- Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122032552
作品紹介・あらすじ
未発表の恋文七百余通をもとに描く、新しい柳原白蓮像。華族に生れ、炭鉱王に再嫁し、大正の世に「白蓮事件」と騒がれながらも、ひとすじに貫いた恋の物語。柴田錬三郎賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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花子とアンの放送時に図書館で予約して、ようやく読めた本。
白蓮さんの結婚から始まる物語。
当然、朝ドラとは違う、もっと色濃いお話でした。
朝ドラ同様に、何故か伊藤伝右衛門さんが憎めない。いろいろ問題はあったにせよ、彼は少なくとも小さい器の男の人ではなかったと改めて思う。
結婚に夢破れた白蓮さんの想いもまた、よくわかる。女学校の経営、思い描いていた夫との結婚生活、期待していた夫からの愛情。愛情は伝右衛門さんにもあったのだろうけど、白蓮さんには伝わりきらなかった。
そうした中で最愛の人との出逢い。宮崎龍介さんが、こちらにきてからは幸せだった、と白蓮さんの死後断言しているのか、印象的。
林真理子さんの小説、実は初めて読んだのだけれど、面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みながらずっと思ってたことはとにかく林真理子は小説を書くのが上手ってこと。
龍介と出会ってからやっとこの本に入り込めた感じ。
実際の事件を元に描かれている分、より読んでる側の熱も上がる。
白蓮のこころの動きが、美しいことばで表現されてて、艶っぽい雰囲気がした。
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・有名な白蓮さんの人生が分かったように思う。
・林真理子氏の書き物はすばらしい。 -
当時を生きる女性の生き様がありありと描かれています。
実在の人物をテーマにしているとは思えないほどドラマチックで、読み応えのある一冊でした。 -
朝ドラで流行ったというのに今更読了。
しかし内容は少し前に話題になったゲスな話。
時代が変わっても男女のことは不変なのでしょうか。
芸能人だから、華族だから、歌人だから、有名人だから。
『一緒になれるならば、世の人すべてを敵にまわしても構わぬと、恋文の中でもよく綴り、龍介に誓いもしたが、あれは何という甘いたわ言であったのか。たかが一人の女が一人の男と愛し合い、その女に夫がいただけの話なのだ。それなのにこの出来事で世の中はむくむくと動き始めたのである。それは黒い不気味な雲だ。憎悪でふくれ上がった雲は、自分と龍介に向かって襲いかかってくるかのようだ。』
作品の中の文章です。
不気味な黒い雲と表現された世論は今でもふくれ上がり、甘いたわ言であったと現実を知る。
まあそれでも、この作品の主人公は貫いたのだけど。
この白蓮事件に比べたら大丈夫。
と、今は是非ベッキーに読んでもらいたいと思った作品でした。 -
大正時代の歌人、柳沢白蓮の伝記的小説。史実とは思えないほどの波乱万丈な百連の人生を、丁寧に描いている。現代だって有名人の不倫は大スクープ。当時の華族、しかもバツイチのお姫様の駆け落ち事件、相当な騒ぎだっただろうな。「白蓮事件」について思わず調べてしまった。昔の文語体で書かれた恋文や、仮名遣い、白蓮の京ことばが、本書を単なる不倫の話ではなく本格的な伝記小説にしている。歯に衣着せぬエッセイが共感できて面白い林真理子、こういう小説も書くんだと、改めて好きになった。
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この人の作品は、『ミカドの淑女』『女作者』くらいしか読んだことがないと思う。
本作も、そういう系統の―つまり、明治・大正の女性の評伝的小説だ。
朝ドラ「花子とアン」で、白蓮に注目が集まり、その当時、この作品もリバイバルした。
でも、二十年以上前、94年の作品だったとは。
宮崎家、伊藤家への取材も行い書かれた本だからか、二人の男性は好意的に描かれているようだ。
しかし、本作のメインは、やはり白蓮の心理描写だろう。
東洋英和での暮らしを理想化し、世間知らずだった彼女が、他の女性との幸不幸を引き比べ、嫉妬という感情を身につけていく。
自分の秘密を打ち明けるべき相手を、自分のプライドと天秤にかけながら選び出す。
この女性の不幸を、作者はこういうものとして描き出したのだろう。
興味深かったのは、あの有名な決別状が、白蓮自身のものでなく、宮崎龍介の仲間の手が入ったものだったということ。
そこは事実なのか、作者の創作なのか分からないけれど。
それから、九条武子も駆け落ちを企てようとしていたというのは、驚いた。
もし実現していたら、白蓮事件など霞むほどの、歴史を変える事件になっていたに違いない。 -
朝ドラで仲間由紀恵が演じた蓮様がとても素敵で、ぜひ読みたかった一冊。
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2013/10