ブレイン・ルール [DVD付き]

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140395028

作品紹介・あらすじ

脳の力を100%活用するための12のブレイン・ルール。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ〜いい本だ。こんな簡単な言葉で終わらせてはいけないのだろうが、まず第一声。私の書棚に、読みたいと思って購入したのに、その本の厚さがハードルとなって、読み始めることを拒んできたことを後悔している。もう、1年近く経過していたとは。”池谷裕二先生の高校生への授業”という切り口で、人間の脳の仕組みを解説した本『単純な脳、複雑な私』も良かったが、この本の良さは、「サーベルタイガーに遭遇するサバンナに降り立った自分」を想像させて人類の進化を短期間でヴァーチャル体験できたり、当たり前の行動として見過ごしていた永遠のように繰り返される「いないいないバぁ〜」をする子どものなかに埋め込まれた、学習の本能を解説してくれたり、実際の実験と講義を合わせ持って提示してくれるところだ。そして、何よりいきな感じしたのが、あれ程、壮大な脳内の旅をさせてくれながら、最後は身近な自分の2歳の息子との6メートルの通園途中のなかに、大きな人類の足跡に、未来の可能性に見せてくれたことだ。

  • 本書の主張は、職場や家庭の環境を、脳の働く仕組みにあわせて改善すれば、脳の力をさらに発揮できること。

    印象に残ったのは、記憶の4ステップ「コード化、貯蔵、検索(想起)、忘却」
    ⇒意図的に活用できるようにしたい!

    付属DVDはアメリカンジョークを交え、楽しく脳科学を紹介。

    12のルール。
    1運動、2サバイバル、3配線、4注意、5短期記​憶、6長期記憶、7睡眠、8ストレス、9感覚の統合、10視覚、​11ジェンダー、12探検

  • ★運動―運動で脳力がアップする
    ◎ 人間の脳は歩くようにできている──1日20キロメートル!
    ◎ 思考力を高めるには、とにかく動け。
    ◎ 運動によって脳に血液が送られ、エネルギー源となるグルコースと、余った有害な電子を吸収する酸素が運びこまれる。また、ニューロンの接続を維持するタンパク質が刺激される。
    ◎ 有酸素運動を週に2回するだけで、一般的な認知症にかかるリスクが半減する。アルツハイマー病にかかるリスクは60パーセント下がる。

    ・1回30分の有酸素運動を週に2、3回 + 筋力トレーニング


    ★サバイバル―人間の脳も進化をとげた
    ◎ わたしたちの頭のなかにある脳はひとつではなく、三つだ。最初にできたのが呼吸を継続させるための「爬虫類の脳」、次に猫の脳みたいな脳が付け足され、さらにその上に、大脳皮質とよばれるゼリー状の薄い膜がかぶせられた――これが三番めの強力な「人間の脳」だ。
    ◎ わたしたちは、変化そのものに順応していくことで、地球を征服した。気候の変化で食物の供給が絶たれ、樹上からサバンナへと降りることを余儀なくされたからだ。
    ◎ 四本脚から二本脚でサバンナを歩くようになったことでエネルギーが余り、その分が複雑な脳の発達に使われるようになった。
    ◎ 表象にもとづいた思考は、人間特有の才能だ。おたがいの意図や動機を理解して、集団で協調することが必要だったために生まれたものかもしれない。


    ★配線―脳は人それぞれに配線が異なる
    ◎ 生活のなかでの行動や学習によって、脳の姿が物理的に変化する――文字通り、配線し直されるのだ。
    ◎ 脳のさまざまな領域は、人によってそれぞれちがう速さで発達する。
    ◎ 同じ情報を同じ場所に同じかたちで保存している脳は二つとない。
    ◎ 知能にはきわめて多くのかたちがあり、その多くはIQテストの結果には表れない。


    ★注意―人は退屈なことには注意を向けない
    ◎ 注意を向けるための脳の「スポットライト」は、一時にひとつのことにしか焦点を合わせられない。マルチタスクはできない。
    ◎ できごとの詳細を記録するよりも、そこにあるパターンを認め、意味を要約するほうが上手にできる。
    ◎ 感情がゆすぶられると、脳が学習しやすくなる。
    ◎ 10分たつと聴き手の注意はどこかに行ってしまう。それでも、体験談を話したり、感情をかきたてるできごとをはさむと、聴き手の心をとらえておける。


    ★短期記憶―繰り返しておぼえる
    ◎ 脳には多くの種類の記憶システムがある。そのうちのひとつが、コード化、貯蔵、検索、忘却という4つの処理段階をたどる。
    ◎ 脳に入ってきた情報は、ただちにばらばらに分けられ、大脳皮質のそれぞれ異なる領域へと送られ貯蔵される。
    ◎ 学習したものがそのままおぼえられるかどうかを左右するできごとのほとんどは、学習の最初の数秒に起こる。この最初の瞬間に記憶を精緻にコード化すればするほど、記憶は強固になる。
    ◎ 最初に情報を脳に入れたときの環境を再現すれば、それをおぼえていられる可能性が高くなる。

