戦争とは何か-国際政治学の挑戦 (中公新書 2574)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121025746

作品紹介・あらすじ

事例やデータを踏まえ、科学的な視点から戦争と平和を捉えようとする本書は、現在の国際政治学の知見を示すものでもある。そこからは、日本の安全保障を考える際のヒントも見えてくる。

感想・レビュー・書評

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  • データや事例から戦争や紛争を分析し、発生のプロセスや確立などを導き、国際政治として何ができるかを問う本。
    とはいっても、ゲーム理論を用いたように合理性よりも感情や駆け引きがベースにあり、なかなか難しい。
    ともかく、早くロシアに戦争をやめてもらいたいですね。
    第一歩として、国連安保理の常任理事国の拒否権を廃止してほしいね。

  • 国際政治学を科学的に分析した本。これまで戦争に対して勝敗やその後の歴史的な影響にしか目をつけていなかったが、この本では戦争の定義づけなど細かいところから分析し、なぜこのような結果になったのか?途中で止めることはできなかったのか?事前に予測することはできるのか?を科学的に説明しているのはとても新鮮だった。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/646533

  • 戦争とは何かというタイトルに引かれて読んでみた。本当に多くの人が困ったり悲しんだりする戦争って何なのだろう。
    この本はそんな戦争の始まり方、終わり方、起きやすさなどをデータから導くことができないかという視点で解説している。数々の戦争はそれぞれでパターンのようなものに当てはめることなどできない、パターン化したところで新たに起きるものはそのパターンに当てはまらないものが出てきてしまうだろう。だから対策を立てようとしたところで無駄だと思いがちだ。
    でもどうやら、データを駆使すれば戦争を回避したり前もって対策を立らてておくようなことができそうでもある……という空気を感じた。正直なところ、内容や書きぶりが難しくてよく理解できていないんだけど、空気が感じられたところまで。

  • 戦争に関する定義がそもそも非常に難しいため、定量的な分析、法則性の発見にどれだけ意味があるのかというのは事実である。

    しかし、安直に定量的な検討を捨てず、検証可能な研究を積み上げていくことは、戦争に関する学問を確立していくために必要なことである。

    本書を読む限りでは、自然科学に匹敵するような学問になるのは相当大変であると考えられるが、戦争に関する有益な知見を積み上げるためにも頑張ってほしいと思う。

    なお、全般的には本書を評価するが、第5章において、まだ完全に真実として確立されていない知見を持って、断言するように日本について語っているのはいかがかなと感じた。

    まあ本書は学術書ではなく新書であることから、多少一般読者向けのサービスはした方がよいのかもしれないが、第4章までの内容と少し重きが違っていて、多少残念に感じた。

  • 日本ではまだ少ないという「科学的な国際政治学」を紹介する。合理的戦争原因論、平和論、内戦、日本への示唆と未来の予測に関して。
    回帰分析に必要なデータの精度が上がっており、それに伴って研究結果の精度も高まっているよう。情報の非対称性やゲーム理論など、大学で経済学を学んだ時に知った概念が懐かしい。これらを活用しての研究は北米以外でも広まっている。根拠のない印象論やイズムに捉われるのではなく、科学的な研究を日本の政策論争にも取り入れていかなければならないと思う。

  • 統計学やゲーム理論を使いながら国際政治を分析することによって、国際政治学という学問を科学的たらしめようというのが今日における国際政治学の主流派の目論みらしい・・・。これでは経済学と同じく、各理系分野からソーカル事件よろしく馬鹿にされる運命をたどることになると思うのだがどうなんだろうか・・・。とりあえずぼくは高坂正堯の『国際政治』も確認してから本書にまた戻って再読しようと思う。

  • 歴史のデータ分析をもとに戦争に関する政策的示唆を与えてくれる。
    ・内戦においては首都攻防型よりも分離独立型の方が長期間になりやすい。これは能力差の情報非対称性が解消しないためである。
    ・貿易の依存関係は紛争の確率に影響を与えない。投資の依存関係は代替の利かないコストなので影響を与える。
    ・領土問題については二国間交渉よりも国際裁判の方が内閣支持に影響を及ぼしにくい。(政治的カバーとしての役割)
    ・憲法第9条の周辺国に対する安心供与の効果。

  • 「本書は、国際政治学の最前線の成果を用いて科学的に国家感染創や内戦を論じ、多くの疑問に答える」いうてるが、めっちゃ読みにくい。
    そして、唯一読みやすい第五章日本への示唆は逆に、科学的から離れて、中国の経済成長を背景とした、中国の軍拡と、それに対する日本のリアクションを、まるで逆であるかのように主張して、軍拡のジレンマを述べるなど、読む価値は一切無かった。

    結局、国際政治学にできること(第6章標題)はあるかもしれないが、著者にできること/本章を通じてやったことは、日本の安全保障への努力への拒否以外の何物でも無く、結局この書籍はプロパガンダでしか無いと断言せざるをえなかった。買って損した。

  • 回帰分析や調査実験を用いた戦争の生起確率の研究の紹介。戦争が起きる基本的な仕組み。民主主義、報道の自由、経済的相互依存等が戦争を起こしにくくするのは本当か。研究から今後日本が直面しないためにどう振舞った方が良いかの示唆、等。

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著者プロフィール

多湖淳

早稲田大学政治経済学術院教授.1976年静岡県生まれ.1999年東京大学教養学部卒業.2004年東京大学大学院総合文化研究科(国際社会科学専攻)博士課程単位取得退学.2007年2月東京大学より博士号(学術)取得.神戸大学大学院法学研究科准教授などを経て現職.2017年からオスロ平和研究所・グローバルフェロー.
著書:『武力行使の政治学』(千倉書房,2010年)共著:『政治学の第一歩』(有斐閣,2015年)など

「2020年 『戦争とは何か 国際政治学の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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