- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140814994
作品紹介・あらすじ
東日本大震災の津波による甚大な人命被害は、「想定外」ゆえ仕方がなかったと言えるのか?震災の前後に三陸海岸の実地調査を行った著者が、さまざまな失敗事例の科学・工学的考察を踏まえ、「想定外」の事故・失敗が起こる要因を解き明かす。そのうえで、想定漏れを防ぐための対策や、突発的な事件・事故にどう対処すればよいかを提言する。今後の防災のあり方を考えるための指針となる一書。
感想・レビュー・書評
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「失敗学から見た津波被害の真因とは?」というタイトルに惹かれて読み(聞き?)はじめたけれど、単なる震災被害の検証本ではなかった。(もちろん、今回の震災における津波被害が甚大になった原因についても
1 先人からの教訓を忘れたこと
2 (行政をはじめとする組織の)最悪の事態への対策を怠ったこと
などを指摘。「見たくないものは見えない」といった人間の心理が想定外を生む構造についての指摘にははっとさせられた。)
「津波てんでんこ」(=自分の生命は自分で守る)といった防災教育の重要性、「マニュアル化により人は考えなくなる」(=先人が技術継承のため知恵を残しても後進は試行錯誤により学ぶことがないため偽ベテランになるおそれあり)などいろいろ考えさせられることが多かった本。ぜひおすすめしたい本! -
一番震災関係で信頼に足る内容を書いている人だと考える。
津波てんでんこの本当の意味を、この本を読んで知ってほしい。 -
「自分で」全体像を把握、マニュアル化の弊害、仮想演習、逆演算、あえて「悪意の人」となる姿勢など、実践的内容多数。想定外を想定しないのは『バカの壁』(養老孟司)にも通ずる話。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB0654238X -
防災に限らず、かなり有用な考え方。想定外でも、あり得ることは起こる。そのとき、全体像が分かっていれば適切に対応できるし、被害も最小化できる。ものづくりにおける暗黙知の重要さにも触れており、参考にしたい。自分の頭で考えて実践して、やっと身に着く大事な概念。
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テレビ講座を元にしていて、平易な内容。六本木の回転ドアの事故をきっかけとしたドアプロジェクトを軸に、暗黙知の消失による事故の発生を指摘。後半は、東日本大地震時の津波について、想定外を想定した対応について分析。
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[2013.13]発生した物事の問題点や失敗をその後に活かすための「失敗学」から東日本大震災を振り返る一冊。
「起こり得ること」は「起こる」のであって、ゼロでなければ何事も可能性はある。それはポジティブなことにもネガティブなことにも言えるだろう。
想定外を想定するためには「全体を把握すること」が必要。
新しい組織と、成熟した組織を例に挙げての解説も分かり易かった。
専門的なことを極めるプロフェッショナルになることは素晴らしいことだが、マニュアルに従っているだけでは、想定外のことが起きた時に対応できない。そのためにも常に、自分の目で全体を把握しておくことが大切なのだろう。 -
職場の係長が貸してくれたのである。
人間は妥協によって社会生活を営んでいますから、ある程度仕方無いとは言え、その結果問題が発...
人間は妥協によって社会生活を営んでいますから、ある程度仕方無いとは言え、その結果問題が発生した時には「想定外」と言う便利な言い訳で逃れようとする。それが残念です。
畑村洋太郎の「失敗学」の本は面白いけど、どれだけ準備しても失敗を根絶出来ないと思われているから費用対効果の結果、実行出来ずにいる。。。