    ・精緻、複雑であるほど学習がうまくいく。

    ★長期記憶―おぼえてなお繰り返す
    ◎ ほとんどの記憶は数分以内に消えてしまうが、こわれやすい期間を生き延びた記憶は、時間とともに強化される。
    ◎ 長期記憶は、海馬と大脳皮質のあいだで双方向に交わされる会話をつうじて作られる。最後には海馬が大脳皮質との関係を絶ち、記憶が大脳皮質に定着する――こうなるまでに何年もかかることがある。
    ◎ 脳は、現実のおおよその姿しか見せてくれない。なぜなら、脳は、新しい知識を過去の記憶と混ぜ合わせ、ひとつのものとして一緒に貯蔵するからだ。
    ● 長期記憶をもっと信頼できるものにするには、新しい情報を徐々に組み入れ、時間の間隔をあけて繰り返すといい。


    ★睡眠―たっぷり眠ればよく考えられる
    ◎ 脳はつねに、眠りにつかせようとする細胞や化学物質と、目ざめさせておこうとする細胞や化学物質とのあいだの緊張状態にある。
    ◎ 脳のニューロンは、眠っているあいだも活発でリズミカルな活動を見せる。おそらく、その日に学んだことを再生しているのだろう。
    ◎ 必要とする睡眠の量やどの時間帯に睡眠をとりたいかは、人によってちがう。でも、午後のお昼寝を求める生物学的な衝動は、だれもがもっている。
    ◎ 睡眠不足だと、注意や実行機能、作業記憶、気分、数量的能力、論理的推論能力、さらには運動の器用さが損なわれる。


    ★ストレス―ストレス脳はふだんどおりに学べない
    ◎ 人の身体にある防御システム――アドレナリンとコルチゾールの放出――は、サーベルタイガーのような、重大だが一時だけの危険に即座に反応するために作られている。険悪な家庭生活などの慢性的なストレスは、短期的なストレスに反応するためだけに作られたシステムを危険なまでに混乱させる。
    ◎ 慢性的なストレスがあると、アドレナリンのために血管に瘢痕ができ、心臓発作や脳卒中の原因になりうる。さらに、コルチゾールによって海馬の細胞に損傷が生じ、学習と記憶の能力が損なわれる。
    ● 個人の立場からすると、もっとも悪いストレスは、問題を制御できないと感じること――すなわち無力感をおぼえることだ。
    ◎ 感情面でのストレスは、子どもが学校で学習する能力や、職場での社員の生産性など、社会全般にわたって多大な影響を与える。

    ・学習性無気力感・・・逃れられないと感じ、それに伴って認知能力が崩れ去ること。

    ・P233 遺伝
    ジルは小学校にあがる前から父親のセックス相手。母親は神経衰弱で施設へ。
    7歳のとき、父親は家族全員の前でピストル自殺。母親の精神状態は悪化、ジルへの暴力も。
    ところが、ジルは、魅力的で、学校でも人気者に成長。成績優秀で、高校ではクラス委員も務めた。
    →ストレスへの耐性が強い遺伝子が存在する。

    ★感覚の統合―より多くの感覚を刺激する
    ◎ わたしたちは、あるできごとについての情報を感覚をつうじて吸収し、それを電気信号に変え(視覚でとらえたものや、聴覚から来るものなど)、脳のなかの別々の部分へと分散して送り、起こったことがらを再構築し、ようやく、そのできごとを全体として知覚する。
    ◎ 脳は、これらの信号をどう組み合わせるかを決めるにあたり、過去の体験にたよるようだ。したがって、二人の人が、同一のできごとをかなりちがうように知覚することがある。
    ◎ わたしたちの感覚は、連動して働くように進化した。たとえば視覚が聴覚に影響するように。だから、複数の感覚を一度に刺激すればもっともよく学習できる。
    ◎ においは記憶をよび戻す独特の力をもっている。それはたぶん、においの信号が視床を迂回して目的地に直接向かうからだろう。その目的地のひとつが、扁桃体とよばれる感情の管理人だ。


    ★視覚―視覚はどんな感覚も打ち負かす
    ◎ 視覚は、ほかのどの感覚よりも勢力が強く、脳の資源の半分を使っている。
    ◎ わたしたちが見るものは、脳がわたしたちに見せるものにすぎず、100パーセント正確とはかぎらない。
    ◎ 視覚の解析は、多数のステップをふんで行われている。網膜が光子を集めて、小さな映画のような情報の流れを組み立てる。視覚野がこれらの流れを処理し、ある領域では動きをとらえ、別の領域では色をとらえる。最後に、情報を再度組み合わせて、使えるようにする。
    ◎ 学習や記憶がもっとも進むのは絵を使う場合だ。文章や口頭で伝える場合ではない。

