蛇行する川のほとり (中公文庫 お 70-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122048690

感想・レビュー・書評

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  • 全体的になんとなく不穏な空気がずっと続いて、落ち着かせてくれない感じ。
    思春期の女子高生の心情が細やかに描かれていて、女の子同士の憧れや嫉妬、男の子に対する驚きや発見など、自分も昔を思い出す。
    蛇行した川のほとりの家や、森の中の音楽堂、塔のある家など、読んでいると映像が浮かぶようだった。

  • もう何度目になるだろうかな再読。
    定期的に読み返す。初めて読んだ高校生の頃から。
    いつも読むたびに読後感が変わり、経時観察が興味深い話。
    今回、就職してから初めて読んだが、いままでとは明らかに違う感覚。
    初めて第三者としてこの話に触れた気がする。
    遂にわたしの少女時代も終焉らしい。
    第三者として読むと、ミステリ色がこれまでより強く感じられる。
    最初に読んだ時は泣いた。
    それからしばらくも、遠い夏の日を思って瑞々しい感覚を覚えていたように思う。
    その感覚がなくなってしまったわけではないが、もう自分のものではないというか、お邪魔しているというか。長らく開いていなかった引き出しをそっと開いて楽しむというような感じに変化したように思う。

    次読む時がまた楽しみになった。

  • 新書版の3冊を高校の図書館で読んだ時の衝撃は10年以上経った今でも忘れられない。
    好きすぎて文庫版買った後新書版も古本で購入(笑)
    青春だったなぁ〜

  • 章が変わると他の登場人物の視点になっている。あるかこの事件の真相に迫る物語。描写が巧みで場面の想像がたやすく出来たなと感じた。他の作品も読みます。この作品の感想は、大人は子供を変なことに巻き込まないで!子供は意外とちゃんと覚えている。場合によっては心に深い傷を負うので。

  • 20150608読了
    忘れてて2度読んでしまった。設定にちょっと無理があるが、少女が大人になる様など、ドキッとするほどよく捉えられていると思う。

  • 久々に読み返したけど、はじめに読んだ時は
    全然この雰囲気をわかってなかった気がする。
    前回読んだ時も面白いとは思ったけど、それだけだったし。

    今回は文句なしでこの雰囲気に惹きこまれた。
    恩田さんの書く「少女」はいつも美しく謎めいていて
    何回も読み返したくなる。

  •  「あたしたち、絵を仕上げなくっちゃいけないわ」
     美術部の憧れの先輩、香澄と芳野に夏休みに演劇部の舞台背景を製作するため、一緒に合宿しないかと誘われた毬子。友人の真魚子(まおこ)には、用心するように言われるが、うれしさと誇らしさに胸がいっぱいになる。
     しかし、そんな毬子の前に見知らぬ少年が現れ、香澄に近づかないようにと忠告。不安な気持ちを抱えながら、川のほとりにある香澄の家を訪れた毬子だったが…。

     (再読なので)内容はわかっているけど、むせ返る草いきれや、深い闇を感じながら久々に「恩田陸」を楽しみました。これを最初読んだのは3冊分冊のときで、1冊読んで「えっ!」2冊読み終えて「えぇ~!!」という風に叫んだのを覚えています。シネコンのない頃の2作同時上映の映画やレコード、当然携帯などもない世界の物語は、それだけでノスタルジックかもしれません。

  • 久しぶりに読んだ恩田さん。
    ・・・・いいなぁ☆
    恩田さんらしい作品で。

  • 高校生時に読んで以来の再読。当時はただただ恩田さんの描く「少女」の神秘性に打たれていたけれど、大人になった今読み返すと、描かれた少女に少しの嘘らしさを感じた。華奢な体に成長した精神がアンバランスに押し込められていること、生臭くなく潔癖で混じり合いようのない精神を持ってること、それらが一夜にして変貌する可能性があること。いかにもフィクションらしい性質だと思う。でも、そんな嘘みたいなものが同居する時期があるのも確かな事実なのだろうかとも思う。

  • はあ、すごい。
    恩田陸なめてた。ごめんなさい。

    こんなに生々しく「少女」を描ける人がいたのか。
    「少女文学」ってそういうことか。
    少女と、女のあいだ。
    揺れ動く不安定な不安定な心。
    憧れと、恐れと、愛。
    香澄の「愛してるわ」が響いてくる。


    集英社文庫の文庫版あとがきに、こんな作者の文章があった。
    ――――――――――――

    『蛇行する川のほとり』は、私が感じていた「少女たち」を封じ込めたいと思って書いた。

    私が憧れていた少女たち。
    恐れ、憎んでいた少女たち。
    そして、私が誰よりも愛していた少女たち。

    そんな、私の知っている少女たちが感じていた(感じている)であろう日の光を、風の揺らぎを描きたい。
    バケツの中で洗うズック靴の感触や、夏休みの庭の草いきれや、映画館でのたどたどしいデートや、ショートケーキから零れた生クリームの憂鬱を描きたい。

    こうして読み返してみて、とりあえず目標は達成できたな、と思う。

    ――――――――――――

    やっぱり目的は「少女」。
    それなのに本編はあくまでもミステリ調。
    「過去の死亡事故をめぐるミステリストーリー」で、ここまで「少女」のことを描けるのはすごいんじゃないか。
    しかも肝心のミステリも、そのへんのミステリ小説とは段違いによく書けている。
    構成も、章ごとの視点の切り替えも、伏線も、登場人物の設定も、全て緻密に設計されているはずなのに、ちっとも息苦しさを感じない。

    ただ、もともとの設定がちょっと現実離れしすぎてきる気もした。
    少女マンガ的というか…。
    まあ、世界観が完成されてたからそれはそれですんなり受け入れられたけど。

    とにもかくにも、おそれいりました。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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