モナドロジー形而上学叙説 (中公クラシックス W 41)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121600745

感想・レビュー・書評

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  • 読みそびれていたモナドロジー。面白かったです。ただ、形而上学序説は神様持ち上げすぎ。何でもあり的な論理で引いてしまいます。

  •  私たちはいま、ライプニッツのモナドロジー的な世界観に生きている。ヨーロッパ・ロシアは多極世界を構築しようとしているが、その根底にはモナドロジーの思想が蠢いているように思う。僕の仮説が正しければ、EUというブロック経済圏の一形態も元はといえばモナドロジー的世界観の体現を目的としたものであったはずである。

     ライプニッツは万能の天才である。おそよ学とつくものであれば何にでも手を出して、非凡な成果を上げた知の巨人。彼の思想の十分の一もきっと現代人は解明できていないのだろうと思う。

  • 幾何学、科学への指向性、神学への指向性、デカルトなどポストスコラ哲学への批判という指向性、立場上言えないこともあろうというバイアス、これらが幅広い解釈に耐えるスタイルを作ってるように思う。はじめの解説を読んでから本編に行ったから楽しめたところ多い。形而上学序説のほうは途中でやめた。

    合わせ鏡の複雑系の世界を描き、神はこれを秩序立てていることを、この解析によって解き明かす、「予定調和」の興奮。彼は孤独ではあったとしても、その瞳孔は常に濡れて開いていたのではないか。

    しかしながら、この形而上学がどのように効いてくるのかわからない。スピノザはもうカンフル剤ですが。

  • 予定調和(心身問題)
    【魂は自らの法則に従い、身体もまた自らの法則に従う。それでも両者が一致するのは、あらゆる実体のあいだに存する予定調和のためである。なぜなら、どの実体も同じ一つの宇宙の表現なのであるから。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】


     「七八―――これらの原理によって、私は魂と有機的な身体との結合、すなわち一致ということを自然的に説明する方法を得たのである。魂はみずからの法則にしたがい、身体もまたみずからの法則にしたがう。それでも両者が一致するのは、あらゆる実体のあいだに存する予定調和のためである、どの実体も同じ一つの宇宙の表現なのであるから。
     七九―――魂は目的原因の法則にしたがい、欲求や目的や手段によって作用する。物体[身体]は作用原因の法則つまり運動の法則にしたがって作用する。しかもこの二つの領域、作用原因の領域と目的原因の領域のあいだには調和が存している。」
    「八一―――この説によると、物体[身体]は魂がないかのように(これはありえない仮定だけれど)作用し、魂は物体[身体]がないかのように作用する。」

    • 命題集 未来のための哲学講座さん
      心身問題、風車小屋の喩え
      【表象も表象に依存しているものも、機械的な理由によっては説明できない。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ...
      心身問題、風車小屋の喩え
      【表象も表象に依存しているものも、機械的な理由によっては説明できない。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】

       「それはそうと、言っておかなければならないのは、表象も表象に依存しているものも機械的な理由によっては説明できない、すなわち形と運動からは説明できない、ということである。いま仮に、考えたり感じたり表象をもったりできる仕組みをもった機械があるとしよう。その機械が同じ釣合いを保ちながら大きくなり、風車小屋にはいるようにそこにはいれるようになった、と考えてみよう。そこでそう仮定して、その中にはいってみたとき、見えるものといってはいろんな部分がお互いに動かし合っていることだけで、表象を説明するに足りるものは決して見出せないだろう。そこで、表象を求むべきところは単純実体の中であって、複合的なものや機械の中ではない。さらに、単純実体の中に見出すことができるのは、それのみすなわち表象とその変化のみである。また、それのみが単純実体の内的作用のすべてなのである。」
      2022/01/08
    • 命題集 未来のための哲学講座さん
      無限の襞
      【全宇宙を表出する魂は、その襞が無限に及んでおり、自分の襞を一挙にすっかり開いてみることはできない。(ゴットフリート・ヴィルヘルム...
      無限の襞
      【全宇宙を表出する魂は、その襞が無限に及んでおり、自分の襞を一挙にすっかり開いてみることはできない。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】

       「そこで、どの物体も宇宙の中で起こることをすべて感知するから、なんでも見える人があれば、どの物体の中にもあらゆる所でいま起こっていることだけではなく、いままでに起こったことやこれから起こるであろうことさえも、読み取ることができるであろう。つまり、時間的、場所的に遠くはなれているものを、現在の中に認めることができることになろう。「スベテガ共ニ呼吸ヲシテイル」とヒポクラテスは言った。しかし、魂が自分自身のうちに読み取ることができるのは、そこに判明に表現されているものだけである。魂は自分の襞を一挙にすっかり開いてみることはできない。その襞は無限に及んでいるからである。」
      2022/01/08
  • ライプニッツ モナドロジー

    モナドの定義に始まり、神と人間の関係を論じた形而上学の本

    宇宙やら神話やら、話が大きすぎてわからないので、ライプニッツは カトリックとプロテスタントの対立を調和するために、この本を書いたと仮定して読んだ。

    モナドの意味は、神が 人間や世界に与える力〜森羅万象や自然のシステム

    ライプニッツの調和プロセス
    *神と世界の根本原理(形而上学)を統一させる体系を作る
    *モナドにより、多様な世界において 調和を図ることを君主に説く

    モナドの無窓性「モナドには、そこを通って出入りできる窓はない」の意味は、ここでのモナドは 信仰心や神であり、モナドを共有すれば、カトリックとプロテスタントは 互いに侵害することはないことを意味?

    モナドの表象性とは、単一実体の中に 多様性を持っている状態〜神という単一実体の中であっても、カトリックとプロテスタントという多様性が是認できる存在であることを意味?

    モナドとは単一実体。自然における真理のアトムであり、森羅万象の要素


    モナドと世界の関係〜宇宙の活きた永続的な鏡
    *個々のモナドは 内に世界を表出し、その世界は表出しあい、対応しあうモナドの総称
    *世界は唯一でありながら、それが現象するとき、我々の視点の違いに伴い、無数の世界として現れる




  • 読みはしましたが、ほとんど理解できません。そもそもモナドのイメージが定まらないです。ただ人間の意識の外側に、人間が気づけない法則があるかもしれないという認識は常に持っておくべきではないかとは考えました。

  • あらゆる可能世界の中から、神様が最善のものを選び取ってそれがナウみたいな感じですか。「懲罰と贖罪によってその悪意を正し悪を十二分に償う結果、ついには悪がまったく起こらなかったとするよりも過程全体においてはかえって多くの完全性が見いだされる場合には、神は悪を許すというべき」という文があって、少し救われたような気持になった。私個人的には、世界が沢山あるという哲学より、世界は一つしか無くて、今がザ・ベストというライプニッツの考えは共感できて好きです。大学生の時だったら、哲学の先生に質問に行けたのに、社会人になると不便。

  • 中沢新一「雪片曲線論」に触発されて。モナドについて、さらに知りたくて、手に取る。/部分のないところには、ひろがりも、形もあるはずがない。分割することもできない。モナドは、自然における真のアトムである。一言でいえば、森羅万象の要素である。(三)

  • だいすきな名作。

  • モナドに窓はない!!!!

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