「遊ぶ」が勝ち 『ホモ・ルーデンス』で、君も跳べ! (中公新書ラクレ 455)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121504555

作品紹介・あらすじ

苦しい時、名著『ホモ・ルーデンス』が僕を原点に戻してくれた。走る根本には「喜び」があるという原点に-引退後も進化し続ける「侍ハードラー」。世界レベルでの闘いを振り返りながら、座右の書を糸口に「遊び感」の大切さを説く。ジャンルを越境して活躍する秘訣が、ここにある。

感想・レビュー・書評

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  • ○侍ハードラー 為末さん
    ・スポーツの根っこには、楽しさと遊び感覚があるはず。
     自分が競技を続けていくためには、この楽しさを殺してしまっては
     絶対にダメなのだ。
    ○この楽しさは、ビジネスを続けていくための「ワクワク感」に
     つながるのかも。
     経営の観点で言えば、ワクワクしないけどお金になる仕事は、
     利益確保の面で重要だけど、
     経営を続けていくには、(最初は)お金にならなくても
     ワクワクする仕事がやっぱり大事。
    ・廃校は、各種の運動ができる立地条件の良い施設ではないか。
    ○これ面白いなー。アスリートの感覚、知見は埋もれている宝かも。

  • ふむ

  • ”帯の言葉「努力は夢中には勝てない」に深くうなづく。為末大さんが『ホモ・ルーデンス』(ホイジンガ著)から学んだ「遊び」の大切さについて語った一冊。

    ・ティモシー・ガルウェイの「セルフ2」にも通じる「遊び感」。
    ・領域をまたぐ(=越える)ことの意義
    ・体感を増やす

    など、為末さんの主張には納得感が高い。

    実践しよう。
    あと、為末大学にも行ってみよう。


    <読書メモ>
    ・遊びとは、「はっきり定められた時間、空間の範囲内で行われる自発的な行為もしくは活動である。それは自発的に受け入れた規則に従っている」(73頁)
     『ホモ・ルーデンス』という本にそう書いてあった。
     そうだ、スポーツと遊びは似ている。(p.11)

    ★遊びって何だろう?
     遊びは真面目と対立しない。(p.15)
     #そう、両立する。

    ★少し視点をずらして、別のところから物事を見てみると、自分のこだわりから抜け出すことができる。今自分がやっていることを、距離をもって観察することができる。引いて自分を見ると、凝り固まってこだわってきたことの矛盾が現れてくる。(略)
     悩みというものの多くは、視点が固定されていることから生まれる。(p.30-31)
     #ふむ。今、必要なのはこの柔軟性かな。

    ・そんなふうに、一つのテーマを設定し、それだけに集中して他のことは考えないようにしていった。
     少しずつ身体が動き始めた。
     要するに、一つ一つ「自分」という意識を消していくことを試みていった。
     それが積み重なっていった時、スランプから離脱するきっかけを掴むことができたということだったのだろう。(p.45-46)
     #ボール、鈴、足音、腕、クラシックバレエ、ヒップホップ…。どんどん試すことで「考え」なくなった。
     #セルフ2の話に似ている。あと、試す、というのは、遊ぶに近いのかも。

    ・日本のスポーツには、なんだかちょっと、視野が狭くて息苦しいところがあるように思う。特に五輪種目になっている競技では、人々の関心が記録や競争の結果に偏り過ぎている。五輪のたびにメダルの数を他国と比べているところなど、その典型だろう。(p.59)
     #たしかに!

    ・第一人者になるためには、自分が第一人者であることを、外に現して見せなければならない。 ホイジンガ (p.94)

    ★獲れるかどうかわからない不確実な緊張があるからこそ、メダルを獲りにいくのは面白い「遊び」なのだ。
     獲れると決まっているメダルを獲りに行くとしたら、それは仕事(作業?)だ。(p.103)
     #売れるかどうか、一番になれるかどうか、も同じ。

    ・よく、リーダー待望論が聞かれるけれど、本当は「一人の強いリーダーがぐいぐいひっぱる」モデルは、日本人にはさほど必要ではないのかもしれない。一人が強く自己主張するのではなく、まるで一つの生き物のように全体が動けることは、日本人のアドバンテージだ。そうした横型ネットワーク、横つながりのコミュニケーションを、もっともっと強みとして自覚し、戦略化すべきかもしれない。(p.110)
     #向き不向きという観点でとらえていたけど、強みという風にとらえるといいのか。なるほど。
     #個人も向き不向きよりも強みで考えるといいのかな。

