ジンメル・つながりの哲学 (NHKブックス)

著者 :
  • NHK出版
3.74
  • (23)
  • (27)
  • (44)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 372
感想 : 36
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140019689

作品紹介・あらすじ

社会になんとなく疎外感を抱くことはないか。自分の居場所などないと思えたり、自由に生きることを阻む檻のように感じたり…しかし、社会はあらかじめ存在するのではなく、人と人の日々のコミュニケーション=相互作用の集積から生まれるもの、そう考えれば、おのずと社会との関係の結び方が見えてくる。そして、「私から社会へ」を考えることは"ほんとうの自分"を振り返ることにつながる。個と社会の問題にこだわり、よりよく生きる道を模索したジンメル思想を現在を読み解くツールとして捉え直す、気鋭の社会学者によるスリリングな試み。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 菅野仁 「 ジンメル つながりの哲学 」 ジンメル社会学の入門書。人間関係論やコミュニケーション論が 社会学の分野であることを知る。

    社会(=人々の間に日々繰り広げられる相互作用の網の目)の定義に驚く。

    印象に残った言葉
    「自分以外は他者=他者は理解できない+自分を伝えきれないことが コミュニケーションのスタート」
    「夫婦や恋人であっても、秘密を認め合う 適度な距離が 必要」

    イラストが難しい概念の理解に役立つ

    ジンメルの思想
    *周縁性=些細なものから 人間や社会の本質を考える
    *生の哲学=直接的で体験的な生により人間を捉える
    *社会関係形成=相互作用=人々がお互いに影響を与え合いながら 関係を形成することで 社会が作り上げられる

    ジンメルの社会の定義(相互作用論的社会観)
    *社会=人々の間に日々繰り広げられる相互作用の網の目
    *社会を固定的に捉えるのでなく、関係形成のプロセスの流動性、動態性に着目
    *全体としての社会は 部分的な役割を個人に期待する→個人は多様な能力を活かす 全体的存在であろうとする

    「橋と扉」
    *橋=いま ここの場所を越えて、つながりたい欲望
    *扉=内と外の区別し、自分の場所を確保した人間が 内から外の世界へ踏み出す境界線

    他者(自分以外)とのつながり
    *他者は 完全な理解はできない存在、ときに 自分の存在を脅かす→自分自身のことも 完全に理解していない
    *社会関係の成立=自分すら完全に理解していない者同士が出会うこと=相手の事を理解することを前提としない

    (お互いに了解される ルールのある)闘争がダイナミックな人間関係を作る〜闘争は社会関係形成の一つ

  • ジンメルの「社会関係形成」(Ver-gesellschaft-ung)という概念は、人びとが互いに影響を与え合いながら関係を形成することによって社会が作り上げられている状態を意味しています。ジンメルはこのような発想に立脚することで、人びとの具体的な相互作用に焦点を合わせ、そこから見えてくる世界を描こうとしました。

    本書は、「ほんとうの私」を求めることや、「秘密」を持つこと、社会の中の「闘争」の意味、そして『貨幣の哲学』で考察されている、社会における貨幣の役割などについて、わかりやすく解説されています。

    ジンメルの入門書ですが、ジンメルの思想そのものを解説した本というよりは、ジンメルの思想を手がかりにして、社会と個人との関係についての著者自身の考察が展開されている本ではないかと思います。

  • ◆1/28オンライン企画「わたしの“モヤモヤ”大解剖―わがまま論・つながり論を切り口に―」で紹介されています。
    https://www.youtube.com/watch?v=GTaAW7pHRII
    本の詳細
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000019682003.html

  • 大学時代に所属した社会心理学ゼミの教本。人間を他者とのつながり、関係性の連鎖でとらえる。

  • 不遇の社会学者ジンメルの社会学・哲学の解説。
    社会という第三者が存在するのではなく、自己と他者の関係性の形成のなかに社会があるという視点だと思う。
    ここには、「生きる」とはという問いがある。

  • 人づきあいは難しい。現代は人との交流を純粋に楽しめる時代と書かれているところがあったけど、根っから人付き合いが苦手な人はつらいのでは…と思った。

  • 自分のことを書いている部分が面白い。

  • 社会を知ろう。大人になりきってしまう前に。

  • 難しい部分もありましたが、ジンメルのいってることはかなり日常生活に根差していてしかも現代にも通用することだなと思いました。特に現代では個々の人が複数の社会的役割を持つことが多く、それがバランスを欠くと幸福感・充実感が薄れるというのは説得力がありました。また貨幣についての論考は興味深かったです。

  • ほんとうの私、にかんしての考察が目から鱗。面白い。

全36件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年生まれ。東北大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程単位取得。東北大学文学部助手などを経て、現在、宮城教育大学教育学部教授・学長特別補佐。専攻は社会学(社会学思想史・コミュニケーション論・地域社会論)。著書に『友だち幻想』『教育幻想』(ちくまプリマー新書)、『ジンメル・つながりの哲学』(NHKブックス)、共著に『社会学にできること』(ちくまプリマー新書)などがある。

「2018年 『愛の本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

菅野仁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャン ボードリ...
エミール デュル...
アンソニー・ギデ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×