国境を越えたスクラム-ラグビー日本代表になった外国人選手たち (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120052224

作品紹介・あらすじ

「何があっても日本以外の国の代表になるわけにはいかないと思った」。かつてリーチマイケルはそう語った。ラグビーは、代表選手の国籍を問わない。居住年数など一定の条件を満たせば、国籍と異なる国の代表としてプレーできる。多様なルーツを持つ選手たちは、なぜ「日本代表」となることを選んだのか。



最初期の留学生として来日したノフォムリ・タウモエフォラウやラトゥ志南利、ニールソン武蓮傳。外国人初の代表キャプテンとなったアンドリュー・マコーミック。日本の生活・文化に魅せられたというトンプソンルーク。成績優秀ゆえに留学生に選ばれ、ラグビーに関してはほぼ素人で来日したホラニ龍コリニアシ。韓国代表を断って日本代表を目指した金喆元。日本代表が憧れだったという具智元。そして、日本の高校・大学で受けた恩をラグビーで返したいと言ったリーチマイケル……。さまざまな選手がさまざまな背景を背負って、日本代表チームに集ってきた。



異文化の地で道を拓いた外国人選手たち、彼らを受け入れたチームメイトと関係者の奮闘があってこそ、今の日本代表がある。その歴史は、多様な人々との共生をさぐる日本社会とも重なってみえる。それぞれのライフヒストリーと、秘められた熱い思いをたどる。

感想・レビュー・書評

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  • ラグビーW杯で史上初の8強進出を達成した日本代表。その約半数が日本以外の国籍を持ちながら、日本代表としてW杯出場を選択した選手たちです。ここに至るには、初めて日本にやって来て様々な苦労を経験した選手がいました。1980年代から現代にいたるまで、さまざまな世代の海外出身選手へのインタビューをもとに、彼らが日本で活躍するようになるまでの経緯をまとめたノンフィクションです。
    大東文化大学、三洋電機で活躍したシナリ・ラトゥ、仙台育英高、流通経済大で活躍したブレンデン・ニールソン、東芝府中のアンドリュー・マコーミック、そしてホラニ龍コリニアシ、トンプソン・ルーク、具智元などが登場しています(敬称略)。
    ”ガイジン”とちょっと差別的ニュアンスで呼ばれたり、海外出身選手を登録する高校、大学が”勝利至上主義”とバッシングを受けたりと様々な逆風を耐え忍んで、今や日本代表には欠かせない存在となった海外出身選手。これから日本社会が直面せざるを得ない海外出身者との共存を先取りする形で一体となったラグビー界の取り組みについて、興味深いエピソード満載の一冊です。
    日韓関係が冷え込む中、日本代表を選んだ韓国人の具智元選手の次の言葉は将来への希望を感じることができます。『今(日韓関係は)いろいろありますが、韓国人の僕も日本代表として応援してもらえる。韓国のラグビー仲間はみんな「お前は日本代表でもあるけれど、俺たち韓国の代表でもあるんだ」と応援してもらえる。僕は日本と韓国の人たちに応援してもらえる。僕がW杯で頑張ることで韓国を好きになる日本人が増えて、日本を好きになる韓国人が増えれば、と思っているんです』
    ネタバレになるので詳細は伏せますが、ホラニ選手の「龍」の字に込められた意味は本書を読んで初めて知りました。このエピソードだけでも一読の価値ありと思います。

  • ラグビーW杯の日本代表として活躍するリーチマイケルやトンプソンルーク

    外国出身の選手があたりまえに名を連ねるようになるまでのジャパンラグビーの軌跡をたどる

    ノフォムリ、ホポイ、ラトゥが先鞭をつけ
    ニールソン、マコーミックがつなぎ
    コラニ、トンプソン、具が開花させるまで

    丹念な取材とインタビューに著者自身のラグビー経験を重ねて綴る貴重なルポ

    《外国人の受け入れが生んだひずみを見る機会が多かった私には、ラグビー日本代表こそが、日本社会が目指す一つの姿ではないかと思うようになっていたのである。》──プロローグ

    《寛容でありたい》──廣瀬俊朗

    ラグビー界のみならず日本社会の進むべき道に示唆を与えてくれる一冊

    2019年8月刊
    W杯ベスト8の熱狂覚めやらぬうちに一読したい労作

    • 魚雷屋阿須倫さん
      「寛容でありたい」。これが一番心に響きました。
      「寛容でありたい」。これが一番心に響きました。
      2019/11/12
  • スポーツとりわけ部活動の年功序列の悪し習慣からの、脱却。強いチームを作るヒントがここにあった。

  • 日本のラグビーをアップデートし続けてきた海外出身選手にフォーカスを当てたノンフィクション。ラグビーにおいて、日本代表とは何か、人種とは、国境とは、スポーツとは。すべての想像を超える、大河ドラマだった。

  • 日本で学生の頃からプレーすること、外国から来た人が日本代表としてプレーすること、について当事者がどう思ってるのか、どう生活、行動、プレーしてきたのかが、ひとまとめに書かれていました。

    自分の視野をまた本が広げてくれたかなと思います。

  • 感動しました。
    少し自分を恥じました。
    読んで良かったです。

  • 能力の図抜けた外国人の入部によって、旧来の体育会系の理不尽に風穴を開ける、そんな黒船的な話は、日本の学生スポーツにおいて、さほど国籍にこだわらないラグビーならではかもしれない。ラグビー先進国から来た選手なくして、今日の日本代表の飛躍や、ラグビー人気はあり得なかった事から、本書のテーマはタイムリーと言え、にわかファンにとっては、ラグビー界の低迷期だった90年代からの推移を、留学生という視点から辿れるだろう。

  • ラグビー日本代表は、今後の日本の社会の新たなモデルケースとして参考にすべきだと思う。

  • <学生コメント>
    この秋、2019ラグビーワールドカップに日本中が熱狂した。国境を越えた‟ワンチーム”で果敢に挑むブレイブ・ブロッサムズの姿に感動した人も多いのでは?いかにして言葉も文化も異なる多様なチームが‟ワンチーム”で戦えたのか?プロリーグが開催される前に読む一冊!

  • 素晴らしい一冊。
    今年ラストを飾る、魂と人間の情と「人生」に触れる、ラグビーの素晴らしさが凝縮された一冊。外国から来て、日本に尽くしてくれる人間とそれを支えてくれる人間の多くの絆の上に、今回の日本代表の躍進があったことを忘れてはいけないことを知る。

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著者プロフィール

1977年、山形県生まれ。ノンフィクションライター。東北学院大学法学部法律学科卒業後、國學院大學二部文学部史学科に編入。在学中より『別冊東北学』(東北芸術工科大学東北文化研究センター)の編集に携わる。『国境を越えたスクラム ラグビー日本代表になった外国人選手たち』で第30回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。おもな著書に『捕るか護るか? クジラの問題 いまなお続く捕鯨の現場へ』、『東北魂 ぼくの震災救援取材日記』、『カルピスをつくった男 三島海雲』、『地図で見る日本の地震』(寒川旭監修)などがある。

「2022年 『最期の声 ドキュメント災害関連死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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