    ★スランプにハマって抜け出せなくなる選手、スランプにはまりやすい選手に見られる一つの傾向がある。それは、体感の量が少ないということだ。(p.133)
     #! 体感を増やそう。具体的には、木金は出よう。

    ・たぶん教養とは、そうした自由な境地にたどり着くまでの、言ってみれば基礎力のようなものだと思う。土台を形作って作動させるための、エンジンやそれを動かすガソリンのようなものなのだ。(p.140)

    ・人間にしかできないことがこれから先の社会に求められているとしたら、僕は遊びの中にヒントがあると思っている。遊びで磨かれた五感的な直感、遊びを入れる感覚、楽しいという気持ち。例えば iPhone なんていうものは、僕には「遊び感」の産物のように思えてならない。(p.196)



    <きっかけ>”

  • 元陸上選手で今も様々活動を行う為末大が、『ホモ・ルーデンス』という本の影響を受け、スポーツについて様々な思考をする一冊。

    彼が本当に読書家で、様々な角度から自分の陸上競技の体験を伝えたということがよくわかった。

  • 元ハードル選手の為末氏による人生論。ホイジンガ作の古典ホモルーデンスに触発されたことで、人生が開けた自身の経験をもとに「楽しむことの大切さ」を語っている。

  • 人間にしかできないことが益々、求められ、より先鋭化していくなかで「遊び」が大きなキーワードなるのだろう。
    また改めてホイジンガのホモルーデンスを読みたくなった。

