我輩は施主である (中公文庫 あ 11-3)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122037700

感想・レビュー・書評

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  • 赤瀬川原平名義なのでエッセイだと思って読んでいたら、実は小説なのだという。一人称の主人公はA瀬川源左衛門。

    F森教授やらM伸坊やらでてくるのだが、あくまでも、小説なのだという。でもたんぽぽハウスにしてもニラハウスにしても、実際にちゃんとつくった建物らしいし。この「小説」の主人公は施主である我輩だが、なんといっても魅力的なのは設計を担当するF森教授である。

    近代建築について、都市について、緑化について。講義ぜひ受講してみたい。いい意味で「野蛮人」とよばれる男。決断が早くて豪快、かつ、美意識は繊細。いいな。
    でも酒の席ではあんまり一緒になりたくないかも。

    この「小説」なんといってもテンポがよい。家を建てる土地を探すとなって、なかなかよい物件がみつからない段階でも、実際のところは徒労感で暗くなりがちなんだろうが、ユーモアたっぷりでおもしろいし、まぁ実際には家をたてるところまでいくという事実を知っていて、そこから遡って読んでいることからも気楽な感じを手伝っているのかもしれない。

    比喩の暴走っぷりも楽しい一冊。

  • 図書館でたまたま見つける
    藤森照信の本を読んでいるようだ
    客観的な藤森照信を読むのは
    おもしろい
    なんだかものすごいエネルギーが
    あるひとなんだなあ

    難点は建築の本なのに
    図版が少ないこと
    茶室どうなっているのだ?
    ニラは毎年できているのか?

  • 赤瀬川原平さん宅・通称「ニラハウス」が出来るまでを、
    土地を探すところから描いた私小説。
    読んでてこういう家の建て方できたら楽しいだろうなー!
    としみじみ思いました。
    鉈で柱とか家具とかはつってみたい。

  • 古本屋で半額くらい?
    昨日買って、とにかく面白く、昨日今日で半分づつ、読み切ってしまった。ニラハウス、見物してみたいし、私も家を建ててみたいな、と思わずにいられない。良い本を手に入れた。うれしい。

  • 早稲田通りの渥美書房でこの本は、軒先の50円均一の段ボール箱のなかでひとり買い手を待っていたのです。汚い岩波文庫に囲まれて寂しげだった、悲しきひとりぼっちを僕は拾ってかえることにしました。レジの親父に金を払うときに、ようやくこの本の価値に気づいた罪深き耄碌じじいは「あれ?これ外にあったっけ。」とか何とか言っていました。

  •  作家、赤瀬川氏が屋根にニラを植え付けた「ニラハウス」を、土地探しから完成までを綴った<体験的超物件小説>。 これが、面白い!! 設計をした藤森氏が、ちょっと切れてて(?)いい味出してる。(藤森氏の家は、タンポポが咲く「タンポポハウス」だそうだ) 家を作るっていうことは、自分の人生を振り返り未来を見据えることなんだな、なんて私は思った。建築フェチとしては、ぜひ「ニラハウス」と「タンポポハウス」を見に行きたいもんだ。と、藤森氏は「建築探偵」って言われてるそうだ。おお本物の建築探偵だよぉとなんだか、感動した(笑)

  • ノンフィクションな小説?
    赤瀬川氏は存じ上げておりましたが、小説は初めて読みました。

    でも、これって小説じゃないか。

    家を建てるってスゴイことなんだな。
    いや、住むってタイヘンなことなんだな。
    全部の欲をそこに詰め込まなきゃいけないんだもん。

    基本的な欲求だけじゃなく、仕事をする環境とか
    遊び心とか、だけど、生活も詰め込まなきゃ。

    理想と現実の折り合いの具現化。
    その一部始終が面白い。

    ニラハウス、見に行こうかな…


  • タンポポハウスに続きニラハウス。やたらとパワーのあるF森教授とあれよあれよ方式のA瀬川さん。最後は縄文建築団も登場。

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著者プロフィール

赤瀬川原平(あかせがわ・げんぺい)
1937年横浜生まれ。画家。作家。路上観察学会会員。武蔵野美術学校中退。前衛芸術家、千円札事件被告、イラストレーターなどを経て、1981年『父が消えた』(尾辻(★正字)克彦の筆名で発表)で第84回芥川賞を受賞。著書に『自分の謎(★正字)』『四角形の歴史』『新解さんの謎(★謎)』『超芸術トマソン』『ゼロ発信』『老人力』『赤瀬川原平の日本美術観察隊』『名画読本〈日本画編〉どう味わうか』。また、山下裕二氏との共著に『日本美術応援団』『日本美術観光団』『京都、オトナの修学旅行』などがある。2014年逝去。

「2022年 『ふしぎなお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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