フランクリン・ローズヴェルト-大恐慌と大戦に挑んだ指導者 (中公新書 2626)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121026262

作品紹介・あらすじ

フランクリン・D・ローズヴェルトはアメリカ史上唯一4選された大統領である。在任中には大恐慌と第二次世界大戦という未曾有の危機に直面した。内政では大胆なニューディール政策で景気回復に努め、外交ではチャーチルやスターリンと協力してドイツ・日本と戦い、勝利への道を開いた。ポリオによる不自由な身体を抱えつつ、いかにして20世紀を代表する指導者となったか。妻エレノアらとの人間模様も交え、生涯を活写する。

感想・レビュー・書評

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  • ローズヴェルトの生涯をコンパクトにまとめて読みやすい本ではある。しかし、彼の残した業績は問題が大きすぎて、その後の世界とアメリカの在り方に大きな禍根を残すことになっている。この点について全く触れていないのはどうしたことであろうか?

  • 歴史に「たら」「れば」はないが、もしフランクリン・ローズヴェルトが第二次世界大戦後まで生きていたら。原爆投下はなかったか?どうだろう。

  • 大恐慌と第二次世界大戦という未曾有の危機をいかに乗り越えたか。家族との人間模様も含め、史上唯一4選された大統領の実像を描く。

  • 第二次世界大戦中の偉大な大統領、フランクリン・ローズヴェルトの生涯を描いた良書。

    経済危機や戦争といった非常時、有効な意思決定がどのようになされたのかを知ることができるのは興味深い。

    「専門家に議論を戦わせ最後に判断する」といった点や、路辺談話のように国民に分かりやすく説明しコミュニケーションをとる、といったことは、「決断の本質」や橋下徹さんの「決断力」「実行力」などにもその様式が現れており、良きリーダーとなるために身につけるべき必須の方法であるともいえる。

    その他、妻との微妙な夫婦関係や、人権よりも政策を優先させれるといった、政治史には出てこない面も記述されており、歴史の一ページを知るといった目的で読んでも有用な知見が得られるように思う。

  • 東2法経図・6F開架:B1/5/2626/K

  • 【彼の指導力を支えたのは、言葉の力であり、高いコミュニケーション能力で自分の考えを国民に伝え、信頼を勝ち取った】(文中より引用)

    アメリカ史上最長となる12年にわたって大統領職を務めたフランクリン・ローズヴェルト。大恐慌や世界大戦といった未曾有の危機を、彼は指導者としてどのように乗り越えていったのか......。著者は、筑波大学で教授を務める佐藤千登勢。

    コンパクトにローズヴェルトの半生を知ることができるとともに、彼のどこが後世的にも評価されているかが把握できる良書。機を熟すのを待つことができただけでなく、その機をコミュニケーション能力によって手繰り寄せることに長けていたんだなと感じました。

    最近は「ルーズベルト」ではなくて「ローズヴェルト」が主流なんだろうか☆5つ

  •  本書曰く、ローズヴェルトは説得力、指導力、先見性、行動力といった項目で評価され、米史上最も偉大な大統領の1人として記憶されているそうだ。しかし本書の前半で描かれるニューディールへの歴史家の評価は低いという。また実は上流階級出身で夫婦仲は冷えていた、というのはイメージと違った。
     本書の後半は戦時大統領としての姿。まずはWWIIを背景に、ウィルソンの流れを汲む国際協調派の大統領と国内の孤立主義者との戦いだ。そのためには共和党の大物であるスティムソンとノックスを陸海軍長官に迎える。そして武器貸与法、大西洋憲章を経て真珠湾攻撃を迎える。
     それでも日本との関係では、途中まではアジア情勢に楽観的な見通しだったとか、かつて在米大駐在武官と海軍次官として野村吉三郎大使と親交があったとか、ハル・ノート後にも天皇に親書を出し望みをつなげようとしたとか。南部仏印進駐時にも、大統領自身は石油禁輸はしないつもりだったが、対日強硬派の官僚により行われてしまったという。
     また、連合国側でも一枚岩でもなかったようだ。大西洋憲章時にはチャーチルと、後にはド・ゴールと会談したが、米と、それぞれ植民地の維持や回復を狙う英仏との間には温度差があった。なお、この時期チャーチルは複数回ホワイトハウスに滞在しているが、一日中酒を飲み煙草をふかし夜中に執務をするという全く遠慮のない態度がチャーチルらしい。どちらかというと米に援助を求める立場だったと思うのだが。

  • アメリカ史上唯一4選され、第二次世界大戦を戦ったということで有名なのに、意外とこの人物のことは知らなかった。
    1640年代からニューヨークに住んだオランダ系のローズヴェルト家の家系から、過保護な母、叔父への憧れ、ハーヴァードでの学生生活、エレノアとの馴れ初め、政界入り、ポリオ、ニューヨーク州知事、ニューディール、第二次世界大戦など、FDRの生涯がわかりやすくまとまっている。
    日米交渉に関しては、米国を大戦に引っ張るために日本を挑発したというイメージを持っていたが、この本によるとそれは意図的なものではなかったようだ。日系人の強制収容にも積極的ではなく、エレノアは強く反対していた。
    FDRは経済政策等に関しての批判は多いが、国民に対する指導力など、今までもこれからも米国大統領のモデルとなり続けるであろうと結ばれている。

  • エピソード豊富で面白い。

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著者プロフィール

Chitose Sato
筑波大学人社会系・人類学専攻准教授。1963 年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科を経て、デューク大学大学院歴史学部博士課程修了。西南学院大学助教授を経て、現職。Ph.D(歴史学博士)。専攻はアメリカ現代史,労働史・女性史・社会政策史。著書に『軍需産業と女性労働―第二次世界大戦下の日米比較―』(彩流社 2003 年、清水博賞受賞作)、『アメリカ型福祉国家の形成―1935 年社会保障法とニューディール』(筑波大学出版会、2013 年)、「第二次世界大戦期の軍需産業と女性労働者―カリフォルニア州リッチモンドのカイザー造船所を事例として―」有賀夏紀・小檜山ルイ(編著)『アメリカ・ジェンダー史研究入門』(青木書店 2010 年)、 「アメリカにおける1996 年福祉改革法とジェンダー―第104 連邦議会の女性議員にみるフェミニズムと福祉―」杉田米行(編著)『日米の社会保障』(大学教育出版 2010 年)など。

「2014年 『アメリカの福祉改革とジェンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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