  • 遊びとは、「はっきり定めらた時間、空間の範囲内で行なわれる自発的な行為もしくは活動である。それは自発的に受け入れた規則に従っている」我々人間は常により高いものを追い求める存在で、それが現世の名誉や優越であろうと、または地上的なものを優越した勝利であろうと、とにかく我々は、そういうものを追求する本性を備えている…そしてそういう努力を実現するために、人間に先天的に与えられている機能、それが遊びなのだ。ヨハン・ホイジンガ 大袈裟ではなく、僕はある種の絶望感に包まれた。日本一になった。「誰よりも速く走れる」という自信もあった。そんなアイデンティティを、捨てざるをえないなんて…。早くも高校3年生、10代の時に、絶望の淵に立たされることになった。 悩みというものの多くは、視点が固定されていることから生まれる。だとするなら、悩んでいる人は特に、「引く」とか「ずらす」という遊びの感覚を駆使して距離を取り、自分の中に「余白」や「ゆるみ」や「隙間」を作っていくことが大事だと思う。「仮置き」「仮決め」があっていい 物事には、いくつもの側面がある。 目の前の世界は、一時的な約束事で回っているに過ぎない。 世界の深淵なる秘密が、一つ解き明かされたような気がした。むしろワクワクしたことを覚えている。徹子の部屋 メダルバブル状態 何かに自分を《委ねる感じ》。能動的というより、自分を他や環境に投げてしまう感じ。本当に遊びの感覚が強くなってくると、たぶん、そんな風になってくるのだと思う。ZONE状態になると、自分の存在自体が消えてなくなり、周囲の環境に対応してどんどん変わっていく自分になっている。ZONEは《夢中》ということとも、どこか似ている。 パラドックスを感じる光景 トライ&エラーの楽しさ ストライド(歩幅)やピッチ(回転)合わせ技 ハードルには未知の領域が残されている。研究の余白がある。自分ならその余白を埋めることができるかもしれない。そんな予感がした。 人形遊びやおままごとは、いわば役割を演じたり、即興劇的な面白さを味わっているとでも言えるだろうか。 緊張の根源(過去、未来、他者)勝負顔 超集中状態 古い宗教には、顔にペイントをして、自分ではない何者かになりきる儀式が沢山ある。アフリカの部族には虎の毛皮を被る踊りがある。仮面をつける儀式が世界中にたくさん残っているのは、トランス状態に入るきっかけになったり、別次元に入りやすいからなのだろう。スポーツの世界でも、似たような工夫をしているチームがある。オールブラックスというニュージーランドのラグビーチームだ。このチームは、試合前に先住民族マオリ族の伝統的な出陣の舞「ハカ」を踊ることで知られている。表情を作り、激しい感情を踊りで表し、自分達を鼓舞する儀式がそのルーツだという。心を変える。その為にまず、外見や身体を変化させる。そんな工夫だ。 別人格になるというのは、他人を「演ずる」ような、ある種の遊び感覚でもある。 バラエティ番組とは、即興劇 複数のアカウント まだまだ使っていない感覚 パラリンピアン 利己的な遺伝子 ミーム やるせなさ あわい 見せつける 侍ハードラー 球が跳ね返ってくる時の方向や速度や放物線で、自分自身が見えてきたりするからだ。 ナレッジ 暗黙知 言葉を転がす 推敲 着想 お題=ピボットの軸 クールダウン アメリカではディベートが娯楽 魚の群れ オーガナイズ組織する アドバンテージ いわば感情に訴える話がウケる メディアは感情を増幅していく装置 リアルな言葉 『夜と霧』人生のよりどころを掴む しかし敗者になったとしても、僕は何も失っていないし、はじめから何も持っていない。どんな状況でも自分で物事を決めて、進んでいいいけばいい。この本を読むうちに、こうした心境に至ることができた。 「領域を跨ぐ」ことの意義 本末転倒 ジャンルはバラバラで1ヶ月に10冊ぐらいは読了していた。 言葉を咀嚼 一日がシンプルに回っていった。頭と身体のバランスが、心地よく流れていた時間だった。定義 すっと腑に落ちるフレーズ ワクワクしたくて、手当たり次第にページをめくった。 本は、新しい発見に出会える媒体であり、素晴らしい遊び道具だ。だから、僕にとって「走ること」と「読むこと」とは似ている。 タオイズム 禅宗が説く世界観 無我夢中 教養=基礎力 「身に付く」というのは、つまり「忘れている」ということだ。逆から言えば、意識している段階とは、まだ習得していないことの証だろう。 わずらい煩い エゴ・マネジメント 自分のコンプレックスとは別の領域で、楽しさや達成感や成功感覚を得ることで、コンプレックスそのものを消してしまうことはできないだろうか。知識やノウハウを蓄積した土台の上に、「思考」や「創造」の力をつぎき接ぎ木しなければ、伸びてはいけない。応用領域とは、「遊びの領域」だと思う。発想力を磨き、新しい方法をクリエイトすること。強さというものは、反復や基本のその先にあるのだ。 俳句と欧米スポーツの共通点 遊びは真面目に転嫁し、真面目は遊びに変化する。 為末大学 僕は、学習の究極の形態は「遊び」ではないかと思っている。 道教の「胡蝶の夢」 アスリート外交 潜在的なニーズ 引退特需 アスリートの身体は、「感覚センサーの集積物」言ってみれば、''ボディ・マイスター''だ。 「サンク・コスト」とは、つまり埋没した費用。 断捨離 念を継がない 結局、人の苦しみの根源を探っていくと、過去に起きたどうにもならない出来事に対して拘っている自分の存在を見出す。過去に対して、いかに対処するか。それが人生における大きな問題なのだ。その瞬間は、突然やってくる。 ブランドという付加価値はある種の「ムダ」であり「遊び」的だと言うこともできる。 ネイティヴ・アメリカンの通過儀礼 仮の死をそこで迎える 16歳にして「死と再生のプロセス」を疑似体験するのだ 私達は本来的に、何かを表現したい生き物で、そしてまた誰かの表現を受け取ることで、新たな表現が生まれる。

  • スポーツと遊び

    自分(内)と他人(外)、次に向けて(教養?)

  • 出張の機内で読了。為末さんが若いころから競技者として感じてきたことが、ホイジンガーの「ホモルーデンス」という本に描かれていたということで、そのエッセンスを自身の体験とともに語る。
    遊ぶということは、自主的に物事を楽しみながら追求すること。そこにスポーツでもビジネスでも上達の秘訣があるのではないかという。たしかに、やらされる仕事はつまらないし、周りにあわせて半ば強制的に取り組む趣味はつらい。少しの発想の転換が、大きな違いを生みますね。

  • 遊びとスポーツの関係

    第4ハードルの、エゴ・マネージメントは興味深かった

    タオイズム、ホモ・ルーデンスなど
    なじみのない話題が多く、勉強になりました。

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著者プロフィール

1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2021年12月現在)。現在は執筆活動、会社経営を行なう。Deportare Partners代表。新豊洲Brilliaランニングスタジアム館長。YouTube為末大学(Tamesue Academy)を運営。国連ユニタール親善大使。主な著作に『Winning Alone』(プレジデント社)、『走る哲学』(扶桑社新書)、『諦める力』(プレジデント社、小学館文庫プレジデントセレクト)など。

「2022年 『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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