後巷説百物語 (C・Novels BIBLIOTHEQUE 73-5)
- 中央公論新社 (2006年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (781ページ)
- / ISBN・EAN: 9784125009339
感想・レビュー・書評
-
この本って直木賞を受賞したんだよな、、と思い返しながら再読。
すごい・・・まったく内容を覚えていなかったです。私の記憶力が悪すぎるのだろう・・・漫画だと覚えているのに悲しくて悔しい。なのでこの感想を書くことにしたのですが。
それはそれとして、初めてな感覚で読みましたが面白かったです。
他の2作と違い、舞台は明治維新。なんだか明治と江戸では全然世界観が違うイメージですが、ちょうどそこをまたいで生きている人達が登場しています。
そして百介さんはとてつもなくおじいさんになっていました。百介さん本当に良い人です。良い人すぎます。好きだなと思います。
又さんのおかげなのか、運なのか、本当によかった・・・百介さん。と徒然に感想を書いてしまいました。
百鬼夜行シリーズの狂骨の夢と繋がってました。何十年経っても骨を探し続けていたんですね。というか又さんのせい・・・だったんですね。
由良さんも和田さんも出てきて、百鬼夜行シリーズのファンとしても大満足な1冊でした。
作品に関係ないのですが、いま速読の練習中です。死ぬまでに1冊でも多く本を読んでいきたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった( ´ ▽ ` )ノ。
諸般の事情から、最終巻である本書から読んじゃったけど、単品として十分楽しめた( ´ ▽ ` )ノ。
京極堂シリーズ以外は「何だかなー」的作品の少なくないサマー本だったけど(どすこいとか)、これはいい( ´ ▽ ` )ノ。
各編、えらくくどくてなかなか本筋に入らないけど、それがアヤシの世界に迷い込むための儀式として効果的( ´ ▽ ` )ノ。
どの怪異も結局は手品だった、というオチは、まぁおくとして( ´ ▽ ` )ノ。
小夜ちゃんかわいい( ´ ▽ ` )ノ。
ルーガルー同様、本書も重くて、手首の鍛錬になった( ´ ▽ ` )ノ。
2014.7.2 -
巷説シリーズ時系列的には最後の話。年を取った百介の語りに引き込まれる。最後は京極堂シリーズともリンクし、なるほど、と思った。シリーズ中最高の出来。
-
巷説百物語シリーズ3作目。前作から40年後の明治が舞台の連作小説。巡査が抱える現在進行中の事件について、隠居した百介が過去の見聞をもとにヒントを与えるというのが主な構成。途中まで前2作のほうが面白いと思ったが、最後の章の仕掛けはうならせる。文体や特に小夜の台詞回しが良い。最後のページは余韻を持たせる。直木賞受賞。
-
男鹿などを舞台とした作品です。
-
所々のエピソードを漫画版で読んでしまったので、いきなり「後」から読んだ。
-
維新から10年。この国は町も、世情も大きく変わっていた。
同心から巡査になった『剣之新』の持ち込む奇怪な話を、元藩士の『与二郎』ら4人の仲間で、古い文献を読みながらことの真相を探すも結論は出ず。雁首揃えて『薬掘の隠居』に相談を持ちかけてみることとなった。
薬掘の隠居とは、その名の通り枯れ果てたような老人だったが、昔は諸国を歩き、怪談の類をよく知っている男だった。
いくつかの不思議を解き明かす老人-百介は、今だ又市の仕掛けが生きていることに気づく。そして、自分の命をかけた初めての狂言を仕掛けたとき・・
百介は微かに、りんという音を聞いた。
-御行奉為(おんぎょうしたてまつる)-
小又潜りの又市が姿を消してから長い時が過ぎ、老人となった百介の口から語られる昔話。また彼らの仕掛けを聞けるのは嬉しいけれど、なんだかとても切なくなります。読むたびに、もう彼らはいない・・もうこの世に不思議はないと思わされるから・・
又市の仕掛けた百物語の狂言で幕をあけ、百介の仕掛ける百物語で幕を閉じる。粋な演出です。何も起きないと知っていながら、いや、知っているからこそ人は百物語などやりたがる。でも、此岸から彼岸へと誘う演出の中、ひょっとしたらという心の奥底に芽生える慄き。途中で止めることのできる逃げ道・・そんな百物語の終わりに人は何を見るのだろうか。
百介のもとに、小又潜りは現れたのだと信じたい。 -
明治の初めに現れ出でた怪異現象。嘘か真か持論を戦わす四人が向かうのは、一白翁と名乗る老爺の庵。そこで語られる老人の体験談。しかもその話には裏があり…
そう、ここでは物語はその名の如く語られます。語られるが故に、語り手の思惑が込められるんですな。そのことにより、話は二重三重の構造をもち、それが展開された時の面白みを生みます。前作、前々作を読んでいると、その多重構成がより一層楽しめますね。
また怪異について論議する四人の設定が巧いですな。怪異を頭ごなしに否定する者、怪異を理詰で否定する者、怪異を否定することに抵抗ある者、怪異を否定してしまいたくない者。それぞれの立場の違いが怪異を深く読み解く手段になっているのも面白いですな。
-
妖怪とはとても哀しい存在なのかなぁって。あちら側とこちら側で。
-
又さんの最後の仕掛けに感動。
切ない、「続・巷説」の終わり方からまた泣ける一冊。