インドネシア大虐殺-二つのクーデターと史上最大級の惨劇 (中公新書 2596)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025968

作品紹介・あらすじ

1960年代後半、インドネシアで2つのクーデターが発生した。事件の起きた日付から、前者は9・30事件、後者は3・11政変と呼ばれる。一連の事件が引き金となって、独立の英雄スカルノは失脚し、スハルト政権が誕生することになる。権力闘争が絡んだ事件の裏で、最大200万人とも言われる市民が巻き添えとなり、残酷な手口で虐殺された。本書では、今なお多くの謎が残される史上最大級の虐殺の真相に、長年の現地調査と最新資料から迫る。

感想・レビュー・書評

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  • デヴィ夫人が大好きだから読んでみた。デヴィ夫人が出てくるところだけ。やっぱり尊敬に値する。

  • (後で書きます。参考文献リストあり)

  • 3.91/150
    内容(「BOOK」データベースより)
    『一九六〇年代後半、インドネシアで二度のクーデターが起こった。事件発生の日付から、前者は九・三〇事件、後者は三・一一政変と呼ばれる。この一連の事件が原因となって、独立の英雄スカルノは失脚し、反共の軍人スハルトが全権を掌握する。権力闘争の裏で、二〇〇万人とも言われる市民が巻き添えとなり、残酷な手口で殺戮された。本書は、いまだ多くの謎が残る虐殺の真相に、長年に及ぶ現地調査と最新資料から迫る。』


    『インドネシア大虐殺―二つのクーデターと史上最大級の惨劇』
    著者:倉沢 愛子
    出版社 ‏: ‎中央公論新社
    新書 ‏: ‎222ページ
    発売日 ‏: ‎2020/6/22

  • 1965年のインドネシア共産党員の虐殺で50万人とも200万人とも言われる命が失われた。1970年代末のカンボジアのポルポトの虐殺にも匹敵する。当時、西側は共産党の一掃の望ましかったため沈黙を守った。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    序章 事件前夜のインドネシア/第1章 九・三〇事件ー謎に包まれたクーデター/第2章 大虐殺ー共産主義者の一掃/第3章 三・一一政変ー「新体制」の確立/第4章 敗者たちのその後ー排除と離散の果てに/終章 スハルト体制の崩壊と和解への道

  • これまで知らなかった事件。
    残虐さと犠牲者の数に比してあまりにも知られていないという事実に戦慄する。

  • いつも思うのだが、このテーマにおいては、スハルト側に迫れていない。沈黙と資料の限界か。

  • 1960年代、インドネシアで起きたクーデターと大虐殺。戦後史に残る謎多き事件の真相に、長年の調査と最新資料から迫る。

  • 久しぶりに夢中で読んだインドネシアに関する中公新書の新刊です。

    1965年9月30日、当時のスカルノ大統領の親衛隊が7人の陸軍将軍を殺害。彼らは革命評議会と名乗り、「国軍が大統領転覆をはかっており、それを防ぐための行動である」と声明を出しました。しかし、スハルト少将(当時)率いる国軍が革命評議会を粉砕。国軍は、この殺害をインドネシア共産党(PKI)が引き起こしたものとして、PKIに対して猛攻撃を行いました。後に九・三〇と呼ばれるこの事件をきっかけにスカルノはだんだんと権力を剥奪され、1968年の三・一一の政変でスハルトが第2代大統領に就任します。
    その間、逮捕や虐殺によって、少なくとも50万人、一説によると200万人以上のPKI関係者が命を落としたと言われています。
    奇妙なのは、カンボジアで起きたポル・ポトの大虐殺に匹敵する深刻な人権問題にもかかわらず、世界は抗議の声をほとんど上げなかったことです。また、事件も風化していて、インドネシアの歴史教科書にもこの大虐殺については触れられていません。したがい、本書の出版は意義のあるものと思います。

    本書がこの大虐殺について論じるのは、以下の点です。
    ①なぜ、これほどの大虐殺になったのか?
    ②大虐殺に対して世界はどんな反応を示したのか?
    ③大虐殺はどのように進められたのか?
    ④大虐殺から逃れた元PKI党員はどのように生きてきたのか?
    ⑤学校教育において大虐殺はどのように教えられているのか?(この部分は半ページだけ)
    これらの点が、インタビュー、現地調査、膨大な資料を使い、平易な文章で論じられています。

    著者の倉沢愛子さんはインドネシア社会史を専門とする研究者で、多くの被害者と同世代。「この歴史を正確に記述し、日本の若い世代に伝えたいという個人的な思い入れ」により、「この本が完成した」とあとがきで述べられています。その思い入れは本書で十分感じることができました。

    私自身、インドネシアに2000年から19年いました。98年のジャカルタ暴動の話、また私自身が体験した2012年のインドネシア金属自動車労連の工場侵入を伴う大規模デモを通じて、インドネシア人の集団ヒステリーについては恐怖を覚えました。本書はこういったヒステリック状態を「アモック」(インドネシア語)と説明しています。すなわち普段おとなしい人が、何かの拍子にずっとこらえてきた怒りが制御不能になり、急にヒステリックな興奮状態になるという現象です。この現象はマレー系の人々によく見られるとのことです。大虐殺はひとつの村落で、非共産党員が隣人の共産党員を殺害するということが頻繁に起きました。こんなことが、政治イデオロギーの違いや「アモック」だけで起きるものなのでしょうか?やはり、未来のためにも、インドネシア大虐殺はもっと研究されるべきテーマと思います。

    本書は、あまり知られていないインドネシア大虐殺をコンパクトにまとめた力作です。インドネシアに興味のある方、関係のある方には是非読んで頂きたいと思います。

  • 東2法経図・6F開架:B1/5/2596/K

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著者プロフィール

慶應義塾大学名誉教授
Ph.D. in History(Cornel University)、博士(学術)東京大学
1970年東京大学教養学部卒業、1978年コーネル大学大学院修士課程修了、1979年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1993年名古屋大学大学院国際開発研究科教授、1997年慶應義塾大学経済学部教授、2012年より同大学名誉教授。専門はインドネシア社会史。
主な業績:『日本占領下のジャワ農村の変容』(草思社、1992年)、『東南アジア史のなかの日本占領』(編著、早稲田大学出版部、2001年)、『「大東亜」戦争を知っていますか』(講談社、2002年)、『岩波講座 アジア・太平洋戦争(全8巻)』(編著、岩波書店、2005~2006年)」、『戦後日本=インドネシア関係史』(草思社、2011年)、『資源の戦争――「大東亜共栄圏」の人流・物流』(岩波書店、2012年)ほか。

「2017年 『日本帝国の崩壊 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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