統計学が日本を救う - 少子高齢化、貧困、経済成長 (中公新書ラクレ 566)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121505668

作品紹介・あらすじ

あらゆる権威やロジックを吹き飛ばし、正解を導き出す「統計学」が日本の大問題に立ち向かう!出生率アップに効果的な政策とは?1年分の寿命にかけられる医療費は?税収爆増の秘策とは?少子高齢化や貧困などの課題に対し、私たちは限られたお金と時間をどう使うべきか。統計学で、答えはすでに出ている!

感想・レビュー・書評

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  • 「統計学が日本を救う」という表題だが、少子高齢化などについて、データをもとに論じる本という方が正確。
    ただ、データに基づいているので、著者の論旨には説得力がある。
    政治家はこの本を一度読むべきだと思う。
    今すぐやらねばならないことがたくさんあり、そして、この本を読むと、その道筋ははっきりしていることがよくわかる。

  • データにもとづいて議論しようよと言っている本。高齢化、国の借金、経済成長などの社会問題に対して定性的な印象だけで議論して破滅の道をたどるのではなく、定量的な統計データにもとづいて議論し解決を探ろうとしている。

    人は社会という巨大な複雑さを自らの限られた知見からしか見ることができない。はたしてどれだけの人がその社会を正しく理解しよりよい未来に向けて行動できているのだろうかと思った。

  • 政府統計リテラシーを身に付けることができます。

  • <少子高齢化>
    子育て支援を含む家族政策費はGDP比1.25%で、イギリスの3分の1、ドイツやフランスの半分。高齢者向けの社会保障(年金、医療、介護)に対して25兆円が使われているのに対して、少子化対策には2兆円しか使われていない。

    年金の運用は、今の現役世代が支払ったお金や税金を高齢者に支払うという賦課方式をとっているため、少子化対策を進めることが年金運用を破綻させない対策にもなる。

    OECDが2005年に発表したレポートがあげている4つの少子化対策のうち、育児にかかる経済的負担の軽減と、公的保育サービスの拡充の2つは改善の余地がある。日本における標準的な世帯収入に占める児童給付の割合は2%ほどで、3~18%を占める他のOECD諸国の中で最低水準。保育所に在所している2歳以下の児童は22%で、OECDで最も恵まれた水準である50%の半分程度。

    <社会保障>
    生活保護などの社会保障制度は、これまでの歴史の結果として定着している。生活保護受給者の年間支給額は180万円だが、受刑者1人当たりの収容費用は300万円。

    幼児教育は、その費用に対する社会的なメリットの方が高く、収益率は6~17%と推計されている。教育による効果が高いのは、長期的な計画を遂行したり、感情を制御して他人と協働するといった非認知能力。

    高齢者の就業状態で比較すると、就業者の方が無職よりも幸福度が高く、前期高齢者における死亡率も4割以上低い。

    <医療>
    高齢者にかかる医療費のうち、2兆円以上が1年以内に失われた命のために使われている。

    <経済成長>
    各国の国際テストの成績と経済成長率は相関が高い。しかし、日本の政府支出に占める公的教育費はOECD諸国では最低レベル。教育費のうち、就学前は57%、高等教育では68%を家計が負担している。

  • 東2法経図・開架 B1/5A/566/K

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • まあまあかな

  • 文字通り、統計をベースとして日本を救うことに対する提言集。

    統計学そのものというよりも、統計を元にした日本の現状に対する提言という感じ。

  • ・少子高齢化の本質は高齢化ではなく少子化である。
    ・社会福祉は必ずしも弱者救済の為ではなく治安維持が目的。その恩恵は社会全体が享受できる。歴史に学ばない人は、政策の結果についての想像力が乏しい。
    ・最も効率的な政策は、原因を直接叩くこと。幼児教育は最も費用対効果の高いお買い得な政策。
    ・終末期医療にかけられる費用には限界があり、経済効用を考慮していくらまで負担しても良いのかコンセンサスを得ることが重要。
    ・経済成長と人口増加に相関はなく、教育とR&Dに投資することで十分に成長は可能。
    などなど、データに基づき論理的に論を組み立てていて非情に説得力がある。
    ここから推定できるのは、今話題のベーシックインカムは期待通りの結末にはなりそうもないということ。ほとんどの労働者の賃金は最低賃金に張り付くし、旧ソ連のように労働生産性も下がる。

    思うに、与党政治家も官僚もこの程度の事は十分に理解しているのではないか。ただ低賃金で働く底辺労働者がいなければ資本家にとって困るから、国力が下がろうとも敢えて公平な分配や教育への投資を妨げていると考えるのは穿ちすぎだろうか。官僚、政治家、資本家など特権階級だけが世代を超えて富を受け継ぐ社会を目指しているように見える。

  • 感覚ではなく、統計で現代日本の問題点に切り込む!

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著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。統計家。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバードがん研究センター客員研究員を経て、2014年11月に株式会社データビークル創業。自身のノウハウを活かしたデータ分析支援ツール「Data Diver」などの開発・販売と、官民のデータ活用プロジェクト支援に従事。著書に『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)、『1億人のための統計解析』(日経BP社)など。

「2017年 『ベストセラーコード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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