- Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140816448
作品紹介・あらすじ
94歳で亡くなった本人の言葉と、やなせさんを慕った漫画家たちの声、そして遺された詩とイラストで紡ぐ、やなせたかし珠玉のメッセージ!
感想・レビュー・書評
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人生の喜びも悲しみもしっかり見つめられるやなせたかしさん。子供の頃から大好きなアンパンマンを描いたやなせたかしさんの幼少期から亡くなるまでがぎっしりつまった素敵な本でした。90歳を越え引退を考えていたやなせさんが東日本大震災でとある活躍をされた話を初めて知り、やなせたかしさんの人柄を知り、人生の喜びだけではなく悲しみをちゃんと悲しめる人間味のある人柄だからこそ、強い時も弱い時もあるヒーロー、アンパンマンが誕生したのだと思いました。素敵な本でした。
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一番初めに、皆さんご存知「アンパンマンのマーチ」の歌詞が載っていて、これを見ていたら鼻の奥がツーンとしてきた。やなせたかしさんが来し方を振り返ったり、アンパンマンに込めた思いを語っているのを読み進めていく間も、ずっと鼻はツーンとしたまんま。西原理恵子さんがやなせ先生の思い出を書いている所で、あ~ダメだ、とうとう涙が出た。
テレビや雑誌で見るやなせ先生はいつも笑顔だった。身内との縁が薄く、辛いことの多い人生だったというのは、亡くなって初めて知った。長いこと売れなくて、アンパンマンのヒットは七十近くなってからということも、いつも笑いのネタにされていた。本書を読むと、どこまでもサービス精神旺盛で、偉ぶらず、明るくふるまっていた先生の姿が、生き生きと浮かんでくる。同時に、秘められていた悲しみの深さを知り、粛然とした気持ちになる。
学生の頃だったか、「詩とメルヘン」を毎号買っていた時期があった。なんといっても生意気盛りだった頃のこと、タイトルといい優しげな絵柄といい、買うのがちょっと恥ずかしく、ましてや持ってるのを友人に見られるなんて論外で、本棚の隅っこでママコ扱いしてたのを覚えている(ひーん、先生ごめんなさい)。今にして思えば、難しいところのないやさしい語り口の文や、温かい絵のタッチに、「通俗的」と斬って捨てることのできない真実味を感じていたのだろう。いつ頃か処分してしまって、これはとても悔やんでいる。
アンパンマンについては、もう語るまでもない。うちの子二人も大好きで、保育園のお昼寝布団、トレーナー、パンツ、靴、スリッパ、お絵かき帳…、とにかくみんなアンパンマン、なんて時もあった。親子ともにお気に入りだったのは、元祖フレーベル館の絵本で、なんとも渋い色合いが良かった。今でも大事にしている。きっと、これからもずっと、幼い子(とその親)に愛されていくに違いない。
西原さんの文章から。
「辛いとき、悲しいときにこそ、身近な所に小さなロウソクを灯すクセ。小さな希望や、小さな楽しみを見つけて、それに火を灯す。その小さな炎の小さな力で、持たされてしまった負のカードを、明るく楽しいカードへと交換していく」「戦争、飢餓、孤独、別離…そういう負のカードすべてを、とても楽しいお話に変えることで、幸せのカードにしてしまった」「先生、あなたの悲しみは、それはそれはきれいな花になって、今、あちこちで咲き誇っています」 -
アンパンマンのマーチもアンパンマンたいそうもジーンとくるのは、子どもたちから愛されるアンパンマンのイメージがあってこそというのは重要な気がする。
幼少期にアンパンマンを見て育ったからこそ、改めてその歌詞の深さに考えさせられ、勇気づけられている気がする。 -
やなせさんが本当に人を楽しませることがお好きな方だったということがよくわかりました。アンパンマンがこんなにも多くの人々に愛されるキャラクターになって喜んでおられただろうなと思います。
国語や道徳の教科書にやなせさんの伝記が載っていて興味を持ちました。教科書は子供向けなので、やはりいくつかストレートには書けない部分があるようで、お母様や弟さんとの関係がよくわからなかったのですが、これを読んで理解が深まりました。
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悲しみと後悔と別れ、どんなにつらい思いをしてきたんだろう。想像を遥かにこえるものだろう。その中でこれが好き!を認識し向き合っていったやなせたかし先生素敵すぎる。
