延命医療と臨床現場―人工呼吸器と胃ろうの医療倫理学

著者 :
  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130664073

作品紹介・あらすじ

医療技術の進展は豊かさとともに弊害ももたらし,さまざまな問題が生じている.生命維持の二大トピック「人工呼吸器」と「胃ろう」に焦点をあて,臨床医への豊富な聞き取り調査をもとに現場のジレンマを解きほぐし,患者中心の医療を実現する倫理のあり方を探る.

感想・レビュー・書評

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  • 人工呼吸器や胃瘻について質的研究としてまとめたもの。GTAを用いており、研究手法としてもとても参考になった。人工呼吸も胃瘻も「手段」であり、「目的」ではない。使い方次第である。現場のコメントのなかには、ちょっとやり切れないなあ、というものも多かった。「思考停止」がかいま見られたからだ。でも、そういうのもコミにしてGTAなんですよねえ。

  • 医療系の本は凄い勢いで内容が古くなる。だから、内容をそのまま活かすことは難しいかもしれない。でも、ガイドライン乱立期における医療の生の声を知るにはいい本だと思う。

  • ふむ

  • 人工呼吸器と胃ろうを中心として、延命医療に関する現状を把握するための一冊。
    その方法としては所謂、医者を対象としたインタビュー研究を用いている。故に内容は専門書に近い。単純な読み物として読み始めると痛い目にあうだろう。

    さて、感想なのだが、どうも満足がいかない。
    まず、研究としてこの本を読むと、内容のまとまらなさに疑問を覚えてしまう。かなりの人数の医者に対してインタビューを行っており、その各意見は琴線に触れるものがある。しかし、それらの意見のまとめ方に納得がいかない。要は在り来たりなのだ。一例を挙げると、患者と医者のコミュニケーションが重要となってくる、といったものがある。こんなのはインタビューを取るまでもなくわかることじゃないだろうか。要するに、結論に新規性が無い。故に研究として惹かれる部分が少ないのだ。

    次に、読み物としてこの本を読むと、内容の間延び感が鬱陶しくなってくる。インタビュー研究は基本的にローデータ(インタビューの内容そのままのもの)を載せるのだが、この本はそれが異常に多い。文章の半分以上がローデータで構成されている。なので、読んでいるといちいち邪魔が入るような印象を覚えてしまう。どうも内容が無いからローデータで補完してしまうダメな論文を読んでいる気分になった。

    論文を書く上で一つのデータとしては良書なのだろうが、読み物として読むのは決してお勧め出来ない一冊だった。

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著者プロフィール

東京大学大学院医学系研究科健康科学専攻博士課程修了。博士(保健学)。2012年東京大学大学院人文社会系研究科附属死生学・応用倫理センター上廣講座特任准教授、2017年から特任教授。著書は『延命医療と臨床現場』(東京大学出版会、2011年)、『長寿時代の医療・ケア』(ちくま新書、2019年)、『医療・介護のための死生学入門』(共編、東京大学出版会、2017年)、『臨床倫理の考え方と実践』(共編、東京大学出版会、2022年)ほか多数。

「2024年 『ACPの考え方と実践』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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