数学する精神 増補版-正しさの創造、美しさの発見 (中公新書 1912)
- 中央公論新社 (2020年6月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121919120
作品紹介・あらすじ
数学における「正しさ」とは何だろうか。公式や証明は絶対的に正しいもので、揺るぎない「神の知」だと思っている人も少なくないだろう。しかし数学を創ったのが人間である以上、究極的には仮説的で暫定的であることを免れない。ならば「正しさ」「美しさ」は、数学という営みにおいてどんな意味を持つのか。「真の正しさ」「美しさ」に正面から対峙した伝説の書に、「数学とは何なのか」を論じる「後奏曲」を加筆した増補決定版!
感想・レビュー・書評
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数学における「正しさ」とは何なのか。数学を「する」とはどういうことなのか。そういった問いを「人間と数学との関わり」というテーマをもとに対峙した本。
数学をするにはただぼーっと式を眺めているだけではできない。数式からパターンを見出し意味を掘り出すことで初めて新しい数学の世界を開くことができる。また、視覚的にパターンを見出すだけでなく、公理や定理による証明精神に基づいた記号化を進めることで抽象化が促され、見るだけではわからなかった背後の法則性に気づくことができる。
こうした、意味と記号の不思議な関係性を紐解いていく様はまさに数学の研究をしているようであった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
数学を「する」という行為と、そこから見られる数学の「正しさ」や「美しさ」のあり方について興味深く読みました。普段使っているものを客観視することで考えられることや見つけられることはいろいろと興味深いです。普段の行為でもこういう客観視で何かを見つけてみたいと思った本でした。
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第8章 倒錯した数
−1=.....9999999
には驚いた-
2021/06/21
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2021/06/21
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2007年初版の増補版ということで、元の版の方は知らなかったが、こんな数学の本を読みたいと思っていた。とはいっても、数学が苦手なこともあり、全部がよく理解できたというわけではない。しかし、数学の歴史と、時代の変遷に伴う数学の枠組みの変化といったものがコンパクトかつ面白く記述されている。例えば、冒頭に出てきた2乗と3乗の2項展開を平面や立体の図形として理解するというのは、なるほどと目から鱗が落ちる思いがした。本書を読んでいると、数学は一般化の歴史という気がする。例えば、古代の人は自然数や有理数しか知らなかったらしいが、整数、実数、そして虚数へと数の概念は進化していき、自然数や有理数は、今では、実数や虚数を含む数の一部分であったと分かる。そこには、人が見聞きする数量としての数を超えて、理論的な概念として数に至っても、それまでと同じ法則が成り立っていたりする。そんなことを本書は教えてくれる。
時間を置いて、じっくり再読してみたい。 -
何回も読んで、神秘的な数学の本来の魅力に少しでも近づきたい
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鳩に数学ができるかどうか考えたことがある。人間とは異なる概念を持っていると考えていたのだ。しかし、鳩にはメタ認知ができないと耳にしたことがある。メタ認知ができないと数学はできないらしい。だから、鳩には数学ができないことになる。
デカルトの格言「我思うゆえに我あり」はメタ認知とは関係がないと思っていた。でも、読みようによってはそう読めなくもない。
計算機も昔とはだいぶ変わってきている。計算機が次に数学ができる存在になるのか?彼らの数学をどこまで理解できるのか?
ウィトゲンシュタインの規則のパラドクスというものがある。あるけど、どうしてもパターンがあるように思えてしまう。しかも、大抵はただひとつのパターンに感じる。でも、これは半分嘘だ。パターンを発見するのは実は難しい。
数学は無味乾燥したものだと誤解されることが多い。でも、そこには驚きがある。繰り返し、驚き続けることができる何かがある。これが本当の数学だ。 -
テオリアの正しさ、オーパスの正しさという視点は面白い。p進数に興味が湧いた。
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もっと読みやすいかと思っていたが、意外と飛ばしているところがあった。素早く2週間で書いたというだけあって、数学好きにはいいのかもしれない。
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数学における「正しさ」「美しさ」とは?正面からこの難問に対峙した伝説の書に「数学とは何なのか」を論じる後奏曲を加筆した決定版
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数学の「美しさ」や「正しさ」がちゃんと説明されている