増補版 - ぐっとくる題名 (中公文庫 ふ 46-1)

  • 中央公論新社
3.47
  • (6)
  • (12)
  • (22)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 163
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122060234

作品紹介・あらすじ

'古今東西、小説、マンガ、ゲーム、映画等の「心に残る題名」のテクニックを分析。タイトル付けに悩むすべての人におくる、実用派エッセイ集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 題名フェチ、言葉フェチ、あと題名をつけなきゃいけない必要のある方におすすめ♪

    筆者のブルボン小林氏とは、小説家長嶋有氏のサブカルコラム用ペンネーム。彼の発想力と言葉のセンスが好きなので読んでみた。

    本の題名とは、表紙と共に本の「顔」である。
    特に本屋の本棚に陳列されている間は背表紙しか見えない。
    題名と著者名、それだけで手塩にかけた「我が子」を手に取ってもらわなければならない。
    そのために作家及び編集者はいろいろ工夫している。
    なにしろ本の売れ行きに関わるのだ。

    そんな「商品の題名」を「これはどういう意図をもってつけられたか」「どういうイメージをあたえるか」を鋭い洞察力を生かして推察。たまにつっこみながら楽しく紹介している。

    例えば助詞の使い方に注目した『ゲゲゲの鬼太郎』
    韻とリズムがもたらす快感を考えた『島耕作シリーズ』
    読む前と読んだ後の題名の捉え方が180度違う『これからはあるくのだ』

    へー、そんな角度から?と驚く。
    軽く読める知的(オタク的)読み物としても、題名に悩む人のための実用書としても読める。

    本以外の映画や音楽も取り上げられていて、最近の洋画の邦題はセンスないよな、という話に同感。

  • 「ぐっとくる」題名とはどんなものか?を文学、音楽、映画、漫画などから例をあげて語っているエッセイ。「ゲゲゲの鬼太郎」はなぜ「ゲゲゲ」なのか。また、なぜ「ゲゲゲの」なのか。言われてみると、なぜだろうと思う。おもしろかった!

  • 本や映画など、そのタイトルでグッと来る、印象に残るものを取り上げ、それがなぜ心を惹きつけるのか?を分析するエッセイ。ただ、あくまでもブルボン流分籍。論理的というよりも、ちょっとニヤリとなる解き明かし。

  • その名の通り題名について語った本。作られ方別になっていてなるほどなと思う。好きなタイトルはこのタイプかとか。ささっと読める割におもしろかった。

  • 命令形の題名は、たしかに印象に残るものが多い。
    「了解です!」って心の中で応答してしまう。(舎弟気質)

  • ブルボン名義の本は初めて読むかも。
    ネタが主体の本かと思ったら、ちゃんと実用的な話でした。
    読んでみるとなるほどーと思うことがいっぱい。
    この「なるほど」と思わせるために、
    どんな視点を挙げていくか、例として出す本や映画や楽曲はどれにするか、
    そこの選択が難しいんだろうなあ。
    硬軟とりまぜた広い知識・見識がないと説得できない。

  • 題名ってたまに
    脳に残るものがあり(読んでなくても)
    色々楽しめました。。

  • 【引用】

    ・ 題名において、整合性がとれていることと、心に響くことは必ずしも両立しないのだ。(p17)

    ・現代に生きる我々は皆ある意味で、古語と現代語のバイリンガルなのである。ときに頭で翻訳しながら、ときに実感として古語を読むことができる。(p60)

    ・パロディとは、元とのギャップで楽しませるものだが、差がすぐに分かってしまうのではつまらない。 逆にずっと分からなくても成功とはいえない。まずぱっとみてパロディと分かって、そのあとだんだんと二者の落差が(薬のように)効いてくる。(p72)

    ・パロディというのは二次創作なので、面白さとひきかえに安っぽくなりがち。パロディでなおかつ品をも保つのは稀有なことだと思う。(p74)

    ・(「隠し砦の三悪人」に対して)どこまで明かして、どこから言わないか、さじ加減に優れた題名といえる。(p79)

    ・(「11人いる!」に対して)ミステリーの幕開けを告げ、緊張の針がマックスまで振れた瞬間が、この題には凝縮された。(p81)

    ・(「幸せではないが、もういい」に対して)この題名をみると笑ってしまうのはなぜだろう。これにも僕はポジティブなものを感じてしまうのだ。「幸せではない」のに。
     「もういい」という台詞は、諦めなのかもしれない。だけどふっきったことを示す「もういい」もある。(p107)

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784122060234

  • 興味を惹かれたところ、面白かったところ。備忘録的に/つげ義春年譜。ある年は、スーパーマリオ2をクリアしたとだけ書いてあったのだとか。よっぽどうれしかったのか、他に書くことがなかったのか。/二物俳句。まったく関連のないものを並べてインパクト。「秋風や模様の違ふ皿ふたつ」(原石鼎)/MUGO…ん色っぽい、を、喉を詰まらせて咀嚼するさまをいろっぽいととらえた知人がいたエピソード。/大工よ、屋根の梁を高くかかげよ、となぜ言ったのかは読めばわかる、彼女の聡明さに納得するのだとか。読んでみたくなる、サリンジャー作品。/我々は何かを愛する時、その名前も含めて愛しているのだ。カフカ「アメリカ」がのちにカフカ自身の日記をもとに「失踪者」となったことをとりあげて。/「息切れ」という原題を「勝手にしやがれ」と思い切った邦題にしたのにのっとり、「一人が持ちこたえよ、そうすればあとに続くものがあらわれるだろう」という映画タイトルももっとばっさりした邦題にしてほしかった、という思い。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ブルボン小林(ぶるぼん・こばやし)
1972年生まれ。「なるべく取材せず、洞察を頼りに」がモットーのコラムニスト。2000年「めるまがWebつくろー」の「ブルボン小林の末端通信」でデビュー。現在は「朝日新聞」夕刊(関東、九州、北海道)、「週刊文春」、「女性自身」などで連載。小学館漫画賞選考委員。著書に『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』(ちくま文庫)、『増補版ぐっとくる題名』(中公文庫)、『ゲームホニャララ』(エンターブレイン)、『マンガホニャララ』(文春文庫)、『マンガホニャララ ロワイヤル』(文藝春秋)など。

「2018年 『ザ・マンガホニャララ 21世紀の漫画論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ブルボン小林の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×