    ・P284 ワインのテイスティング実験
    赤ワイン・白ワインを形容するボキャブラリは決して交わることがない。
    白ワインに無味無臭の赤い染料を混ぜ、54人のワイン・テイスティングの専門家に差し出した。
    全員が、白ワインに赤ワインのボキャブラリを使用した。

    ★ジェンダー―男性と女性の脳はちがう
    ◎ X染色体は男性にはひとつ、女性には二つある。ただし女性のもつ片方はバックアップとしてとっておかれる。X染色体は認知の「ホットスポット」で、脳の製造にかかわる遺伝子をとてつもなくたくさんもっている。
    ◎ 細胞中の活性化されたX染色体には母親からきたものと父親からきたものとが混ざっているために、女性は遺伝的により複雑だ。男性のX染色体はすべて母親からきていて、Y染色体には遺伝子が100個以下しかない。かたやX染色体には約1500個の遺伝子がある。
    ◎ 男性の脳と女性の脳は、構造的にも生化学的にもちがっている。たとえば、男性のほうが扁桃体が大きく、セロトニンの生成が速い――だが、こうしたちがいが重要かどうかはわかっていない。
    ◎ 男性と女性は、激しいストレスにたいする反応のしかたがちがう。女性は左半球の扁桃体を活性化させ、感情にまつわる詳細をおぼえる。男性は右側の扁桃体を使い、要点をおぼえる。


    ★探検―人はみな生まれながらのたくましい探検家
    ◎ 赤ん坊は、わたしたちがどう学習するかを示す見本だ。環境に受動的に反応するのではなく、観察と仮説と実験と結論という段階をつうじて、積極的に検証を行っている。
    ◎ 脳にある特定の部位の働きのおかげで、こうした科学的なアプローチが可能になる。右側の前頭前野が仮説にある誤りを探し(「サーベルタイガーは無害ではない」)、隣にある部位が行動を変えろと告げる(「走れ!」)。
    ◎ 脳の全体に散らばっている「ミラーニューロン」のおかげで、わたしたちは、行動を認識し模倣することができる。
    ◎ 大人の脳にも赤ん坊の脳と同じくらい柔軟な部分がいくつかあり、生涯をつうじて、ニューロンを作り出し、新しいことを学ぶことができる。


    http://brainrules.net/
    http://www.nhk-book.co.jp/books/brain/rule/index.html

  • 12この内の一つ、「ワイヤリング」とは、個々の人の脳が独自の構造や回路(配線)を持っていることを指し、これは遺伝的要因や環境、個人の経験や学習によって形成されるため、誰もが異なる脳の構造と機能を持っている。

  • 脳の力を100%活用する
    Brain Rules:
    12 Principles for Surviving and Thriving at Work, Home, and School
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000395022009.html ,
    http://www.medinascientific.com/ ,
    http://www.brainrules.net/

  • The stress on humankind in ancient times was imminent. Modern stress takes time to resolve.

  • ・toppointで2020年版を読む
    ・ダンスをする
    ・決して引退してはいけない
    ・郷愁が持つプラスの効果

  • 2F

  • "人間の持つ脳。未だにその仕組みや機能すべては解明されていない。今時点でわかってきた脳の癖(とでも言えばいいのか)をわかりやすく解説した本。DVDもついている。このDVDもおもしろかった。
    人間はどんな世界を生き延びてきたのか?どんな環境を経て進化を遂げてきたのか?ということや、男女の違いから脳みそ働きを解説してくる。
    この本がきっかけで運動をしたくなった。運動することで生産性も上がり、健康な体になるのであればこんなにいいことはない。

    12のルールを備忘録としてメモしておく。
    1)運動 運動で能力アップ
    2)サバイバル
    3)配線 脳は一人一人配線が違う
    4)注意 退屈なことには注意を向けない
    5)短期記憶 繰り返すことで覚えられる
    6)長期記憶 覚えてもなお繰り返すことで定着する
    7)睡眠 たっぷり寝ることで思考が整理される
    8)ストレス ストレスがあると脳は学ばない
    9)感覚の統合 多くの感覚を刺激すると学びも早い
    10)視覚 視覚はどんな感覚も打ち負かす
    11)ジェンダー 男女の脳は違う
    12)探検 人は生まれながらの探検家"

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著者プロフィール

ジョン メディナ
分子発生生物学者
分子発生生物学者であり、ワシントン大学医学部生体工学科で教鞭をとっている。人間の脳の発達や精神障害の遺伝学的研究を専門とする。これまでに、ワシントン大学工学部の年間最優秀教授、メリル・ダウ医学生涯教育最優秀教授、バイオエンジニアリング学生協会年間最優秀教授(二度受賞)に選ばれている。著書に『脳の力を100%活用する ブレイン・ルール』(NHK出版)など。

「2020年 『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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