- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120055560
作品紹介・あらすじ
1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も、被疑者の足取りはつかめていない。
殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。
それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。
『火のないところに煙は』『汚れた手をそこで拭かない』の著者による、慟哭の長篇ミステリー。
感想・レビュー・書評
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こちらもフォロワーさんの評価が高かった為、Amazonでポチっていた一冊。
映画を見ているような物語の展開だった。
回収不足な点もあるのかもしれないが、私には十分面白かった(*^^*)
以下、ちょっとネタバレしてますので、これからの方はご注意下さい。
物語は塾講師、戸川を殺した犯人を追う刑事、その殺人犯を匿う豊子、そして殺人犯と関わっていくことになる波留と、その友人の目線から順番に語られていく。
バスケットボールが得意な少年、波留。
バスケットボールで生計を立てていた父親は、離婚してからあまり働かず、波留に当たりやをさせて生活費を稼ぐ。
桜介は、波留が転校してきてから世界が変わった。
最初は自分がバスケットボールではナンバーワンだったのだが、波留が来てからは全て波留に奪われた。
豊子は惣菜屋で働きながら、1人の男を匿う。
そして最後が刑事目線。
全く関係のなさそうなそれぞれの話が、次第に交差していく。
人の良い彼が何故殺さなければならなかったのか。。。
この本はもっと掘り下げて、この厚みの倍のボリュームで読んでみたいような、素晴らしいプロットではないかと思う(*^^*)
私はとても好みの作品だ。
この話の先がかなり気になる(*^^*)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あぁ、とても良い小説だった。
指名手配の殺人犯を匿う女性、殺人犯を追う刑事、殺人犯と知り合い食べ物をもらうようになった虐待されている少年、その少年を慕う同級生の友だち、この四人が代わる代わる語り手になり物語は進んでいく。
語り手それぞれの心の中が分かると同時に、語り手から見た殺人犯の姿も見えてくる。
それぞれの人物が抱えている人生、そしてその人生に寄り添いたいと思っているのにうまく伝えられない歯痒さ。
少年を虐待している父親は例外だけど、登場人物全ての気持ちが突き刺さってくるので、読んでいてとても切なくて痛い。
虐待されている子どもの他に障害者のことも出てきて、社会的弱者の問題に大きく触れています。時代背景が少し前のお話なので、障害者に対する社会全体の未成熟な対応に眉を顰めてしまいます。でも、これはあくまでも社会に対するものであって、障害者の家族に対しては第三者がとやかく言う権利はないと思います。世の中には当事者しか分からない問題はたくさんあるのですから。
全体を通して親はいつまでも子どもが自分の一部であると思ってしまうところがあるんだな、と感じました。でも、子どもは一人の独立した人間。子どものためと思っての行動であっても、それは子どもの意に沿わないこともある。だけど、子どもはどうしても親を頼らなければ生きていけない、だから問題が複雑になるのですね。
最後は子どもの真っすぐで純粋な気持ちにやられてしまい、文字がボヤけて読めなくなってしまいました。
文句なしの★5!
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1996年11月5日。
人気の塾の経営者、戸川勝弘54歳が教室で何者かに花瓶で殴られて殺されるという事件が起きました。
被疑者は阿久津弦35歳で戸川の教え子でした。
事件から二年間、刑事の平良正太郎は追っていますが、見つかりません。
小学六年生の橋本波留は父が母と離婚し団地に父と二人暮らし。父は波留に3歳の時からバスケットボールを教え、波留は180センチ以上ある身長をいかして、ミニバスの選手です。
父親は働かず、波留が一度車にはねられて、3百万円をせしめたのに味を占め、波留に当り屋をやるように命じ、波留は食事も満足に与えられない生活をなんとかするために父のいいなりになり、車に当たる度に転校をするという生活をしています。
ある時中学校の同級生の女性の家に匿われていた阿久津と波留が出会います。
波留は女性に隠れて食事を分けてくれる阿久津を慕うようになります。
阿久津も戸川を教師として慕っていました。
阿久津は本当に戸川を殺したのか…。
事故であるならなぜ二年間も逃げ続けるのか…。
戸川に教わっていた頃から18年もたっているのになぜこのタイミングで動いたのか…。
などの謎が出てきます。
阿久津に対する波留の思慕が痛いほど伝わってきました。
犯人ではありますが、口数の少ない阿久津の存在感がもの悲しさを感じさせる、泣かされるミステリーでした。 -
あなたの大切な人はだあれ… 心情描写が素敵すぎる名作! 涙があふれる悲憤慷慨な社会派ミステリー
■レビュー
切ねぇ! そして腹立たしい!
