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- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122019560
感想・レビュー・書評
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北森 鴻の『狂乱廿四考』で知った歌舞伎役者・三代目澤村田之助。
やばい。
ハマってしまったみたい。
この江戸末期に咲いた、妖艶で壮絶な華のような役者をもっと知りたい一心で
手にした皆川作品。
元々好きだったこの人のひやりと冷めた、それでいてまとわりつくような
エロティシズムを醸し出す筆致が、
咲き誇り、人々の欲望をかきたて、やがて腐乱して果てた田之助と
彼を取り巻く“江戸歌舞伎”の終焉を見事に描き出している。
私は歌舞伎についてけして明るくはないけれど、
この本の解説者・今野裕一氏によれば
「今の“板の上”(現在の歌舞伎の現状)は余りに健康すぎる」
のだそうだ。
これには何だか至極納得してしまった。
男が女の身なり・仕草を真似、どこにもいるはずのない幻想の女を演じる
歌舞伎の世界。
それだけで私には既に倒錯の世界のように思われる。
ちなみにこれは私の中では褒め言葉です。念のため。
強烈な香りで人々を圧倒した華はまた、
強烈な腐臭を放って朽ちてゆく。
しかし腐れば腐るほど
その身は純度の高いものと化してゆく。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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