復興計画 - 幕末・明治の大火から阪神・淡路大震災まで (中公新書(1808))

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018083

作品紹介・あらすじ

日本の都市は街路が狭く、木造家屋が密集し、公園などオープンスペースに乏しい歴史的な都市形態をしていることが多い。そのため、自然災害や大火などによって甚大な都市災害が引き起こされた。地震、戦争、そして明治以降頻発した大火で崩壊した諸都市は、どのような復興計画を立案し、実行してきたのか。安全で暮らしやすい都市環境の整備に知恵と努力を注いだ、近現代日本の復興の歴史を辿り、今後の都市づくりを展望する。

感想・レビュー・書評

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  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:518||K
    資料ID:95050438

  • 街に対する新たな視点。これを持って街歩きをする。
    多くが忘れ去られている教訓。

    ・防火のための道路拡幅

    ・都市計画法の生い立ちにおける縮小。予算と規制権限

    ・東京市民によるものとして発起した関東大震災からの復興

    ・1930年からの平時の都市計画への財源確保

    1.郊外における街路網の決定
    2.駅前広場と高度利用の計画
    3.郊外地統制と区画整理
    4.大都市膨張抑制のためのグリーンベルト計画(〜緑地)

    ・災害復興の国庫補助(受益者負担の限界)

    ・戦災復興における国の関与、予算化の経緯

    ・国有地の緑地化と維持・継承

    何をどんな段取りで、いつ頃までに決めるのが良いのか、これまでの経験から大まかな指針をつくることはできないか。

  • 復興、あるいは防災のための都市計画といったことの、明治以来の流れについて、横並びで眺められるのが面白い。発想、制度、実行力、成果といったことについて、各時代のことを振りかえって評価できるかのよう。

    東京にとっては震災復興の成果が大であり、戦災復興はほとんど失敗に終わった、くらいにおもっていたけれど、東京はさておき、各地に与えた戦災復興のインパクトは大きかったのだ、と認識。

    また、地方の頑張りしだいで地方の活力(都市づくりの成功度)がきまる、という現代の傾向は、戦災復興や、その前の1930s頃からだなぁとも知った。

  • <閲覧スタッフより>
    「我が国の都市計画、まちづくりの歴史をふり返ると、災害復興の繰り返しであった」。近代から阪神・淡路大震災まで、日本を襲った様々な都市災害とその復興の歴史。今後の都市計画にどう活かすことができるのでしょうか。

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    所在記号:新書||518.8||コシ
    資料番号:10169296
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  • 復興について詳しい説明がある。
    復興の一貫として防災についても一部触れている。

    日本全国津々浦々,参考文献と整理した情報は貴重。

    「明治の三陸津波の祭は、、、例外的に宮城県唐桑村大沢集落では、村独自で組合による海岸低地から高台に集落移転していた。その結果,この移転集落は1933年の津波では無事で何ら被害を受けなかったが、海岸に再度移転した數戸のみ被災した。このような個別の集落移転が明治期,宮城県,岩手県の計10の集落で実施されており、昭和の津波の被害を受けなかった。」
    「昭和の三陸津波の復興事業として、集落の移転(宮城県では15カ町村,60集落,岩手県では20カ村,42集落)、敷地の嵩上げ,防波堤の整備が、復興都市計画事業として国庫補助により実施された。また危険な海岸地区に建築禁止区域を定めるため、宮城県では海嘯罹災地建築取締規則を県令で制定している(違反した場合には、拘留,科料という罰則規定が付く厳しい取締規則)。」

    なぜ、うまく施策が機能しないのだろう。
    法律とお金でものを考える癖がよくないのではないだろうか。

    残念なのは、参考文献が市販の書籍でないため入手方法が不明なこと。

    我が国の歴史をふり返ると,全国一斉に都市が建設された時代が二度存在している。一度目は1600年前後の約30年間,すなわし、信長,秀吉,家康の時代で、城下町が建設された時期である。
    ...
    二度目は1945年から実施された戦災復興事業である。
    ...
    つまり、日本の都市の多くは安土桃山・江戸初期と戦災復興事業の二度の都市づくりによってできあがったといっても過言ではない。