登場人物ひとりひとりが、様々な思いを胸に人生を歩んでいます。
もうね、思いが深すぎるのよ。そして心情描写がうますぎるの。もう涙なしでは読めません。
そして芦沢先生は相変わらず日本語が綺麗! すごく和風。読んでて心地いいんです。
テーマとなっている社会問題についても、私は全くの勉強不足でした。
ついこの前まで現存していた日本の闇で、本質的には今も解決は至っていないでしょう。ただ薄っぺらいヒューマニズムや正義感で簡単に語れないこともわかっています。本作でしっかりと胸に刻ませていただきました。
私の今の仕事においても、学生に対してより良い人生を送るための講習を行うことがあります。過去の経験や知識、今ある様々な情報を選りすぐり、ベストと思ったことをお話しています。
旗を振って人生の手引きを説くということ、それに伴うリスクや責任。そして簡単に発信できる情報化社会… 様々なことを思い起こさせる作品でした。
■推しポイント
芦沢先生はいつも親子の関係性や愛情を描くのがとてもお上手で、毎度毎度 魂を奪われちゃっているんですが、本作も強烈!
親は子供が可愛いし、愛おしい。子供は親を信じる、頼るのが「普通」。
この「普通」が何らかの事情によって歪んだときの深層心理描写。これがスゴイのよ。
余計なことは書かず、シンプルな一言や一文で激しく読者に伝えてきます。
本作では先生のお得な人間の業というより、犠牲という言葉がしっくりきました。
まさに先生の真骨頂で圧倒的でした、楽しませていただきました。 -
芦沢さん、作家生活十周年記念作品とのこと。芦沢さんは、一作ごと、着実に完成度が上がってきている作家さんだと思います。今まで、後少し、もう少し、うーんあと一息と読んできて、前回読んだ「カインは言わなかった」で次作あたり覚醒するかもと思っていました。
そして、夜の道標です。道標を見失った男は闇から逃れる事ができるのか。
メインのストーリーは、地域で人望がある塾講師の殺人事件。犯人は、早々に捜査線上に浮上するが、2年経っても、その足取りは掴めない。
何人かの視線、立場から、ストーリーを書き寄せてくる、芦沢さんの作風です。最初は、関わりの無いように思われる風景が徐々に重なり合って、感情が混ざり合います。ミステリーを取り巻く社会問題、家庭環境に重きを置いた、余白と余韻の残る素敵な小説でした。-
2023/01/31
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2023/01/31
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おびのりさん、どんちゃん!今晩は。
もう、お二人のコメントに一人大ウケ‼︎
ꉂꉂ(๑˃▿︎˂๑)ァ,、'`
おびのりさんは毎年豆まきするの(...おびのりさん、どんちゃん!今晩は。
もう、お二人のコメントに一人大ウケ‼︎
ꉂꉂ(๑˃▿︎˂๑)ァ,、'`
おびのりさんは毎年豆まきするの(,,゚∀゚︎,,;)
しかも去年から袋入り( ゚д゚)ハッ!
♪︎鬼は~土瓶さん!福は~こっち!(>ω<)□︎。・゚。
(`・v・´)ゞ了解しました☆︎
どんちゃん!いくわよ〜٩̋(๑˃́ꇴ˂̀๑)
ところで、公園の赤鬼の的って(*゚・゚)ンッ?
