- Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130362382
作品紹介・あらすじ
近代への扉を開いた日本は,いかに“世界”と出会ったのか——「開国」に直面しヨーロッパ文明と対峙するなか,徳川政権初の欧州留学生としてオランダに渡った西周と津田真道をはじめ,福沢諭吉,小野梓,馬場辰猪など知識人の思想的格闘を描き,近代日本の国家構想を浮き彫りにする.幕末から明治憲法成立期に交わされた激しい議論を通じて明らかになる,この国のかたち.
感想・レビュー・書評
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近代日本の政治構想に西洋、特にオランダ経由の学識がいかなる影響を与えたのかを明らかにする研究書。分析対象は、明治初年における西周、津田真道、小野梓が中心となるが、比較対象として福澤諭吉や中村正直らも詳しく取り上げられている。西と津田の国法論、統計学論、万国公法論については、フィッセリングの講義や著書との綿密な比較検討がなされ、当時の西洋文明論との関係から彼らの思想が分析される。小野については、ハウドスミットのローマ法研究を土台としながら、歴史法学と功利主義を民法論・国憲論の中に取り込もうとした営為が析出される。本書全体を貫いているのは、19世紀ヨーロッパで新たに人口に膾炙した統計学や実証法学を整序したかたちで提示したオランダの政治学・法学の成果を西・津田、小野が日本社会の変革の武器として利用していくさまの描写である。同時に、この3人が功利主義から多大な影響を受けていたことも浮き彫りにされている。天賦人権論だけではない近代日本政治思想の諸相が明らかにされていると言えるだろう。
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僕のゼミの先生の大作です。
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読売新聞2011.01.31朝刊
《徳川幕府の学者としてオランダ留学した西周(1829~97年)と津田真道(1829~1903年)らに光を当て、近代日本初期の「西洋の衝撃」を新たな角度から描いている。》
ほとんどなされていなかった、二人がオランダで人文社会科学をいかに学んだかの研究だそうです。