- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120052378
作品紹介・あらすじ
椎名林檎さん絶賛!
「この世に生を受けた誰しもに関わってくれるやさしい哲学書です」
わが子が障害を持っているという現実をあなたは受け入れられるだろうか……。
不条理な現実を受け入れるまでの拒絶と葛藤、受け入れることができたときの感動を経験する親がいる一方で、子どもの命を自分の手で奪ってしまおうとする親、病院に捨てられてしまう子どももいる。あまりの障害の重さに治療を迷う医師もいる。
幼い命をめぐる大人たちの拒絶と受容の果てには、読む者に静かな感動を与える命の旋律が響き始める。
医学が進み、科学が進歩しても障害や病は消えません。
気がつけば、私たちの社会は医療技術で生命の質を診断する時代に変わってきています。
「授かりものの命を育む時代」が、「生命の誕生を操作して選別する時代」に入り、私たちはより一層多くの悩みに直面しているように見えます。
人生の大きな節目であるわが子の誕生という瞬間を、単純に期待と喜びだけで迎えられない時代を私たちは生きているのかもしれません。(本文より)
感想・レビュー・書評
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すごい重みのある内容でした。
星⭐️5どころじゃないですよ。
すごく考えさせられました。
やっとの思いで妊娠したと思ったら、お腹の中の子は障害が…
産まれてる子がかわいそうと言うお医者さんもいれば、なんとしても助けると言ってくれるお医者さんもいるよなぁ。
出生前診断、受けてダウン症ですって言われたって
お腹で一生懸命生きてるのに
それを中絶するってなかなか決めれないだろーし。
でも現実には、中絶する人が多いとのこと…
出生前診断では、分からなくても
産まれてから障害が分かるパターンもあるし。
難しい、感想をこれ以上書けない…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「いのちは輝く」には、さまざまな障害をもつ子どもたちと、その親の話が書かれています。
それらひとつひとつの現実が読み手に問いかけてくるもの、それは「あなたならどう考えますか」という終わりのない問いかけです。
想像していなかった子の事実に直面したとき、親は少なからず動揺します。
しかし、親が悩む時間が長ければ長いほど、子が生きられる確率が少なくなっていく事例もありました。
そんな中で43~47ページのお話は、ポンと浮かび上がってきました。
「ちょっと変わった顔貌(がんぼう)のわが子を受け入れること、重い障害を受け入れることがどうして可能だったのか」(46ページ)という問いへのご夫婦のこたえを読みながら、わたしは古代中国の思想家「老子」の思想を思い出しました。
老子は、プラスの意味ができるから、相対的にマイナスの意味が生まれるのだと言います。
つまり、誰かが何かをみて「美しい」と言えば、そう感じない人は「醜い」と言います。
見ているものは同じにもかかわらず、です。
何かを決める基準そのものが、人それぞれの思い込みから決められていて、だからこそ「唯一の正解」などというものは決められない、というのが老子の考えです。
(参考:老子と荘子が話す世界一わかりやすい「老荘思想」/長尾剛・著)
この思想をふまえて、「いのちは輝く」43~47ページを読んでいくと、はっとするものがあります。
「賛(たすく)君には、恐ろしい病名がたくさん付いています。しかし賛君の母はそれらを、単なる賛君の取扱説明書くらいにしか思わないそうです。つまり、本質ではないということです。何よりも大事なことは、賛君が生きているということ。そして、そのことに喜びを賛君の両親は感じるのです。」(47ページ)
健常か障害かは人が決めた基準でしかなく、健常だろうとなかろうと、そこに在るのは命あるひとりの唯一の子どもです。
健常児か障害児か決めることが大事なのではなく、本当はそこに在る命がその子らしくただ生きていくのをどう支えるかが大事なのです。
けれど健常を基準にして作られてしまったこの社会で、「健常ではない」とされた人が生きにくいのは当然です。
それが故に「どう生きるか」よりも「健常かそうでないか」を親も医療者もまわりも、まず見てしまう現実が、とてもせつなく思いました。
そんな目に見えない社会の空気を変えるのは、現実に生きているひとりひとりの力です。
「自分を見つめ、自分がどう感じ考える人間なのか」つまり自分の内面をつかんで活きていくことが、つまりは「自分のままで生きていくこと」そのものです。
そうした生き方をする人が少しずつ増えていくことこそ、「健常かそうでないか」という本質を欠いた議論から目を覚ますことに、つながるのかもしれません。
そして親も医療者も、「唯一の存在であるこの子が、自分のまま生きていく」そのために、なにが自分にできるのだろうか、という根本的な問いにかえっていくことが、大事なのではないかと思いました。 -
①障害を持って生まれてきた子を、家族や社会がどう受容するか
②重い障害や病気のある子に対して治療をやめてもいいのか
③病気や障害のある胎児を人工妊娠中絶することは許されるのか
「滑りやすい坂」
本当に可哀想なのは、自分自身なのかあなたの子なのか
課題の分離の考え方がここでも生きる -
2階書架 : W 050/MAT : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410167445
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登録番号:0142244、請求記号:490.15/Ma83
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ネット記事のヨミドクターで読んでいたもの。加筆修正して発刊とのことで手にした。
医学の進歩は、確かにありがたいものがあるが、それによって引き起こされる新たな課題が突きつけられている。
いのちの尊さはかねてより謳われていて、それは間違いないことではあるが、ここまで医学が進歩すると、それまでの価値観では測りがたい難題が生まれたのも事実。
著者も言っているが、丁寧に個別に話し合っていくしかない。正解はない。 -
こんなに色々な新生児の病気があるのかと驚いた。そして、赤ちゃんが生まれてくるのって本当に奇跡なんだなぁと。
障害によって長くない命を治療するのかしないのか。出生前診断は何のためか。どこまでが人間の領域なのか?
医療が発達したからこそ、子供を持つときに新たな葛藤が生まれている。 -
母親の大きな愛を感じた
しかし考えさせられることもたくさんあってひとつの答えを決めるわけにもいかないし自分ならどうするかを考えたが難しい問題だと思った -
今後妊活をしたときに、もし障害を持つ子を授かったら受け容れることができるのか。その想いで調べて手に取った本。小児外科医の著者から見た出生前診断の意義や障害児の治療について書かれていた。涙ぐんでしまうところも多かった。出生前診断を受けようと安易に思っていたけど、そこでトリソミー陽性の確率が出て、その後の妊娠数ヶ月を穏やかな気持ちで過ごせるのか不安になった。また妊娠した暁には読み返したい本