無気力の心理学 改版-やりがいの条件 (中公新書 599)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121805997

作品紹介・あらすじ

「豊かな社会」に蔓延する無気力――それは、生存への脅威やどうしようもなく襲いかかる苦痛から解放されただけでは、「効力感」、つまり意欲的に生き生きと環境に働きかける態度は生まれないことを物語る。本書は、心理学における研究実験成果をひろく紹介しつつ、自律性の感覚、他者との交流、熟達のもつ意義など、さまざまな角度から、効力感形成の条件を掘りさげる。さらに、社会や教育のあり方と効力感との関係を検討する。ロングセラーの版を改め、読みやすくした。

感想・レビュー・書評

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  • 本人が価値をおく課題での克服できない失敗の連続、人間らしい生き方が繰り返し脅かされ、その状況を改めることができないときに無力感に陥ると考えられる。ただしすべての人が無力感に陥るわけではなく効力感が命綱となって防ぐ。効力感は報酬ではあがらず(予期せぬ報酬(ご褒美)ではあがる)、特に日本は熟達するまでの努力、それが生きがいへとつながる。ただし細部まで管理する社会であり効力感を持てないという。古い出版本だからという点もあるかも。
    336冊目読了。

  • 無気力の原因が分からなくてモヤモヤしている人間には救いの一冊だと思います。
    私自身無気力に悩まされていた経験がありましたが、この本を読んで無気力の要因と自身の生育環境を照らし合わせてはっと気付かされたものがたくさんありました。
    無気力な自分と向き合いたいけど、無気力でどうにもならない。
    そんな人にはマストな一冊です。

  • この本を読む前に、
    なぜ「やる気」は長続きしないのか。デイヴィッド・デステノ (著)

    を読んだの強く思うのだが、上記の本の内容を要点を抜き取ってさらに日本人の場合に当てはめて検討している用に感じた。特に最終章は色々考えさせられる。難しいね

    当たり前だけど、日本人とアメリカ人同じ人だけど生き方が全然違うんだな。と。

  • 無気力にならないようにするには、①無力感を獲得しないようにし、②効力感を得られるようにすればいい。効力感を得る条件は、a.自律性の感覚(自分の活動が好ましい変化を生じさせたという感覚)、b.他者との暖かいやりとり、c.熟達による自己向上の実感・内的評価である。
    以上のような大筋のもと、各章では心理学的実験の結果から無力感、効力感等の条件が洗われます。しかし、本全体も各章も短めなので専門的になりすぎず、サクサク読める新書らしい新書といえます。
    1981年初版の本なので、その後のゆとり教育に繋がるような考え方が推されており、歴史的に見ても面白いです。とはいえ、能力・努力・やりがいのようなテーマは、40年程度ではひっくり返らないので、素直に多くを学べます。

  • 「人はいかに学ぶか」を読んだ時に、この本のことを知り手に取った。

    内的動機づけが理想、自己効力感(役立っている感)、本心でやりたいと思えているかどうか。
    無気力にならないために、主体的にやる気を持って活動するために、この3点がポイントだと感じた。また、やりがいと効率に関する話題が印象的であった。管理者としては効率重視、労働者としてはやりがい重視…。ただ長期的な目で見ると、やりがいを大切にした方が良い集団になると思う。あえて効率の良いベルトコンベア式の仕事にせず、全員が一連の組み立て作業に携わることを通して、「自分たちの仕事がこんなことに役立っているんだ」という実感を持つ。この経験こそが自己効力感を生み出すのだと感じた。

    現在、仕事に対して無(気)力感を感じている自分にとって、読んで良かったと思える内容であった。早く広報誌にまとめたい。

  • 人がやる気になるにはどうするべきかがよく分かった。自己効力感という言葉に出会った。

  • 参考図書

  • 主に子どもの無気力と、アメリカと日本の社会性の違いによる無気力の原因を考察したもの。

    特に人との和を気にする日本と、競争による自分の能力値を気にするアメリカの対比が印象的だった。

  • 子供から大人、リタイア世代まで、自分の人生をしっかりと生きるにはどうしたらいいのかを研究を元に考察した一冊。親が子供に、会社が社員に、社会が個人に、そして自分が自分に、生きがいを持たせるには何が必要なのか。文化の差異も踏まえながら提案をしている。解はひとつに定まらないし、万人向けのやり方もないが、それでも無気力にならないで踏みとどまるヒントは得られたように思う。

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