古代オリエント全史-エジプト、メソポタミアからペルシアまで4000年の興亡 (中公新書 2727)
- 中央公論新社 (2022年11月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121027276
作品紹介・あらすじ
西はナイル河、北は黒海、東はインダス河、南はアラビア海に囲まれた地域がオリエントである。この地は人類初の文明が誕生し、諸民族が行き来し、数多の王国が栄え滅びていった地であった。シュメルやバビロンのメソポタミア、象形文字や太陽神信仰など独自の文明が発達したエジプト、鉄器を生んだアナトリア、これらの国々が激突したシリア、そして東の大国ペルシア。4000年にわたって巨細なスケールで俯瞰する。
感想・レビュー・書評
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自分のようなほんの少ししかオリエント史の知識を知らなくても頭にスルスルと入った素晴らしい本。
多分著者の方が因果関係をしっかり書いてくれているので頭に入るんだと思う。
それにしてもオリエントは恵まれた地域である分他国が侵入する頻度も高いので、本当に忙しない。でもそれによって文明の発展度合いも日本じゃ考えられないほど凄まじいので、そういうところが面白いし今のあらゆる出来事に繋がって大事だなあと感じた。
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4000年の興亡をたどる意欲的な著作である。
大局の流れをつかむつもりが、細部にわたり詳述される内容に圧倒される。島国の日本と違い、国境の定めなき世界で、移住する民族が互いに凌ぎを削り、現れては消える苛酷な歴史が淡々と語られている。迷路に入り込むかのような雑多の情報に溺れそうになる。この道の専門家でないと読みこなすのは難しい。大きな時代区分ごとに章にまとめられ、各章では整理された年表に沿って説明されるのが助けになる。読み終わって巻末を見て、初めて著者が女性であることを知り驚く。 -
・西はナイル河から東はインダス河まで、アケメネス朝ペルシア(前550-前330年)が統一した広大な地域の、前3500年頃から前330年までの3000年以上の、人類最長の歴史時代が古代オリエント史である。
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難しかった。ロマン溢れる古代の世界をもっと知りたくて読んだが、馴染みのない地名や人名が多く、読むのに時間がかかった。現代とも共通する出来事もあれば、古代ならではの出来事もあるということが知れたのは面白かった。例えば日食に驚いちゃうとことかが。
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古代オリエントの全体像が把握できる。しかし、土地勘がないと出てくる土地名がピンとこないので、地図と首ったけにならざるを得ない。
それにしても、4000年史と言っても紀元前にくくられてしまう歴史の壮大さにはクラクラしてしまう。 -
古代オリエントの歴史を地域に分け詳しく書いてあった
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現代のパレスチナ問題につながる歴史を知ることができて、問題への関心が高まった
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現在、シュメール文化研究の第一人者(と言っていいと思う)、小林登志子氏による、古代オリエントの歴史解説。歴史を丹念に追っている一方、語り口が読みやすく、また最新の研究の観点から、様々な学説に対しての解説も十分揃っており、入門編としては十分だと思う。
氏も書かれているが、我々日本人がオリエントについて知っているのは、大半がエジプトとギリシャの歴史書に基づくものである。四大文明発祥の地なのに、斯くも知識が浅い。
ペルシア戦争など、ヘロドトスの歴史に基づくギリシャ史観によると悪の帝国の侵略となってしまうが、ペルシャ側からすれば辺境の反乱を誘発する外国への懲罰的示威行為となる。事実、ペルシャ帝国にとってはペルシア戦争は局地戦に過ぎず、その後のペロポネソス戦争でも大きな影響力を有している。
中々知ることの少ない古代オリエントについて学べると同時に、歴史の多面的な見方の重要性を再確認させてくれる名著。