- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121023988
感想・レビュー・書評
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惑星科学とはまさにこういうことだなというのがわかった。地球のダイナミクスを知ることで、歴史を知ることができるという面白さ。
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ビッグバンから始まって、物質、エネルギーの動向を、物理学と化学の視点を使い分けながら語っていく。宇宙規模のマクロの文脈において地球の誕生、変遷が無理なく位置づけられる。だから話の通りがスムーズ。
上巻は先カンブリア期までで生物誕生の話はほぼないが、もう満腹感がある。
中巻以降ではダイナミックな変動が減っていくことは明らかなんだし、上巻ほどの爽快感は望み薄だと思う。
まあ、続きも読むけど。 -
[評価]
★★★★★ 星5つ
[感想]
上巻は宇宙・地球の誕生や地球の構造についてが書かれている。生命の誕生は中巻以降。
様々な分野に横断する知識が地球の歴史という軸でまとめられているため、各分野を広く浅く知るためには大変に良い本だったと思う。
特に地震と関連が大きいプレートテクトニクスに関する解説は身近な現象が地球全体の大きな活動の一部であるということはとても壮大に感じ楽しめた。まあ、地震による災害は勘弁してほしいのでエネルギーを溜め込まずに少しずつ解放してくれるといいんだけどね。 -
第1章 太陽系惑星・地球の誕生(宇宙の大構造と銀河系;太陽系の誕生;地球から飛び出した男)
第2章 マグマオーシャンの冷却と核・マントルの分化(マグマオーシャンの冷却と固結;核とマントルの分化;上部マントル・下部マントル・地殻の分化)
第3章 プレート・テクトニクス開始と大陸の成長(プレート・テクトニクスの始まり;地殻の誕生;大陸の分裂・合体とウィルソンサイクル)
第4章 大気と海洋の誕生と炭素循環(生命の星「水惑星」の誕生;海洋の誕生;炭素の循環)
著者:鎌田浩毅(1955-、東京都、地球科学) -
サイエンスの本で途中で挫折せず、これほど夢中になって読むことができたのは生まれて初めてではないだろうか。アウトリーチ活動の第一人者でもあるブリッジマン鎌田さんの力作です。
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図表豊富、それだけで価値、有難味あり
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地球の歴史46億年を3冊の新書で概観しようという大胆な試み。上巻は地球の誕生から海に覆われるまでを描くが、どうしてそんな昔のことが分かるの、と不思議になる。しかも地球内部のことまで手に取るように説明されて驚いた。
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―――p.252
地球史を振り返ると、現在の二酸化炭素濃度は、寒冷期にあたる非常に低い水準にある。たとえば、氷河時代があった石炭紀の大気中の二酸化炭素濃度は、現在と同じような低いレベルだった。
したがって、温室効果ガスの放出が原因の一つとされる地球温暖化も、地球全体の時間軸で見ると、再び氷河時代に向かう中での一時的な温暖化と言っても過言ではないのである。
我々は自分の行いに後ろめたさがあるから人間活動に由来する二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの放出が気候変動の主要な要因のひとつだと決めつけてしまうが、でも実際にはそんな現象は地球や自然の調整能力の中からしたら些末なものなのかな。
確かに気温が上昇したら海洋は膨張するが、二酸化炭素をより吸収するようになる。森林も光合成を活発に行い固定する二酸化炭素の量は増えるのだろう。そうしたフィードバック機構のバランスが分からないと何とも言えないな、と行動しないことの言い訳、逃げ道に使われてしまうのは心配だが、本音はそこにあるような気がする。 -
地学と生物学を駆使して地球の謎に迫る。
とても新鮮だった。 -
著者の鎌田さんは、火山学者にして、勉強法の本なども書いている変わり種だが、地球の歴史という地球物理学や古生物学を含む壮大なテーマを新書三巻という形で書き上げたらしい。
その第一巻である本書は、ビッグバンから説き起こしていて、宇宙論や素粒子物理や太陽系惑星論にも話が及んでいて面白い。しかし、本書の中心は、やはりプレートテクトニクスを含む地球物理の世界で、地球の誕生直後のマグマオーシャンの状況から、地殻・マントル・コアへの文化と、その後のマントル対流による地球規模の熱と物質の大循環だろう。先行する地球物理に関する一般書を更に統合して、そこに地球規模の時間経過という不可逆的な「進化」の視点が盛り込まれていて、これ一冊で何でも分かるような気がする。
中巻以降は、生物に焦点が当たっていくようで、上巻とは毛色が異なるようだが、それでも読んでみたいという気にさせられる。