フラッタ・リンツ・ライフ (中公文庫 も 25-5)

著者 :
  • 中央公論新社
3.78
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本棚登録 : 3133
感想 : 179
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122049369

作品紹介・あらすじ

ずっと二人で空を飛んでいても、決して触れることはない。彼女の手を、彼女の頬を、僕の手が触れることはない-「僕」は濁った地上を離れ、永遠を生きる子供。上司の草薙と戦闘機で空を駆け、墜ちた同僚の恋人相良を訪ね、フーコのもとに通う日々。「スカイ・クロラ」シリーズ急展開。

感想・レビュー・書評

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  • 視点がまた変わった。また別の人物の視点から物語が進んでいった。段々と色んな人物の関わり合いの中から物語の世界観が見えてくる。夢中になって読んだ。

  • 「キルドレ」という、薬害で生まれた永遠に10代の子どもで成長しない者たちが、戦闘機によって相手を撃ち落とすことで生きていく、という物語。
    ファンタジーなのか、未来の現実になりそうな世界なのか、とらえどころがない物語世界。

    「銀河鉄道999」を想起した。
    「永遠の命」を獲得すると、人間は主体的に生きていくことをやめてしまうのかな、と。
    「不老不死」と「生」という、テーマはわりとオーソドックス。

    命より大切なものがある、という筆者のメッセージ。独特の美意識を感じた。


    これは、『スカイ・クロラ』シリーズの4冊目なので、あらためて今度『スカイ・クロラ』はじめ先行する3冊を読みたい。
    読む順番を間違えてしまった!

  • カンナミ、クサナギ、そしてクリタ・ジンロウ。キルドレとして生まれてきた彼等に共通していること、それは無駄なものを全て排除して生きていること。そして彼等に残されたものは、戦闘機で飛び続け敵を撃ち墜とすこと、空で死ぬこと、それだけでした。怯えていたのは、もう戦闘機に乗れない、ただその一点の恐怖だけ。それは彼等にとって、生きている意味を奪われることだったから。だから普通に歳を重ねて生きることが、空を飛ぶ以外の全てのことが、感情というものに振り回され涙を流すことが、死ぬほどの苦痛を持つということを、私達は知らない。それでも尚、救いたい、と思ってしまう私のこの感情そのものすら無駄なのだろうか。そうではないと信じたい。

  • クリタの視点で語られる、シリーズ4作目。

    キルドレとは?更なる謎が提示された気がする。

    切なさが込み上げてきた。

  • 『フラッタ・リンツ・ライフ』読了。
    今回は約10年ぶりの再読。主人公は栗田。キルドレの秘密が少しずつ明らかになっていく過程で栗田が上司である草薙に対する感情が不安定でありながらも拠所みたい存在になっていた。ラストの不時着のシーンで草薙を想いながらまだ死ねないと思う栗田。カッコいい。『ダウン・ツ・ヘヴン』までは草薙がティーチャと一戦を交わりたい一心で飛ぶことを切に願うヘヴィーな展開だったけど。今回は割に淡白で。だけどキルドレたちは空に対する執着は同じでも誰かの存在を拠所にして不安定な心の持ちを保とうとする人間っぽい一面がいいんだよね…永遠の子どもだもんな。

    2019.1.29(2回目)

  • フーコと聞くと別の人を思い出す。まぁ作中のフーコとはまったく違うのでかぶることはないのだけれども。

  • 読み終わるのが惜しい、と思いながら読む小説って結構最高だと思うけど、なんか久しぶりにそんな感じだった。

    シリーズ4作目。次で最後(番外編も別にあるらしい)なのを惜しむ気持ちを持ちつつも、明日読み始めるのが楽しみだ。

  • 再読。最後に向けての加速度がすごい。スカイ・クロラからいくと4作目で、一気に謎が解決していく感じ。

  • 読みはじめて最初に感じたのは、「えっ?!草薙じゃないじゃん!」という驚き。
    一冊目のスカイ・クロラでは、確かに函南が主人公だったのだけれど、いつの間にか私の中では草薙こそがこの話の主人公になっていた。

    4冊目の主人公は栗田。1冊目で意味ありげに描かれていたジンロウだった。
    彼は、私の思い描いていたイメージとはまったく異なる人物だった。
    不思議に純粋な気持ちで草薙を想う栗田。
    彼の心の中で最も重要な位置を占めるのは草薙で。しかし、その気持ちは、恋愛なようで、恋愛とはまったく違うようで。

    この話は、客観的に見た草薙水素の話。
    おそろしいほどの存在感で、草薙は栗田の心に影響を与える。
    栗田から見た草薙は、函南の見る彼女より少しだけ柔らかい。

    キルドレについて想像する要素が、ようやくほぼ出揃った気がする。
    次巻の語り手がまたすごく気になる展開だった。

  • 空と宿舎と格納庫・・・そして時々妖艶な場所。
    それだけの空間。
    だけどやっぱり引き込まれた。

    作者は飛行の様子を嬉々として描いている・・・
    だけどそこに悲しい戦いの場を付け加えて自分を抑えている。

    乾いているのに空はやっぱり水色。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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