    江戸,明治に大火があった。
    都市計画法
    まちづくり交付金
    後藤新平
    東京市政調査会

    関東大震災
    日本建築士会
    日本鉄鋼境界
    日本工人倶楽部
    都市研究会東京地学協会
    土木学会
    道路改良会
    大日本私立衛生会
    建築学会
    工政会
    港湾協会
    庭園協会
    市政講究会
    機械学会
    帝都復興連絡協議会

    第一次大阪都市計画事業誌

    1919年 道路法,街路構造令、道路構造令

    1945-1955
    都市計画税の廃止と道路整備特別会計
    戦災復興事業の見直しとそれに代わる都市改造事業の創設
    街路構造令の廃止と新道路構造令の制定

    先人に聞く大阪府の都市計画 1999

    第二阪神国道工事誌
    戦災復興誌 都市計画協会

    大阪 築港深江と船場

    街路計画標準
     広路または広場を配置し,都市の防災並びに美観に資すること 
     街路の配置に当たりては視観を重視し、建造物,公園,山嶽等を背景とする美観道路を配置すること

  •  2o11年は東日本大震災で大揺れしたし、1945年は米軍空襲で国土は打撃をうけた。しかし、火山列島の我が国に洪水・台風・大火。被災と復興は住民の自己責任から、公共の福祉に転じた。

     都市計画技術者のなかでは明瞭であった「復旧」と「復興」の概念(ii)。被災の大きさで、その概念規定は政治家、そしてメディアにも浸透したかの感がある。
     「全国一斉に都市が建設された時代」(iii)という見方がおもしろい。徳川政権創設後の城下町建設と1945年以降の戦災復興をさす

     大正8年、都市計画法が制定。関東大震災があって、1930年代は法施行が大都市から中小都市へも拡張される。
     都市化の進行ばかりではなく、冷害による農村救済のための道路工事など公共需要が増加したためとする。
     石川栄曜(ひであき)氏についても、紹介されている(150&180p)。
     
     都市計画や都市再開発は、技術サイドですすめられる都市経営の領域。背後に国の補助金政策が不可欠。
     それぞれの都市ですすめられる具体的な取り組みは目の前に示されていても、理念の形成や助成制度による加速の側面は、当事者以外には見えにくい点を、本書は描きだしてくれている。

  • 幕末から現在までの様々な災害とその後の復興について書かれた本.
    これを読むと後藤新平をはじめとする明治時代の政治家の先見性や,都市計画の大切さがわかる.
    東北地方の被災地も,ただ戻すだけでなく,付加価値を与えて復活させる「復興」を目指して行って欲しいと感じた.

  • 2005年の本でしたが、3.11の東日本大震災を受け、改めて読んでみました。復興の歴史に学ぶという姿勢は非常に大事だと思いました。意義深いものがあります。自分の仕事に活かしていければと思います。

  • 【出会い】
    学部時代、生協で見つけ購入したような。震災を機に読みなおし。

    【概要】
    幕末・明治の大火復興から関東大震災後の帝都復興、戦災復興、そして阪神大震災の復興まで、誰がどのような施策・制度設計を行い、それがいかに現在まで正負の遺産として引き継がれているのか、コンパクトに解説。

    【感想】
    新書版ながらエッセンスがまとまっている。特に人に焦点を当てている点、その努力あるいは失敗が現在まで残っているという連続性が読んでいて興味深かった。
    過去の事例を振り返って、改めて今回の震災はそれらと性格を異にする部分が大きいと認識。
    とはいえ、早期に確固としたビジョン・計画・組織・財源が必要であり、実現のため公と私の折り合いをつけていくという部分は変わらないのでしょう。

  • 参考文献が多いのでパラ読み。
    復旧なのか復興なのか。
    その違いがテーマ。

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