何はともあれ…どんちゃん方面の腹を目掛けて袋入り豆まき豪快にまくわよ( ˶˙º̬˙˶ )୨⚑︎"
おびさん、加勢ヨロシク(・`◡︎´・)ゝ
いつも心配してくれてる、どんちゃんに失礼ね〜
でも、女同士の絆は熱く
即、成立するのだ(^^;;笑2023/02/02
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個人経営の塾にて、経営者の戸川勝弘が殺害されてから2年…被疑者である阿久津弦の行方はつかめず捜査も縮小されたが、刑事の平良正太郎は継続して捜査にあたっていた…。付近の小学生橋本波留は、父親から執拗な虐待を受けており常に空腹状態…友達である仲村桜介は心配していた…。また、その近くでパートタイマーとして働く長尾豊子は阿久津弦と事件直後に再会、阿久津弦を匿う生活を送っていた…。
すごい、すごい深いなぁ…と溜息をつきたくなる作品でした。阿久津弦が生を受けてから現在までの人生は、ただただ自分の気持ちに正直に素直に生きてきた結果なんじゃないかと漠然と感じました。殺人を犯しながらも2年も逃亡している…それだけみればどうしようもないけれど、その時々で彼を必要としていた人がいたってこと、彼のひたすら無垢な心に救いを求めたていたんじゃないかな…そう思いました。小学生の橋本波留くんの心の傷は深いけれど、どんなときも彼を心配してくれた仲村桜介くんがきっと力になってくれるはず、友達って本当にいいですよね! -
塾の経営者が殺害され、元教え子である被疑者の行方がわからなくなってから二年が経つ。
その捜査を続けるのは、上司から窓際に追いやられた刑事。
殺人犯を自宅の半地下で匿う元同級生の女。
父から当たり屋をやらされている少年は、殺人犯から窓越しで食糧を貰っている。
それぞれの視点から物語は、進んでいく。
何故か読み終わりたくない、いつまでも読んでいたいのに…と思わせる内容だった。
いろんな感情が沸き起こった。
今までに感じたこともない気持ちであり、ことばにできない気持ちが、あとからあとから湧いてきた。
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親の立場から考えさせられる内容でした。
読んで思ったのは、子供は親の支配下にある立場であるという事。
選択の自由を親にコントロールされているんですよね。
この描写が波留と阿久津を通して痛いくらいによく書かれていて、苦しくなてきました。
親は子供の可能性を広げる手助けをすることも、潰すこともできます。
後者の場合、親が子のためを思ってやってしまうこともあれば、親の私利私欲のためにやることもあります。
特に切ないのは、親が良かれと思って子のための選択をしたときなのではないでしょうか。
その選択を取った時は「よかった」と無事に終わったはずなのに、十年二十年経った時に、その選択が「間違っていた」となる。
長い人生の中で、その時々の選択の結果はすぐにわかることは少なくて。どちらかというと、数十年経った時に吉なのか凶なのかが分かることの方が多い。
「間違っていた」と気づいた時には、後悔しても後悔しきれなくて、取り返しのつかないことになっている。
そんなところに子育ての難しさを感じました。
下記、阿久津の母親の母親の言葉なのですが、親であることの責任が重くのしかかってきます。
”一度子どもが生まれたら、親じゃなかった頃には戻れない。それから先の人生、一生、親で居続けなければならない。”(抜粋)
このフレーズを読んだとき、私にもこの感覚あるな、と思いました。たぶん、子どもをもったら、この感覚から抜け出すことってできないと思う。
親と子は他人。
理屈では理解できるんです。
でも、感情面で腹落ち出来ないんですよね。
「この子が将来苦労しないように……」
親が信じた方法で子供の道標(みちしるべ)を作り、導く。
その方法(今やっている事)が良かったのか悪かったのか、今の私には知る由もありません。
なかなか考えさせられるストーリーでした。 -
させた、させられた一冊。
一組の親子、一人暮らしの孤独な女性、塾経営者殺害の被疑者を追う刑事を軸に描かれていく物語。
児童虐待、他人が容易に踏み込めない現状、非力、孤独が次第に浮き彫りになるたびに憤りとやるせなさが重くのしかかる。
些細な糸口から導かれた重く思いもよらぬ真実。
二重にも絡み合う、世の中がさせた、親が子にさせた、させられたというやるせなさ。
自分を教え導く人だと信じて疑わないその純粋な気持ちを踏みにじられたと知った瞬間の言葉にならないであろう叫びと涙。
ただ噛み締め思いを寄せるしかない哀しみが残る。