- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122060135
作品紹介・あらすじ
二・二六事件の熱さめやらぬ昭和十一年五月、議会での「粛軍演説」で喝釆を浴びた民政党議員・斎藤隆夫は、四年後に「支那事変処理」についての質問演説を問題視され除名処分を受けた。陸軍を中心とする「革新」派が台頭する中、「現状維持」を訴えてやまなかった保守政治家の自伝。
感想・レビュー・書評
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斎藤隆夫 「回顧七十年」自伝のほか2演説を掲載した戦前戦中の政治記録。
この本の帯や解説にある「現状維持の勇気」とは、実行性のない軍部の革新を批判し、現状維持により責任ある立憲政治を続けることを意味。
二二六事件後に行われた粛軍演説、支那事変処理を批判した反軍演説の2演説は迫力ある。二二六事件に見られる思想的単純さ、東亜新秩序に見られる理想主義的な実行性のなさを批判し、軍人による政治運動を批判
ヨーロッパによる東亜侵略阻止は重視しているが、戦争については 適者生存と位置づけ、勝者による領土侵略は肯定。太平洋戦争の失敗は、政治が無力であり、軍人の政治運動を許容した点にあると言いたいのだと思う
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2・26事件後の「粛軍演説」、昭和15年の「反軍演説」を経て軍部に睨まれ議院からの除名処分を受けた演説の名手・斎藤隆夫の自伝。
演説というか、国会における代表質問なんですね。
両演説の全文も掲載されているが、ごくごく当たり前のことしか言っておらず、それどころか「力が正義」的な論調は十分に「戦前的」だと感じる。
にもかかわらず受け入れられなかったというのは、なかなか絶望的である。
軍国主義云々というよりは、軍部、政府に耳の痛いことを言っていたということで、ロジカルな議論のできない者のなんと多いことか。
あと、「反軍演説」という呼び名はあまり適当ではなくて、「いかにして日中戦争を終わらせるか。汪兆銘政権を支持しても役に立たないのではないか」という、どちらかといえば外交批判だと思うけどね。
それにしても、この著者プロフィールは同姓同名の別人じゃん。1952年埼玉生まれって。すごく間抜けだぞ。 -
かつて日本にこんな政治家がいたということを、不覚にも寡聞にして知らなかった。
五.一五事件や二.二六事件で政治家の命が奪われるような状況にもかかわらず、毅然として議会にて粛軍の演説を行うような気概は、はたして現代日本の政治家中に幾人いるであろうか。
「近衛公への意見書」中の数項は、あたかも現在の与党議員のことを指摘してるかのごとくで、いやしくも自信を政治家と名乗るのであれば、ぜひとも読んでいただきたい「意見」が開陳されている。
何より特筆すべきはその文体である。漢文の素養の高さを思わせる簡にして要を得た文章は、70年という長い年月の経緯を伝えて余りある。
兵庫県出石の生んだ後世に誇るべき人物の一人であろう。 -
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