- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120052064
作品紹介・あらすじ
30歳の大倉玉青は、人材派遣会社に登録し大手通信系企業の受付として働いている。大学時代は、演劇サークルに所属していた。愛読書の『走れメロス』をバッグに放り込み、苦行のような満員電車に乗り職場へ通うのは、ただ生活のためだけだ。その生活が空虚で、何のために生きているのかわからない。彼女は、5年前の自分の選択に端を発するある「秘密」を抱え、その秘密に関わる者の存在を「希望」と感じながら、日々を過ごしていた――。
女優・執筆活動などで多彩な才能を見せる著者が、「入れ替わり」の起きた姉妹を主人公に現代的テーマに迫った、痛切な「命」の物語。
感想・レビュー・書評
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ずっとゆらゆらと醒めかけの夢の中にいるような、
でもシビアに人の孤独も感じられるような
不思議な物語でした。
他の誰かを羨むことがあったとしても
自分自身を脱ぎ捨てたくなるようなことがあったとしても
主人公は二度と生きることを投げ出さないだろう。
心と身体が揃ってこその、
自分の人生だから。 -
あの女優の中江有里さんがこんなお話を書くとは。興味本位で大した期待もなく読み始めたのだけど、文章もスマートで内容もしっかりとした軸があって不思議な世界にひきこまれまくり。作り物とは思えないほどに完成されたストーリーに感動することしきり。
すごい才能溢れる作家さんとしての別の顔があったんだなぁ。色々と作品読んでみたい。 -
生きる目的を失った主人公の玉青が、植物状態の妹と入れ替わる物語。
他人の人生を自分のものとして生きることはできない。
今まで存在を知らなかった姉妹の、生命や絆を考えさせられる小説でした。
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中江有里ファンです!
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女優であり作家としても活躍されている中江さん、本作もしみじみと良かった。
主人公は人材派遣会社に登録し、大手通信系企業の受付として働いている30歳の大倉玉青。
空虚な毎日を送っていた玉青の身にある日「入れ替わり」が起こってしまう。
現実には有りえない設定と相反して、玉青が抱える過去の秘密や、毎日をただ流されて過ごしている姿にとてつもなくリアルを感じる。
玉青の愛読書『走れメロス』のストーリーが要所要所に良いスパイスを利かせ、姉妹の心情と重なり物語に深みが出ていた。
切なさに溢れているが希望を感じるラストに救われる。 -
とくダネ!で紹介され注目!
多彩な才能を見せる著者が、入れ替わりの起きた姉妹を主人公に現代的テーマに迫った、痛切な「命」の物語。 -
幅広く活躍する著者が、「入れ替わり」の起きた姉妹を主人公に現代的テーマに迫る物語。「読売プレミアム」連載長編、待望の書籍化。