風景論-変貌する地球と日本の記憶 (単行本)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120051098

作品紹介・あらすじ

驚異的なテクノロジーの進化によって、どんな遠い場所の様子も手に取るようにわかるようになった。それでもなお、人は見知らぬ土地を歩き、日常と異なる風光に触れるのはなぜか? 
「風景」とは、風と光を全身に包み私たちの知覚を呼び覚ます、世界の経験である。日本や世界のさまざまな土地をめぐり、写真を長く続けてきた批評家は、経験としての風景をとおして「人間がどこから来て、どこに向かうのか」を探究する旅に出た。
風景の誕生、自然、社会、国家、技術革新、「人新世」、現代写真――。新しい文明論の幕が開かれる。

感想・レビュー・書評

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  • (01)
    特に第1章「風景の誕生」は風景やランドスケープを学習する際に手引きとして一読しておきたい内容を含んでいる。
    オランダの干拓の平面性と図や絵のおこり、掘ることや刻むこと、そしてフォトグラフの一方の原義でもあるグラフィーとの関連などは重要な指摘であるといえる。
    第2章の偽装や地貌や、第6章の広場と許容、第7章の地名や殺風景のトピックも合わせて考えたい問題系ではある。
    本書には多くの写真が収められている。風景写真とも報道写真といった類別を拒むような写真で、もちろんそれらは著者の撮影によるものである。話題は、海外、国内、過去も未来も、都市も山野(*02)も、また海にも砂漠にも宇宙にも及ぶ。わりあいに知られていない地名や人名も登場し、本書が置かれたフラットな立場を見ることができる。

    (02)
    第3章の魚付林の話題でピックアップされたフルボ酸と磯焼け、腐植物錯体鉄が示す海と山の関連が敷衍されたとき、日本列島のより人工的な「風景」の形成過程が捉えられるかもしれない。

  • なぜ私たちは風景に魅了されるのか? 風景の誕生、自然、社会、国家、技術革新、「人新世」、写真――。新しい文明論の幕が開かれる

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著者プロフィール

写真家、映像人類学者。多摩美術大学教授。1960年神奈川県生まれ。南米滞在後、パリを拠点に写真家として活躍。1995年より多摩美術大学美術学部で教鞭をとり、現在は同大学情報デザイン学科教授。2006年〈市民の色〉で伊奈信男賞受賞。2007年第52回ヴェネチア・ビエンナーレ美術展における日本館の展示企画コミッショナーをつとめる。

「2019年 『現代写真アート原論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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