フォグ・ハイダ - The Fog Hider (中公文庫 も 25-12)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122062375

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  • ゼンが考え、悩む、その心が乗り移ったように、ともに考えた

  • 購入詳細不明

  • ヴォイド・シェイパシリーズ第四弾。今作でもゼンは色々な事を考え手にし、そうして失ったものもあった。けれどそれこそ成長した証と言えるのではないだろうか。最初の「ヴォイド・シェイパ」の頃と比べると飛躍的に成長しているように思える。ゼンはどこへ行き着くのか、それは次作でわかるのかもしれないしわからないかもしれないが、それでも彼のその先を見てみたいと思う。

  • 「侍の道理なんて、結局は、大勢で戦うための決まりだというわけですね。一対一の勝負になると、違ってくるように思います。自分がこうしようと決めていても、途中で違う筋を思いつく。相手の剣が少し違って見えてくることもあります。そんなときに、すぐにやり方を切り換えることが、とても大切なんです。それがなければ、自分への忠義のために命を落とすことになりかねません。潔くては、勝てないときがあると思います。」


    「ただ、こんな話をしておいてなんですが、あまり思い詰めない方が良いこともあります。ほどほどにされるのがよろしい。お見受けしたところ、ゼン殿は、正直すぎる。素直すぎる。あまりにも、澄み渡りすぎている。それでは、世の中を生きにくい」

    「正直すぎると、人に誤解をされるということは知っています」

    「坊主の私が言うのも、だいぶ筋違いと思いますが、少しくらいの濁りは、あった方がよろしい。この世にあるものは、如何なるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。それでも、それを綺麗な水といい、澄んだ空という。おそらくは、正しい剣、正しい刀も、そのようなものと想像します」


    そもそも、いろんな人間がいることが不思議だ。
    わからない。本当にわからないことが多い。
    ただ、世の中には、それだけ沢山の人間がいるということだけは、わかってきた。

    みんなが同じではない。それぞれが、自分の命を持っている。なにかを楽しみにして、生きているのだ。苦しみだけで生きている者は、たぶん少ないだろう。それでは生きていけないように思われるからだ。
    たとえば、都を離れ、故郷へ帰ったり、山に籠ったりするのも、それは、都にはない暮らしを求めた結果だろう。そちらの方が、自分に良いと判断したのだと思う。キクラとフミがそうだったではないか。
    自分も、都に失望して、また山に籠るのではないか、という予感がずっとある。それは、山を下りるときからあったものだ。ただ、カシュウの遺言と、知らないことを知りたいという気持ち、この二つが、今は山に帰る気持ちよりも大きいというだけだ。

  • エピローグのノギとの会話が好き。張り詰めた空気が解け、平穏に戻る瞬間にほっと一息つける。

  • 強さに焦がれ、剣の道の向こうに見えているものを追い求めてきたはずなのに、虚しさばかりが胸を打つ。
    だけどまた守る為に斬らなければならない侍の宿命。
    それは未来があるが故。
    仕方なく奪うのと、奪ってもいいとの間にある隔たり。
    ゼンのイノセントな目線を通して見るそれが何度も涙腺を刺激した。

    これが正義だ、自分が正義だと開き直ることは簡単で、だけどそうすることで相手の事情が見えなくなるので気をつけたい。
    人のことをもっとよく見ろと言うのは自分を肯定してほしいだけということもあるので気をつけたい。

  • 次の宿場町を目指すゼンは、峠の途中で盗賊に会う。恐ろしい程の腕前を持つキクラという名前の剣士と相対するも、敗北を悟るゼン。しかし、キクラは仲間を切られたにも関わらず、剣を鞘に納めた。

  • 書店でたまたま文庫を買って、久々に森博嗣読んだ。ヴォイド・シェイパのシリーズの途中だったみたい。

  • 剣豪シリーズ4作目
    今回のテーマは出世か?
    というか、最後の方で坊さんと話してるのを読んで、どうもゼンさんは山に戻るんじゃないかと思えてきた
    剣の腕を買われて出世するゼンさんの姿がどうしても想像できない
    最初は山に戻って静かに暮らしたいとか思ってたのに、強くなるために人と手合わせしたいと望むようになったけど
    最終的には一人で自分と向き合って強くなる道を選ぶのではないかと推測

    次巻で一区切りのようだし、どうなるのかね?

  • ゼンが人間として目覚めだした第4巻。
    感情が他人を認知し、揺り動かされる。成長が顕著な一冊。次巻は「いざ都へ」になるのか?楽しみです。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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