光明皇后 - 平城京にかけた夢と祈り (中公新書 2457)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024572

作品紹介・あらすじ

藤原不比等の子として生まれ、同い年の首(おびと)皇子(後の聖武天皇)と一緒に育った光明子。多くの期待を背負った彼女は、やがて皇后となり、大仏建立等の政策を補佐していく。華やかな天平時代はしかし、長屋王事件、相次ぐ遷都など動乱の時代でもあった。皇太子の死、藤原四兄弟の急死などもあり、光明皇后の生活は愁いに満ちたものとなってゆく。時代史のなかに光明皇后の生涯を位置づけ、新たな人間像に光を当てる。

感想・レビュー・書評

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  • 20220503 -0518 丁度奈良旅行へ行くので、どっぷり浸ろうと持参。光明皇后については、どちらかというと夫の聖武天皇を支えてというか凌駕するような男勝りの藤原家の皇后、というイメージが強い(漫画や小説などでもそんな感じ)。本書では夫(天皇家)と実家(藤原氏)の狭間に立って調整を図りながら苦悶する女性、という感じ。聖武天皇が意外に(失礼!)独裁的な王権をふるう権力者、という側面があったことを歴史書や遺物等から掘り起こしていて、そこは新鮮な書き方だった。著者は光明皇后に対する思い入れが深いみたいで、やや主観的な書きぶりになっているところがちょっと残念ww。

  • 聖武天皇の皇后である藤原光明子の一生を辿る一冊。論証のしようがない心情を元にした仮説が多いのはどうなんだろう…仏教的視点からの論述は色々と興味深い点も多かった。

  • 天武天皇から桓武天皇の間の天平時代ってあっさり流されることが多いので初めて知ったことも多かった。
    例えば、聖武天皇と光明皇后が幼なじみだったとかね。
    聖武天皇のイメージも大いに変わることとなった本作品。

  • 長屋王の神仙思想は知らなかった
    左道じゃん!
    臣下が天皇の長命を祈り写経してもいいものだろうか?
    本当に邪な気持ちがなかったのかな?

  •  著者の講演を聴き、そして同郷の二年先輩という親近感もあり読んだ本です。聖武天皇・光明皇后のことは少し歴史の教科書をかじったくらいであまり認識はなかったのですが、この本を読んで、二人は同い年で、兄妹のように育ったということを初めてしりました。
     そして、藤原不比等、藤原氏、橘氏、大伴氏などなどの権力抗争、仏教と古代国家の関係など、学ぶことが多い本でした。
     あとがきにあるのですが、古代史研究における奈良朝から平安朝への移行、孝謙=称徳女帝の父聖武天皇、そして、孝謙、聖武にとって切っても切り離せない光明皇后のこと、著者が長年取り組んできたことの一定のまとめがこの本のようである。
     これをきっかけに、この時代の後先についてもう少し関係する本を読んで見たい気になりました(笑)。

  • 聖武天皇と一緒に大仏を建立した天平文化のヒロイン・光明皇后。長屋王の変などの政変や肉親との死別が相次いだ悲劇の生涯を追う。

  • 天平時代は異国の文化を受け入れ華やかに天平文化が花開いた時代ですが、一方で、その名を欺く天変地異、飢饉、流行り病で治世に厳しい時代でもありました。聖武天皇、光明皇后、孝謙天皇の処し方と絆を光明皇后を軸に描きます。新しく知ったこともありますが、光明皇后の考えや判断を断定することは難しく、すっきりしない叙述はやむを得ませんね。

  • 聖武天皇の妻で、孝謙天皇の母。藤原不比等の娘。
    60年を生き抜くことは大変なタスクだったと思う。
    聖武天皇と幼い頃から不比等邸で共に育ち、お互いをよく理解し、大切に思った良きパートナーだったという、著者のあたたかい視点から描かれており、古代に思いを馳せながら心地良く読み通せた。

  • 本書は、奈良時代の聖武天皇の皇后であった光明子(藤原不比等と県犬養橘三千代の子)に焦点を当て、光明子がどのような思いで生涯を送ったのかを探求する書。聖武天皇の跡継ぎとなる嫡男を産めなかったのをどのような思いでいたのだろうかと想像します。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=10648

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著者プロフィール

1947年大阪府生まれ。京都女子大学大学院修士課程修了。京都女子大学文学部講師等を経て、1994年同大学教授。現在、京都女子大学名誉教授。文学博士(筑波大学)。専攻は日本古代史(飛鳥・奈良・平安)。主な著著に『平安建都(日本の歴史5)』(集英社)、『日本古代宮廷社会の研究』(思文閣出版)、『最後の女帝 孝謙天皇』『奈良朝の政変と道鏡』(ともに吉川弘文館)、『女性天皇』(集英社新書)、『藤原良房・基経』(ミネルヴァ書房)、『光明皇后―平城京にかけた夢と祈り―』『持統天皇―壬申の乱の「真の勝者」―』(ともに中公新書)がある。

「2022年 『聖武天皇 「天平の皇帝」とその時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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