- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120050473
作品紹介・あらすじ
中国圏と英語圏の解釈の相違と継承の経緯を分析し、東洋思想の系譜から陰陽論との相互関連を検証、中国戦略思想の成立と発展を読み解く。気鋭の戦略思想家が世界的名著の本質に迫る
目次
第一章 中国の戦略思想の仕組み
第二章 『孫子兵法』の始まり
第三章 孫子から老子へ:中国戦略思想の完成
第四章 孫子を読み解く
第五章 西洋における孫子の後継者たち
第六章 中国の戦略文化
感想・レビュー・書評
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英語圏と中国圏の解釈の相違と継承の経緯を分析し東洋思想の系譜から陰陽論との相互関連を検証、中国戦略思想の形成と発展を解読
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孫子に関する学術書。陰陽、正奇と言った対になる概念をうまく活用して、世界という場を制する。
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孫子を陰陽論を用いて大胆に新説。
孫子の情報が偏りがちななか、論文をベースに自説の展開。
背景が広がるという点で興味深いがやや断定的。 -
孫子の背景にある思想や文化的なものを知った上で孫子を改めて読み解こうという試み。西洋と東洋のものの考え方の違いを指摘していて、そこは中国人だから書けたんだと思う。
孫子の背景にある思想というのはタオイズムなのだが、『道徳経』が先か孫子兵法が先かって議論は面白い。
孫子と道徳経を丁寧に読み比べてみたいのと、西洋の主な戦略の古典は目を通さなきゃと思った。 -
孫氏の西洋的理解と東洋的理解の融合を図る中国人研究者に依る著。
大元には、陰陽思想があり、自然の昼と夜の入れ替わりをベースとした、循環・矛盾をどんな局面でもはらんでいる。戦略面から見れば、精神面、物質面での戦いがあり、前者で勝つのが上とする。兵力を失わず(戦わず)、総力戦などはもっってのか、勝つごとにますます強くなることが第1。また、相手に強さを悟られず、当たり前のように勝っていくように見せるのが肝要。タイミングを見て、また諜報戦を使って相手の弱い時に勝てば当たり前のように勝ったように見える。
一方西洋は戦術論にとらわれ、個別の戦闘に技術的にどう勝つかを重視してきており、どう勝つのが良いのかという点までは クラウゼヴィッツですら至ってなかった(テクニカルには西洋の方が進んでいる)。