世界においては再び真に重きを置き直す必要がある。