グループサウンズ文化論 - なぜビートルズになれなかったのか (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.20
  • (1)
  • (0)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 20
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120050329

作品紹介・あらすじ

タイガース、スパイダース、テンプターズ……。
1960年代後半に絶大な人気を誇ったグループサウンズとは何だったのか。なぜ、彼らはビートルズになれなかったのか? 『アイドル工学』の著者が、グループサウンズの歴史的評価に挑んだ意欲作。
岸部一徳、近田春夫、宇崎竜童、すぎやまこういち、コシノジュンコほか、グループサウンズに関わった音楽家たち、影響を受けた世代との対談も収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 所詮は創造性のないビートルズのモノマネ、そして日本独特の芸能システムの商業主義による歌謡曲路線に取り込まれていった。浜口庫之助の夕陽が泣いているもスパイダースに作ったわけではない。何よりも次の世代にフォロワーがいなかった。

    そもそもみんながみんなビートルズを聴いていたわけではない。洋楽でもモンキースなどの方が人気があった。あくまでもワンオブゼムであり、当時はビートルズ一辺倒みたいに語られるのは後からの記憶の上書きである。

  • 「1968[1]文化」の音楽のパートを本書の著者 稲増龍夫が担当していて、そこから流れて来ました。本書のあとがきでも「1968[1]文化」の出版に触れていて、2018年「1968年半世紀モノ」の相互送客?なにしろ先の本の編者 四方田犬彦と本書の著者 稲増龍夫は「教駒」19期同期ということで、この世代が自分の青春プレイバックとして1968を盛り上げてくれちゃっています。中川右介の「1968」でも一章を使っているザ・タイガースの大ブレイクが1968年(デビューは1967年)で、カルチェラタン、全共闘、GS、少年ジャンプなどなど昨年は祝(?)50周年なコンテンツがワンサカでした。この中で著者はグループサウンズがもたらしたものは、当時の「左翼教養主義」によってビートルズに比べて矮小化されているのではないか?という仮説を持って、その当時の当事者、外から見ていた人々、そして次の世代と対談を重ねています。かなりしっかりとした予見を持ってインタビューするので、噛み合わない人もいるのですが、それが逆に面白かったりします。そもそも日本のロックの起源は「はっぴーえんど」という通説に疑問を呈するとか言っているけど、そもそもそんな通説ってあったっけ?日本語ロック論争のきっかけ、とは知ってるけど…とは自分も感じました。そもそもロックって…という議論もあんまり深くないような読後感。それでも、社会学者である著者の仮説フレーム抜きに、数々の人々のGSを巡る言説はとても貴重です。オリジナル・ラブがネオGSという存在であったことも初めて知りました。GS再評価の流れを作ったのはB級GSをキッチュなものとして光を当てた近田春夫だけではなく、国会図書館に通い詰めての手書きガリ版刷りの「私家版GS DISCOGRAPHY」を作り上げた黒沢進という存在がある、ということも知りました。著者の強固な問題意識は「GSは歴史的に過小評価されている」と語り合った亡き友への責任なのかもしれません。

  • グループサウンズとは何だったのか。『アイドル工学』の著者が挑んだグループサウンズ論の決定版

全4件中 1 - 4件を表示

稲増龍夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×