- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122050730
感想・レビュー・書評
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実際と空想の境界を曖昧に進む、民俗学的旅行記。
でも結局、この本はエッセイなんかではなく、寺山修司のおとぎ話なのだと思う。
伝承や伝説って、長い時間の中でねじ曲がったり、願望に変わっていったり、虚実入り混じり伝わるのだから寺山修司が彼なりの伝承を作り上げても、嘘ではない。
大ボラもあるけれど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
変わった風習や伝記が残る土地を訪ね、謎を調べた紀行文。
言い伝えを元にした御伽草子のようなものかと思って読んでしまいました。それでも初めは、それなりに読めていたのですが、後半につれてさっぱり進まず・・・。思いの外、読み切るのに時間がかかってしまいました。 -
長らく家に積んで放置してあった本をようやく読みました。一時期寺山修司氏の本にハマりました。独特の世界観がある中毒性のある文章だなあと思います。そこが魅力なのでしょう。
後書きにある通り、寺山修司と言う世界の入門書なのだと思いました。実際にこの土地に行っても寺山さんが書かれた文章と同じ感覚を体験することはないでしょうがそれはそれで良いのではないかな、と。この方の文章はどこかしら悲しい。社会的弱者に対する世間の無関心こそが非難されるべき冷たさなのではないか。そんなことをぼんやり思いました。見たくないものに蓋をするのではなく、残酷で非道なものでも見て、知ることが優しさなのかなあとそんなことを。
花嫁になりたい少女は妻や奥さんにはなりたくないのか。それはちょっと面白い発見でした。毎日花嫁におなり、か。優しい台詞だなあ。 -
日本各地の史実や風習に基づいた寺山修司の想像世界。物語を楽しむだけでなく、寺山修司のファンであれば彼の脳内世界、彼の目にソレらはどのように映りどのように物語に精製されるのか、その過程も感じられて楽しい。柳田国男の「採取」とは逆の趣。福岡の嘉穂劇場が取り上げられているのもうれしい。
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寺山修司と一緒にかつての日本を旅する一冊。一風変わったネタを追って旅していく探偵になったようなスリルを味わえる。
「筑豊むらさき小唄」で訪れた飯塚市については、読書前日にユネスコ世界記憶遺産登録を受けた炭鉱画の山本作兵衛氏を特集した日曜美術館を見ていたので、昔の映像など思い出しつつ読んで面白かった。(ちなみに、この話で訪れている嘉穂劇場はなんと現役で、見学が可能!いつか行ってみたいものです)
小学生時代の友達(演劇クラブ)が当時寺山修司を愛読しており、以降も度々色々と話を聞いていたけれど、そのせいもあって今まで一度も読んだことがなく、これが最初の一冊になった。偶然にもあとがきに「寺山修司の入門書」とあり不思議な気持ちだ。この本を薦めてくれた人に感謝。 -
8/1 読了。
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日本の田舎に伝わる民俗伝承と昭和の文化を寺山修司が叙情的に検証している珍しい本。
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立ち上がりの不気味さに興奮。人間を必要以上に怪奇に書く、著者のセンスに脱帽。タイトルセンスを裏切らぬ内容。沖縄の部分的本質を垣間見る、人間根源の縄張り意識。いやー、この人、安定感あるわ。
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寺山修司の風土記めいた著作。
民俗的な風習にスポットを当てた紀行文なのだが、本人としてはそういう解釈はしてもらいたくないようだ。
だが読んでいる最中はどうしてもそのような視点になってしまった。
もちろん寺山らしいポップで真偽不明のエピソードは健在。
今まで多くの著作を読んできたが、ネタをネタとして受け取れない人は寺山に触れてはならないとさえ言いたくなる。
まあ実際この本で取り上げている風習はどれも嘘臭い(笑)。
だけど青森にキリストの墓があるというエピソードは自分でも知っていた(信じてはいないが)。
そういう現実と幻想を上手く織り交ぜて境界線を曖昧にする寺山らしいある種の狡猾な技法が如実に表れている一冊だと思う。
寺山は正直凡庸なエッセイも多く書いた人だと自分は評価しているが、これは十分人様に薦められるエッセイだろう。
寺山の作風が手に取るように分かるし、テーマとしても統一されている。
裏表紙には「最良の入門書」と銘打っているが、それも納得の面白さだった。 -
みんな、なるべく 読めよ !!!