カラー版 - ゴッホ〈自画像〉紀行 (中公新書 2292)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022929

作品紹介・あらすじ

三七歳で自ら命を絶ったヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。彼の画家人生は、わずか一〇年あまりにすぎない。その短い歳月に、四〇点を超える自画像を遺した。なぜゴッホはこれほど多くの自画像を描き、そしてそこに何を見いだしたのか-。ゴッホ研究の第一人者が、その求道的な生涯とともに、自画像を一点ずつたどっていく。丹念な作品の読解によって浮かび上がる、新しいゴッホの世界。自画像全点カラー収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2015年1冊目。これほど多くの自画像があり、かつ技法の変化があったことに驚いた。

  • 40数点の自画像は35歳からの4年間に集中的に描かれていることに注目して、ゴッホの真髄を再評価した好著だ.1888.12.23に自分の耳を切断するという異常な行動からか、狂気の天才を称されているが、実際にはそうではないことを証明している.P142のフランス語の手紙の語句の解釈が面白い.肖像画が登場した歴史を踏まえて「ゴッホは短い生涯のなかで、人類の長い美術史の諸時代を駆け抜けた」と述べているのに共感した.また、画家を評価する上での注意点を「絵以外の"事実"で作品を解釈理解すると、"事実"が誘い出した"虚像"のゴッホを見てしまうことになりかねない」と言っている.その通りだと思う.

  • 勉強になりました。

  • ゴッホは37歳で自殺をしてしまった。彼が長生きしていたら、もっとたくさんの絵画が出ていただろう。残念なことだ。それにしてもオランダにいると自殺したくなるのだろうか。

  • 37年の生涯で画家人生はわずか10年。その間に40点を超える自画像を残した。自画像以前の時代、自画像の時代、自画像以降の時代からゴッホ作品の変遷を解説している。カラー図版が多くゴッホの魅力を再認識した。

  • 極めて刺激的。ゴッホへの見方、絵画の見方、最後のエピローグでは歴史の見方すら変わる。炎の人ではなく、試行錯誤をする人がゴッホ。絵画を通して絵画にならないものを求めた部分も感じた。著者のように筆力がある学者さんっているんだな。

  • ゴッホの描いた自画像を軸に、ゴッホがかいた主に手紙を道案内としてその「絵」の内面を旅する...ガイド版...といったところだろうか?

    自画像とはあるけれど中には風景かなども含まれている。
    風景画が自画像か?と問いながら読み進むとそのキャンバスに書き込まれモチーフ一つ一つに意味があり、自己投影という事に行き着く...

    素晴らしい解釈、洞察、そして時代背景...
    自画像は時系列に沿って解釈されており、その裏付けはゴッホがテオに宛てた手紙が主であった。

    こんなにも多くの自画像を残したのか...と驚く。
    自己の内面に目を向け続けた画家なのか?とも思ったり。

    ただゴッホの絵に興味を持ち何冊か読んで見たけれど
    この自画像に焦点を当ててゴッホの内面に触れられた事は
    何冊かの本を読む順番としてもちょうど良いタイミングだったように感じる。

    掲載されている絵画はその所蔵先があとがきの後に掲載作品リストとして載っている。
    思わず本物を見て見たい!と思うものも多数あり(海外)
    タイトルの紀行にも繋がるなぁ〜と思ったり。

    引用図書の記載は本文中にあり、さらなるゴッホを求めて読んで見たい!と思うものばかりであった。

    素晴らしい本だと思う。

    他の著書も読んで見たいと思う。

  • ゴッホ展の前に参考図書2冊目。

    ゴッホの描いた大量の自画像を元に、ゴッホについて探っていく。本書では自画像以前の時代、自画像の時代、自画像以降の時代と3区分されてゴッホの人生や精神世界を見ている。
    自画像の時代には多くの自画像が載っているが、素人目に見ても初期と末期では描き方がまったく違うことがわかる。最初は茶褐色で暗くのっぺりした自画像から、ブルーが中心になり躍動感のある筆使いが特徴的な自画像に変貌していく。著者は精神世界を推察するというより背景の描き方やタッチについて各自画像を比較しながら語っている。

    こんなにもある自画像は何のために描かれたのか?画家としての自己に目覚め、自分という存在をどう描き出すか。発作が起きて施療院に移ってからは自分の内面を見つめる自画像になっていると筆者は語る。

    また、本書には筆者の感じる、ゴッホが色やタッチや背景、描いているものを選んだ理由が書かれているが、ゴッホは本当に意図があって描いていたのだろうか?素人なので分からないが、少々筆者の考えが強すぎる気がしてしまう。。

    ゴッホに関する本は2冊しか読んでいないが、ゴッホは決して気が狂った人間なのではなく、痛いほど他人に優しい人だったんだなと思っている。

  • ゴッホの絵を見に行く予定があり
    そういえば何も知らないなと思い手に取った本

    読書目的からサラッと流し読みですが
    知らなかった事が沢山あって絵の理解が深まりそうです

    1番驚いたのはゴッホが牧師を目指していた話
    信仰心が強いが故 教会のあり方に疑問を持ち
    自らの信仰心を絵で表現しようとしたと言うところに
    非常に興味が持てました

    絵を見に行く前に一読の価値あり

  • 2015年2月新着

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著者プロフィール

同志社大学大学院時代に『岡倉天心』(紀伊國屋新書)を書き、以後岡倉に関する論考多数。著書に『岡倉天心』(ミネルヴァ日本評伝選)『美を生きるための26章』)(みすず書房)『名文に学ぶ文章作法』(明石書店)ほか。

「2013年 『新訳 茶の本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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