昔の人は強いと耳にすることがあるが、何でもやっていかなきゃ食べていけないからやらなきゃ!って気持ちが強いのかもしれない。
やなせたかし先生は色んなお仕事をされてる。その全てが積み重なってアンパンマンを描けたのだと思う。アンパンマンの歌は沢山あるが、そのほとんどがやなせたかし先生の作詞であるから驚き。才能の塊。
この書籍は他の著名人からのコメントも掲載されているのが良い。立場が違えば見る視点が違うし考え方も違う。「あ~なるほどそういうこともあるか。」が連続する本。 -
子供の頃に好きだったアンパンマンが、子供ができてまた身近にになってきた。
うちの子(二歳)は、町でアンパンマンを見かけては、指差して「パンマン」と叫ぶ。本当に好きなんだね。
そんなアンパンの作者やなせさんの人生を描いた著書。
戦争体験や売れなかった時代の事(アンパンマンがヒットしたのは七十過ぎてからのそうです)、大震災で感じたことなど、が書かれています。 -
私はやなせたかし氏の一ファンです。
母からのすすめで読んだが、本当に氏は偉大な人だと再認識。直接話したことがなくても、氏のことを話せば顔が柔らかくなる人は決して少なくないだろうと思う。
簡単なことではないだろうけど、本当にやなせさんのような姿勢の人になりたいと思う。
自分の人生のお手本として読んでも、焦りが少し和らぐような、やさしい本になっている。
途中下車せずに立ち続けたら、あるとき目の前の席が空いた。人生には椅子取りゲームのようなところもある/正義とは、自分の身を犠牲にしてでも人を助けようとすること/キャラクターはそのうち勝手に動き出し、作者はあとをついていくだけ/後輩にも気を遣う本当に優しい人だった/主題歌はやなせさんの憲法のようなもの/『しあわせよカタツムリにのって』などの詩が紹介されているのも良い/叙情画が心を慰める/漫画の投稿を続けていると、新しい仲間ができた/収入があっても、クリエイターにとって芯のない生活はむなしいもの/考えてもいなかった別の運命が、自分の知らないところで進行して、それが突然に思いがけない形で人生に化学変化を起こす/なにかを夢見ていても、少年にも現実が見えてくる/コンプレックスを拭う時間が発酵期間のようにはたらく/漫画家は、代表作がなければ人の記憶に残らない/めぐりあいがあって、努力したから結果が出た/仕事がないときこそ自分の「仕事」をすればいい/儲けたお金をすべて人を楽しませるためにつかうとは、なかなかできない/震災時のアンパンマンパワーのエピソードは、本当に感動的/アンパンマンの歌の中の「夢」は世界の不幸を少しでも減らしたい、というような、みんなが共有している夢 -
涙が止まりませんでした。子供たちとよく見るアンパンマン。大好きなお話と、そこに隠された秘密の物語。心を突き動かされました。
やなせさんは、不遇の方でしたが、不屈の精神を持っていたのではないでしょうか。幼い頃の両親との別れ、戦争体験、売れない時代を経てあの物語があったことを、私は全く知りませんでした。
一時期アンパンマンなんて…と、思ったこともありましたが、大人になり、子供を持ったことで、その偉大さに気付かされます。
今は、無条件に大好きです。
他の作家さんから見たやなせさんの像。そこには、無償の愛を注ぎ続けるやなせさんの姿がありました。素晴らしい。
愛と正義について、深く考える一冊です。 -
なじ■
涙が止まりませんでした…… -
表紙も含めて掲載原画がすごくいい。叙情的というかなんというか。
これだけ長く人気が続いているアニメだというのにいまだに時季や地域によって放送時間が安定しないアニメというのはアンパンマンぐらいだろうなと。昔は関西では朝の5時半放送だったぐらい(今は6時15分)。ギリギリ深夜アニメといっても差し支えないんじゃないと思う時間に放送していているのに、子どもたちみんな知ってるんだからすごいアニメだと思う。
やなせさんの父親がやなせさんの母親に宛てた手紙に『文章や詩を書くこと、絵を描くことは一生続けていく。そして自分の著書を出版したい』という旨のことが書かれてあったらしい。その夢をやなせさん自身が叶えたそうだ。やなせさんの生き方はある意味サダメみたいなものだったのかもしれない。
東日本大震災の話で、子どもたちだけでなく、自衛隊の人たちまでアンパンマンのマーチに励まされたらしい。アンパンマンを自分たちに投影してたんだとか。自衛隊はアンパンマンと同じ自己犠牲の精神で救助してるんだろうしね。自分には真似できないけど、本当にすごい人たちだと思う。