アンダスタンド・メイビー(上) (中公文庫 し 46-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122058958

作品紹介・あらすじ

筑波に住む中学三年生の黒江は、研究者をしている母との二人暮らし。両親の離婚以来、家庭に居場所を見つけられずにいた。ある日、書店で目にした写真集に心を奪われ、カメラマンになるという夢を抱く。同じ頃、東京から転校生がやってくる。太めで垢抜けない印象の彌生に、なぜか心を奪われる黒江だった。「やっと見つけた、私だけの神様を」-。

感想・レビュー・書評

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  • 「ファーストラヴ」で直木賞受賞した作家さんの作品。
    十代の娘の遍歴を描きます。
    一見普通のようでも、どこかダークな面があり、どう転ぶかわからない展開なので、はらはら。

    藤枝黒江(クロエ)は、母子家庭の娘。
    もともと勤めている母は忙しく、祖母と父に育てられていましたが、祖母の死後に両親が突然離婚。
    小学生の時、母と二人で筑波に移り住んできました。
    研究者の母も、最初は娘を遊びに連れて行ったりと努力もしていたのですが。
    家事は、主に娘が担当しています。

    クロエは廃墟を写した写真集に目を惹かれ、生まれて初めてのファンレターを出します。
    写真家の浦賀仁の方も喜んで返事をくれたので、いつか東京に行って弟子になるという夢を持つことに。
    友達もいて、割合普通の中学生活だったのですが。

    転校してきた男の子・酒井弥生君と友達に。
    大柄で太めでオタクっぽい外見だけれど、いたって真面目な性格の彼。
    クロエは彼に救いを感じるのです。
    体育祭の長距離走の選手になったものの、脚を痛めて走れなくなったとき、助けに来てくれたのでした。他の子は見当違いの励ましをしたのですが。
    彼の方は、積極的な女の子の態度をセーブするよう。
    彼にはちょっと霊感があり、そのことをあっさり受け入れるクロエ。
    まだお互いにつきあい方もわからないのは~無理もないのですが。
    母とは決定的な亀裂が…

  • おー、思春期がとんでもないことになってるぞ。
    でも引き込まれて夢中に読んでしまった。
    彌生くんもいいけど、羽場先輩がカッコいい。
    黒江のしてることって、百合ちゃんと一緒なのになぁ、媚がわかりやすいかどうかの差というか。
    なんだかザラザラする。

  • 根は一般的な学生生活を送るような子だろうに、親や周りの環境からか、危ない方に向かっていくところが読んでいてひやひやする。

  • 10代の頃のこういうのって小説だけの世界のようだけど、
    実際自分の近くでも同じようなことがあって、当事者ではないけど、ずっと心の奥に引っかかって無くならないものになってる。
    時間が立って多少薄れるものはあるけど、その後の人生や性格にも影響しているから、複雑な心境で読み進めたし後を引く作品になりました。

  • とりあえず上巻読了。
    少女漫画風、ケータイ小説風なストーリーだと言われてしまうとそう感じてしまいますが、10代(青年期?)特有の不安定さからくる危うさや、まだ護られている立場のはずが、子供と大人の狭間故に拠り所がなくどうしようもなく感じてしまう孤独感、そういったものを上手く描けていると思います。
    彌生くん、四条くんはじめとする同級生男子と不良たちとのギャップが、そっち側に引きずり込まれるな〜帰って来い〜と気持ちがヒリつく。
    このところ島本さんの作品がイマイチだなーと感じていたのですが、上巻でそれなりに引き込まれたので下巻に期待。

  • 今の若い子達にも響くものが沢山ありそう。

  • 久しぶりにこんなに擦り切れるような、切なさで胸が包まれて痛々しさで顔が歪むような青春を目の当たりにしたな、という感じです。
    黒江にとっての輝いた青春は一瞬で、その他の時間は辛いものだったとしか思えません。
    それでも自分自身で写真という1つの光を見つけ出して、それに向かって強引にでも走り出した黒江は強い人だと思いました。
    下巻に続く新しい生活が始まった黒江の人生の続きを読むのが楽しみで仕方ないです。

  • 3.5
    若い人に読んでほしい一冊
    報われない、出会ってく人達で良い事より悪い事の方が強く、辛いだろうけどどうにか持ち堪える強さも感じる
    頑張れと応援したくなる

    下もあります
    感想書きます


  • 気が付いたら上巻読み終わってた。
    貪るように読んでた。
    島本作品っていつもそうなる。
    ピュアなんだけどザラザラヒリヒリって感じ。
    黒江は下巻でどうなる?気になる。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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