服を作る 増補新版-モードを超えて (単行本)

著者 :
制作 : 宮智 泉 
  • 中央公論新社
3.98
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本棚登録 : 305
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120051968

作品紹介・あらすじ

ファッションというのは物書きでさえ書けない、言葉にできないものを形にする最先端の表現だと思っています。だからどんなに知性があってもファッションをばかにしている人は信用できない。たとえ評論家や建築家であってもです。着ている服でその人が本物かどうかわかります。――本書より

感想・レビュー・書評

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  • ヨウジ・ヤマモトのモノローグ風に仕立てたインタビュー(+幼少期やパリコレなどの写真)、100の質問、それから本人によるエッセイ(?)で構成されている。

    ヴィム・ヴェンダースの映画『都市とモードのビデオノート』は観たが、本書のようなまとまった発言を読みたいと思っていた。

    つねに現状を打破しようと、そのためには今までのデザインを否定してまで変化し続けることを望む人。けれども同時に世捨て人みたいでもあり、その対照が面白い。松尾芭蕉の不易流行を地でいく人。

    ファンとしてはあれやこれやと知れてよかったものの、やっぱり掲載されてるヨウジの服の写真を見たときがいちばん痺れるし衝撃的。ダボっと空気を孕んだようなシルエットがめちゃカッコいい。

    自分も何着か持っていてときどき着るが、なかなか個性的なので場所を選ぶ。また全身ヨウジにしないと、私などのセンスでは他のメーカーの服と合わせるのがかなり難しいところが悩み。靴もしかり。

    そしたら北野武の映画『Dolls』の衣装でも似たような問題が持ち上がっててちょっと笑った。というのも、通行人にまで全員ヨウジの衣装を着せたら、メインの登場人物だけでなくエキストラまで全員個性的になって収拾がつかなくなってしまう問題(いや、見てみたい気もする笑)。だからやむなく主演の2人だけの衣装をデザインしたという話。

    あと、けっこう話題になったらしいけど、1993年にバイロイト祝祭劇場で上演されたワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の衣装をヨウジが担当したそう。しかも演出はハイナー・ミュラー!これめちゃくちゃ観たい。映像残ってないのかな?

  • 山本耀司 のインタビューをさらっとまとめたもの。

    幼少期からの生い立ち。
    父親が戦死し、母親が洋品店をしながら育ててくれる。
    慶応大学に入り、普通の就職をしたくないと、洋服を作る道に入る。そして、パリコレで成功するまで。
    人生として面白い。

    語り口がわかるような、きさくに答えてくれているような雰囲気。

    ゆるがない芯があるはずだけど、それを押し付けようとする感じでもないのが、さらりとしていてかっこいい。

    実際会ったら怖いんだろうなとも思うけど。この本では、自分も言っているように非常に優しい。

    ファッションショーの音楽を自作で作っているのをテレビで見て、正直不思議に思っていたけど(正直昔の日本のフォークっぽくファッショナブルではなかったので)、この本を読んで、山本耀司が唯一ストレスや抑圧から解放される行為が音楽なのだなと思い、納得した。

    この歳になっても第一線というのがやはりすごい。

  • 自分の中で必死になって考え、ものごおを突き詰めていくということが、だんだんなくなった。すぐ見ることができるし、すぐ手に入る。だから、何かに思い焦がれる機会も少なくなった。

  • 世界的デザイナーとして知られる山本耀司。アンチ・モードを掲げる彼は、世間から見捨てられるようなかつての流行に目を向けるなど、現在も鋭い感性でもってファッション界を牽引しています。シンプルであり個性的でもあるデザインの数々を写真で楽しむものから、100の質問にも答えた自伝的エッセイなど、”ヨウジヤマモト”を知るにふさわしい本を集めました。
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    所在記号:589.2||ヤマ
    資料番号:20106959
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  • 山本耀司の半生がわかる本。ファストファッションは低俗なテレビ番組と一緒で、そのとき楽しいだけならいいんじゃない的な言葉が印象的だった。あとお母さん大好きなところとか意外だった。ダーツをななめにいれるってどんなだろ?このひとのブランドの服着たことないけど着てみたくなった。

  • ヨウジヤマモトの凄さを知れた。
    生い立ちやら、服を作るまでの経緯、哲学的なことまで淡々と書いてあった。かっこいい

  • 生い立ちからデザイナーになる経緯、考え方や最近の状況まで、結構な長い年月を、淡々と、だが率直に書かれている。一時期この人の服を着ていたことがあるが、どうしてこういう服になるのか、少しわかった気がする。最近再びこの人の服に興味があるのだが、本を読んで買ってみようかなという気持ちは強くなった。社会人の暗黙のドレスコードは昔より緩くなったし、着る機会も以前より多くなりそうだし。
    着る服は自分がデザインした服ばかりか?の質問に、最近は父の日に娘が買ってくれた、コム・デ・ギャルソンのパンツが気に入ってはいていると答えていた。ここは声を出して笑ってしまった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/726034

  • ヨウジは女性服から始まった。
    母へのコンプレックス。

    去り際の美学。

    間のデザイン。
    空気、風、残像。

    怒る対象がない時代に何をエネルギーにするのか。

  • ヨウジヤマモトを知りたくて読んでみた
    ネットで継ぎ接ぎ情報を見聞きするより、まとまった本として読む方が良いなと改めて実感
    著者にとって女性がどういった存在なのか、なぜレディースからスタートしたのか、よく分かった気がする
    本人はポケットに荷物をすべて入れているらしいというのが印象的だった

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著者プロフィール

1943 年、東京都生まれ。1972 年、株式会社ワイズ(Y’s)設立。1977 年、東京コレクションにデビュー。北野武の映画作品『BROTHER』、『Dolls』等の衣装を手がける。2004 年、紫綬褒章受章。2011 年、フランスより芸術文化勲章「コマンドゥール」を叙勲される。

「2019年 『服を作る 増補新版 モードを超えて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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