なぜヒトだけが言葉を話せるのか: コミュニケーションから探る言語の起源と進化

  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130820202

作品紹介・あらすじ

言語がどのように出現して進化したか? 相手の心(意図)を読むことが言語コミュニケーションに重要であると提起し,それを裏付ける理論およびデータをもとにして解説する.言語学,認知科学,進化生物学などの見解を通して平易に示した一冊.

感想・レビュー・書評

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  • 動物が行う原始的なコミュニケーションから現代の私達が使う複雑な会話の仕組みまでの「生物同士の情報の発信・受信」についてまとめられており、少々内容は難しいが図を想像しながら読むとわかりやすくて面白い。
    ただ、タイトルへの結論が「集団社会で行動するようになったことで起こった突然変異」なのが個人的にはあまり納得いかなかった。また、ヒトの言葉を理解出来る犬猫や私たちに近いチンパンジー、高い知能を持つクジラやイルカに対する「どうして他の生物は言語を持たないか」という点への説明がないわけではなかったが少々少なかったように感じる。

  • 【書誌情報】
    原題:Speaking Our Minds: Why human communication is different, and how language evolved to make it special (Palgrave Macmillan, 2015)
    著者:Thomas C. Scott-Phillips
    訳者:畔上耕介 石塚政行 田中太一 中澤恒子 西村義樹 山泉実
    ISBN:978-4-13-082020-2
    発売日:2021年06月30日
    判型:四六
    ページ数:372頁
    ジャンル:自然科学 > 生物

    言語がどのように出現して進化したか? 他者の心(意図)を読む能力こそが言語コミュニケーションに重要であることを提起し,それを裏付ける理論およびデータとともに説得力をもって解説する.言語学,認知科学,進化生物学などを統合した瞠目すべき見解を示した一冊.
    http://www.utp.or.jp/book/b577409.html

    【目次】
    目次 [i-v]
    凡例 [vi]
    謝辞 [vii-ix]

    序 001

    第1章 コミュニケーションへの二つのアプローチ009
     1-1 「いじる」ってどういう意味?
     1-2 コードモデル   
     1-3 意図の表出と認知  
     1-4 意図明示・推論モデル   
     1-5 自然コードと慣習コード   
     1-6 意味の二つの意味

    第2章 コミュニケーションシステムの出現061
     2-1 組み合わせ的コミュニケーション   
     2-2 信号と応答の機能的相互依存
     2-3 ニワトリが先か卵が先か  
     2-4 組み合わせ的コミュニケーションの成立し難さ 
     2-5 意図明示と推論――コミュニケーションへの第三の経路   
     2-6 組み合わせ的コミュニケーションの創出
     2-7 言語の起源における連続と断絶

    第3章 認知とコミュニケーション109
     3-1 語用論能力   
     3-2 会話の格率
     3-3 語用論の一つのパラダイム   
     3-4 再帰的読心能力と意図明示コミュニケーション――理論編
     3-5 再帰的読心能力と意図明示コミュニケーション――データ編
     3-6 協調とコミュニケーション

    第4章 意図明示コミュニケーションの起源161
     4-1 コミュニケーションと比較研究法   
     4-2 意図的コミュニケーションと意図明示コミュニケーションの違い
     4-3 大型類人猿のコミュニケーションは意図明示と推論を伴うか
     4-4 大型類人猿は自然コードでコミュニケーションするか
     4-5 ヒト以外の霊長類における読心能力
     4-6 社会脳   
     4-7 意図明示コミュニケーションの出現

    第5章 個々の言語を組み立てる207
     5-1 進化言語学   
     5-2 初期の意図明示コミュニケーション
     5-3 初めての象徴  
     5-4 語用論の観点から見た原型言語
     5-5 文法化について一言
     5-6 文化的牽引,そして個々の言語の自然さ
     5-7 言語進化におけるコミュニケーションの役割

    第6章 進化的適応255
     6-1 適応主義   
     6-2 言語能力と適応
     6-3 言語コミュニケーションと複雑な社会生活
     6-4 警戒と論証
     6-5 オオカミ少年を止めるには
     6-6 ヒトのコミュニケーションの進化的安定性
     6-7 言語は生物進化の大転換点か

    エピローグ 大問題に答える 299

    訳者あとがき(訳者を代表して 山泉 実) [303-308]
    用語解説 [45-50]
    参考文献 [15-44]
    索引 [8-13]
    索引 [2-7]
    訳者略歴 [1]

  • ふむ

  • 専門用語が多く最初は馴染めないが、文章自体は読みやすく、例題を多く用いているので理解がしやすかった。ヒトと霊長類の比較は、なかなか面白かった。意図明示コミュニケーションの進化的機能は、他者の心を読む事と、他者の心を操作する事であり、複雑な社会生活を生き抜くための道具。
    社会的批判が嘘に対する抑止力として働いているという意見に納得。
    言語やコミュケーションに少し興味を持ちはじめた人にオススメの一冊。

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