すごい実験 (中公文庫 た 95-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122070059

作品紹介・あらすじ

空前絶後のわかりやすさ、驚天動地のおもしろさ!

地球最大の装置で、宇宙最小の物質を捕まえる!? 伝説の名著がついに文庫化!



「物理学者が書いた一般向けの物理の本を、不真面目で頭の悪い高校生だった僕は、最後まで読み通せませんでした。理由が大人になってわかりました。

 その先生方は頭が良すぎたのです。

 僕の強みは、「物理の本を読んでも、よくわからなかった」という、偉い先生方はたぶんしていないだろう経験をしていることです」(「はじめに」改変)



第一章 この世でもっとも大きく、もっとも精密な機械

第二章 人は、「小ささ」をどこまで想像できるか?―素粒子概論

第三章 「知」が切り拓かれる瞬間―スーパーカミオカンデはニュートリノをいかに捕らえるか?

第四章 100年後の世界のための物理学―相対性理論と宇宙について(ライトセイバー同士がぶつかると、ほんとに弾き合うんですか? オーロラに触れると、雷と同じように感電するんですか? ほか)

(文庫化に際し、補章も付す)

感想・レビュー・書評

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  • 「すごい宇宙講義」を読んで、多田将さんの説明は実に分かり易かったので、素粒子に関する本も読もうと思って早1年。
    ようやく「すごい実験」を読むことができました。この本もすごく面白かった。

    よく分かっていないニュートリノの謎を暴くための「すごい実験」を世界最先端の装置を用いて行っている多田さん本人が素人にも分かるように説明してくれています。
    だから、ニュートリノがどんなものだと考えられていて、それを証明するためにどんな実験装置が必要で、実際にどんな実験をしているのかがよく分かります。

    なぜ分かり易いかというと、理解するには難しい部分を多田将さん自身が良く知っていて、具体的にイメージしやすい例で説明してくれるからです。
    「とりあえず、こんなようなものだと思っておいてくれればいいよ。」と分かったような気にさせてくれます。
    湧いてきたモヤモヤ感を随時晴らしながら話を進めてくれるので、「もうだめだ。わからん!」とならず最後まで話についていけます。

    本書を読んでみようと思った人は、科学に興味を持っている人でしょうから、素粒子の入門書としては超お勧めの本だと思います。

    ときどき、思い違いをし易い話題にもサラッと触れてくれるので、科学のプチ知識のある人が「えっ!」と思う説明に出会うこともできます。
    例えば、
    ・光の速度を超えた時におきる「光の衝撃波」であるチェレンコフ光を観測する…
     → 光の速度を超える? と思いますが、例えば水中での光の速度は真空中での光の速度よりもずっと遅いのです。

    ・中性子が壊れると陽子と電子に変わるが、中性子は陽子と電子からできているのではない…
     → 中性子は、アップクオーク1つとダウンクオーク2つ(udd)でできています。
       陽子は、 アップクオーク2つとダウンクオーク1つ(uud)でできています。
       中性子のダウンクオークがアップクオークに変わると陽子になりますが、その時に電子(とニュートリノ)が放出されるのです。
       もっと正確に言うと、中性子が陽子に変わるときに、「ウィークボゾン」が放出され、「ウィークボゾン」が電子とニュートリノになるのです。

    本書は、2011年発行の単行本が文庫化されたものですが、追加した最終章で現在(2020年11月)の実験内容を説明してくれています。
    その実験とは、「CP対称性の破れ」を観測するという物理学最大の謎に挑むもので、宇宙に物質がどうしてできたかを解明することに繋がります。
    ですので、「すごい実験」は文庫版を読むことをお勧めします。

  • 前回読んだすごい宇宙講義が面白かったので、この本も購入。こちらも面白かった。いますぐ、役立つわけじゃなくても、将来役立つかもしれないし、やらなきゃ役に立つかどうかもわからないわけだし。面白いな、物理学とか研究って。

  • 東海村のやっていることを垣間見る。

  • 429-T
    文庫

  • 三体を読んで、加速器とは何なのかがすごく気になった。色々なコンテンツで重要な装置として扱われる事のあるこの加速器について非常にわかりやすく解説してくれている。

  • 空前絶後のわかりやすさ、驚天動地のおもしろさ! 地球最大の装置で、ニュートリノを捕まえる!? 文庫化に際し補章「我々はなぜ存在しているのか」を付す。

  • 素粒子理論の最前線を数式を使わずにイメージで表現してあるのでわかりやすい。

  • すごい宇宙講義に続き、多田さんの著書2冊目

    これまでに、どんな謎があったのか、それをどうやって証明したのかをとてもわかりやすく説明されている。本当にわかりやすい。
    謎自体の面白さもあるが、特に気に入っているのは「証明・実験の仕方」。
    突飛に思える理論も、実験で示されたら認めるしかない。
    そして、その実験を、この本では分かりやすく伝えてくれる。
    (宇宙講義の最後にあった、「地動説も実験したところ、正しかった」ってのも面白かったなぁ)

    読み終わった今は、「他に、どんな謎が残っているのだろう」、「それらをどのように証明・実験・観測しているのだろう」と、もっと知りたくなり、それらに応えてくれそうな本を漁っている。

    こりゃあ名著だわ

  • 同じ著者の、宇宙のはじまりに関する新書を読んだことがあり、親しみやすい語り口ではあったか、噛み砕きすぎたのか何なのか、内容があまり判らなかった記憶がある。
    これは、その新書に比べると内容がやや難しいことにも触れている感じで、難しいといえば難しいけど、いくらか知識がある人には、こちらの方が判りやすいかもしれない。

  • 素粒子物理学なんて小難しそうな分野を扱った本なのに、あまりに面白くて一気読みしてしまった。
    こんなニッチな学問にここまで興味を持たせられるなんて、想像もしていなかった。
    素粒子物理学という言葉すら聞いたことがなかったけど、本書の内容があまりに面白いため、別の本も買ってこの分野を勉強してみたいと思った。

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著者プロフィール

京都大学理学研究科博士課程修了。理学博士。高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所、准教授。著書に『すごい実験』『すごい宇宙講義』『宇宙のはじまり』『ミリタリーテクノロジーの物理学』『ニュートリノ』(以上イースト・プレス)、『放射線について考えよう。』『核兵器』(以上明幸堂)がある。

「2020年 『弾道弾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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