カラー版 キリスト教美術史-東方正教会とカトリックの二大潮流 (中公新書 2718)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121027184

作品紹介・あらすじ

ローマ帝国下、信仰表示や葬礼を目的としたキリスト教美術が成立。やがて4世紀にローマ帝国が東西に分割されたことによって、二大潮流が形成される。一方は、1000年にわたり不変の様式美を誇ったビザンティン美術、もう一方は、カロリング朝、オットー朝、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックと変革を続けたローマン・カトリック美術である。本書は、絢爛たるキリスト教美術の歴史を一望。100点以上の図版をフルカラーで解説する。

感想・レビュー・書評

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  • キリスト教誕生時点からローマ・カトリックの美術やビザンティン美術などを豊富なカラー図版とともに概説。多彩に発展するローマ・カトリックの美術に対し、ビザンティン美術は1000年の不変を保っていることが解説される。実際に鑑賞してみたくなる。キリスト教誕生時点の美術も興味深い。

  •  著者は明治大学准教授.ビザンティン美術史専攻.


    〇初期キリスト教美術
     ローマ帝国による,キリスト教の受容と国教化
    〇ローマ帝国の東西分裂
    〇ビザンティン(キリスト教)美術
     東ローマ帝国のギリシア正教からロシア正教に続く美術
    〇ローマカトリックの美術
     西ローマ帝国の滅亡から,ゲルマン民族による神聖ローマ帝国,現代ヨーロッパに続く
     ロマネスク,ゴシック,ルネサンス,バロックの美術

     歴史に興味と知識がなく,世界史ではネアンデルタール人以降の歴史はほとんど×.日本史では弥生時代以降は×.この歳になって,欧州について少し光が灯った.


    2023.02

  • 良質な美術展に足を運んだかのよう。初期キリスト教美術からバロックまでを扱う。著者はビザンティン美術史・キリスト教図像学を専門としている。というわけで、ビザンティン美術にも章が割かれ、西方との比較も各章でなされている。ビザンティンの抽象的表現、逆遠近法……写実的な絵画になれていると一見、稚拙に見えてしまうあり方は決して古典古代からの技術的衰退ではなく、宗教的にしっかりと意味のあるものだった。そうした点をはじめ、各地域・時代の作品がわかりやすく解説されている。キリスト教美術のとば口へといざなってくれる一冊。

  • 東方と西方のキリスト教の違いが芸術に濃い影響を与えている。

  • キリスト教の主に絵画美術をローマ地下のカタコンペから始まって近代直前のバロックまで時代順にたどります。私に根本的にキリスト教知識が無いので絵の場面説明はチンプンカンプンなのですが、古い時代やビサンチンは絵が稚拙なのではなく描きたい対象の何に注目していたかによって対象の大きさなどに影響が出ているだけで稚拙なわけではないというのが判りました。
    そうはいってもルネサンス以降の人間味のあふれる宗教画のほうが好みなのは変わらないのですが。

  • 【請求記号:702 タ】

  • キリスト教の美術、ビザンチンとカトリック、カトリックの変遷(ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックの変遷)についていくつかのテーマについてどのように描かれてきたのかを比較解説した本。ルネサンス、バロックが好きな身としてはもっとそちらに注力してもらいたいと思いつつも、キリスト教美術の理解を深めるには大変良い。ビザンチン美術が時代が経ってもなぜあのように平板に描かれているのかが実は神を描くのに写実的に描くと現実的になりすぎて神性が損なわれるという理由を知って、単なる稚拙な絵画ではないということに初めて知った。なかなか奥が深い。
    絵画の写真もふんだんに盛られてよいが、写真が小さいため解説に書いてあることが少々理解しずらいところがある。もう少し図解を詳しくしてもらうとさらに良かった。

  • K図書館
    100点以上の図像のカラー写真
    巻末、年表、文献
    とても読みやすい

    1章キリスト教美術の誕生
    2章帝国の後ろ盾とキリスト教美術
    3章カロリング朝とオットー朝の美術
    4章ビザンティン美術
    5章ロマネスク美術
    6章ゴシック美術
    7章ルネサンス美術
    8章バロック美術

    《感想》
    美術を見る上で世界史とキリスト教ははずせない事柄だ
    しかし難しいから一筋縄ではいかない
    研究者の著者が、一般でも読めるようにまとめてくれて本当にありがたい
    たぶんこの本を読まなかったら、キリスト教美術は素通りだったと思う

    《抜粋》
    ・キリスト教の信仰とキリスト教美術の始まりは一致していなく、信仰を強要する政策が取られるようになった2世紀末から3世紀半頃にようやく美術が生まれた
    ・自らの信仰を表すために図像が用いられるようになったことがキリスト教美術の出発点
    ・ローマ帝国は395年東西に分裂
    西側は西ローマ帝国→その後滅亡
    東側は東ローマ帝国=ビザンティン帝国
    1453年までビザンティン美術→滅亡→ロシアに引き継がれた
    ・19世紀ギリシア独立、キリスト教美術盛り返す→東方正教会の美術
    ・西ヨーロッパのキリスト教美術は独自の展開、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックなど

    ・ステンドグラス
    起源はわからず9世紀が最古、12世紀に制作工程が記されていた
    ゴシック美術で目指したものは垂直、高さ
    骨組みを細く、壁面の変わりにステンドグラスを使った
    ゴシック美術は、古典古代に倣っていなかったため、粗野なものとみなし蔑むような意味が込められていた

  • 京都府立大学附属図書館OPAC↓
    https://opacs.pref.kyoto.lg.jp/opac/volume/1251935?locate=ja&target=l

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著者プロフィール

瀧口美香
1966年東京都生まれ. 早稲田大学大学院博士課程修了. ロンドン大学コートールド研究所にて博士号取得. ビザンティン美術史専攻. シリア, ヨルダンの舗床モザイク, クレタ島のフレスコ壁画, セルビア, コソボ, マケドニアの聖堂装飾にも関心を持ち, 各国でフィールドワークを行っている.
著書に, “Some Greek Gospel Manuscripts in the British Library”(The Electronic British Library Journal, 2011), 『ビザンティン四福音書写本挿絵の研究』(創元社, 2012), 『初期キリスト教・ビザンティン図像学研究』(創元社, 2018)がある.

「2022年 『カラー版 キリスト教美術史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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