アメリカの政党政治-建国から250年の軌跡 (中公新書 2611)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121026118

作品紹介・あらすじ

アメリカの民主・共和の二大政党は、世界の中で極めて異質だ。実は両党は、地域の政党組織の連合体に過ぎず、党首、恒常的な綱領、党議拘束も原則ない。他方で、地方政治家、政府高官、裁判官など隅々にまで浸透し、いずれかの党派であることが当然とされる。両党は法によって優遇されてもいる。本書は、支持層・基盤を変えながら二大政党が制度化していく歴史を辿り、大統領を通して語られてきたアメリカ政治の本質を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 大統領ではなく二大政党制の形成・変容過程からみた米国政治史。現代アメリカの政治的分断も、決してトランプの個性だけによってできたのではなく、その下地が1990年代から形成されてきたことが分かる。

  • アメリカの政党政治の淵源から現代までの過程が分かる本。

    例えば、以下のようなことが良く分かって良い学びになった。しかし、新書だからか遊びが無く、中々読み進まず、読み終わった頃には疲れ果ててしまった。

    ・建国者たちは党派制に反対していたが、連邦政府にどこまで権限を認めるかで、連邦派と共和派で対立したとこから党派制が始まる
    ・南北戦争の北部は、共和党のリンカーン大統領。このため、統一後も南部は民主党を旗頭として黒人解放に抵抗。この頃は、共和党の方が進歩的 
    ・しかし、100年前と比べて大統領選における民主党・共和党の支持基盤が真逆になっている。共和党は徐々に財界と結んで保守的に、民主党はリベラル寄りに
    ・南部民主党ってどんなグループだったのか(反リベラルの南部白人層)
    ・ゲリマンダリングが出てきた背景(農村部に強い共和党の影響)
    ・たまに第三勢力も出てくるが、二大政党によって政治制度自体がそれを前提として作り込まれていること
    ・とは言いつつ、政党の中央権力は強くなく、党議拘束や資金提供も限定的。自分の力で地元でのし上がることが前提の柔構造。このため、党議よりも支援者、地元アジェンダに縛られがち。トランプが突然共和党の大統領候補として出れたのもこういう背景。(日本では、自民党でキャリア積まないと総理は無理)
    ・両党は思想的には、大きな差が無かったが、ここまで国が分断したのは冷戦後の新現象であり、それまでは共和党と南部民主党などのように党派を超えた連携が珍しく無かった。
    ・最近の左右分裂で結果的に党の方針と議員の方針が一致してきている。

  • わかりやすい、読みやすい。
    法学政治系、国際関係界隈に関心のある高校生も読めるレベル。
    アメリカ政治史とも、とれる。
    ニュースで、細かく他国の政治アクターの解説はしないので、非常に有用。

  • アメリカは最も有名な二大政党制の国でありながら、その政党は、我々が想像するような「政党」とはかけ離れた、世界でも特異な「柔らかい」政党システムであり、我々日本人の常識をもってするとしばしばその実態を見誤ってしまう。本書は、序章にてアメリカの政治システムについて基本的な解説を丁寧に行い、読者に簡単な前提知識を与えたのち、第1章から第5章にかけて、建国からトランプ政権に至るまでの250年のアメリカの歴史における各政党のあり方と変化について解説する。
    私は本書を読む前から、アメリカの政治システムについて基本教養レベルの知識を有していたが、例えば「今はリベラルである民主党は、かつては奴隷制を肯定し南部で議席を独占していた政党であった」という事実を知りつつ、その理由を解説できない状態であった。時系列で丁寧に当時の状況を説明していく本書のおかげで、それぞれの政党が多様な人々によって構成され、その時々の連邦を二分するアジェンダへの意見により結束したことで、時勢に合わせて徐々に姿を変えていったことを理解することができた。解説の丁寧さと簡潔さがほどよいバランスで非常に心地よく読み進めることができた。
    本書の序章はとてもよくまとまっているが、しかしアメリカ政治についての基本的知識を有していない人は、もしかすると (本書の執筆者の岡山裕先生も加わっている) 岡山裕, 西山隆行編著『アメリカの政治』(弘文堂) を先に読み、基本的なアメリカの政治システムと現代の主要争点を知ったあとだと、よりアメリカへの理解を深められるかもしれない。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1277615

  • アメリカは二大政党制だが、その実情は日本人の想像するものとは違う。日本の政党のように党紀に縛られるわけではなく、緩やかな集まり。
    あくまでも政治家一人一人の行動が大事。
    もちろんその裏には責任が伴う。

    したがって日本には馴染まないのではないか?

    二大政党制を目指そうというマスコミなどの意見を目にする機会があるが、こういう実情を知らせずに主張するのはいかがなものか。

    読了90分

  • 建国から現在の2大政党制が確立されるまでのアメリカの政党政治を概観する1冊。日本との制度的な相違は思ってた以上に大きいものだった。日本の政党とは異なり、アメリカにおける政党内の規律は全然取れていないそうだ。

    アメリカ人の多くは政党に帰属意識をもっており、民主党と共和党の間のイデオロギー的距離は広がり続けている。それに伴って世論も二分されているようだ。

  • 世界の中で極めて異質な民主・共和両党が、支持層・基盤を変えつつ政治を動かした歴史を辿り、大統領で語られがちな米国の本質を描く

  •  穏健な二大政党制が、分極化することで、現実への対応ができなくなった。
     やはり、こうしてみると、中選挙区制のダイナミズムを失ったことが、日本の政治の劣化に繋がったことを再認識する。
     
     ただ、それにしても、歴史を紐解いてみると、二つの政党のイメージが時間をかけて固まってきたことに。

  • アメリカの政治に対する解像度はあがったけども、やはり根本的に知らないわからない世界なので、書かれていたことの3割もわかってない気がする…

    また読むべきだなと

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著者プロフィール

慶應義塾大学教授

「2023年 『アメリカ政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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