亀と観覧車

著者 :
  • 中央公論新社
3.09
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本棚登録 : 147
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048524

感想・レビュー・書評

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  • 読むのがしんどかった。スズコの感情や、街の様子がたらたらつづいて斜め読みになってしまった部分もある。私にはスズコがこわい。

  • 面白かった!
    勝手にホッコリ系かなと思ってたら全然違う
    哀しいしけどすごく素敵だと思った

  • ジャケ借り。悲しい話だった。彼女はこの後どう生きて行くのだろう。幸せになれる気がしないのに、幸せになれたらいいなと思った。

  • 哀しい愛情に満ちた小説。
    表現は露骨でストレート、しかもブラック。なのに漂う品の良さ。どんな評価いただこうとも私は好きです。

  • 主人公の、世間知らずと諦観とモラルを容易に飛び越える危うさと懐に入れたものだけへの愛着、全てが相まって、未熟で青く惹きつけるキャラクターになっている。一作を通して、ほぼほぼ体温が低く諦めが入ったトーン。安らぎはあっても薄氷の上。寒々とする読後。

  • 亀甲縛……ではありませんw

    ってな事で、樋口有介の『亀と観覧車』

    定時制へ通いながらホテルの客室清掃のバイトする女子高生の涼子。

    両親は色々とあり二人とも生活保護を受けながらダラダラと生きている。

    そんな生活を脱したい涼子のお話。

    家庭環境もあるかもじゃけど、涼子もちょっと変わった女の子。

    ハッピーな感じのキャラが出てこない西加奈子さんみたいな感じかな(笑)

    2018年44冊目

  • 樋口有介さんの作品を読むのは初めてだったのだけど、ストーリーは衝撃的なのに、終始淡々とした空気感の不思議な小説だった。

    主人公は16歳の涼子(すずこ)。昼間ホテルのベッドメイキングのアルバイトをしながら、夜は定時制高校に通っている。
    涼子の父親は怪我から職を失い朝から晩まで家でダラダラと過ごし、母親は父の失職が原因で鬱病になり(と、本人が言い張っているが恐らく仮病)毎日パチンコ屋通いをしていて、涼子がほとんど家の中のことをしている。
    鬱屈とした日々を送っていた涼子は、学校の友人に誘われて行ったデートクラブ様のパーティーで、60代の作家である南馬と出会う。

    本来なら楽しい女子高生ライフを謳歌しているはずの年齢の涼子は、いわゆる毒親のせいで壮絶な暮らしをしているのに、悲観することなく冷静に自分の境遇を受け入れている。
    だけどいつかは脱け出すことを目標にしていて、そんな時に彼女の人生をがらりと変える出会いを果たした。それが南馬という親以上に歳の離れた作家だった。

    ジャンルとしてはミステリではないと思うけどそういう要素も多少あったり、変化球すぎる恋愛要素も含まれている。だからあまり多くは書けないし、胸糞悪くて気持ちも悪い物語という受け止め方もできそうな小説だけど、なんだかすごく好きだと思った。
    涼子は10代のまま物語は終わるけれど、きっとこの先も彼女は、強く生きていくのだろうと想像ができた。
    個人的にタイトルに惹かれて選んだのだけど、「亀」と「観覧車」は象徴的のような、そうでもないような温度感で登場する。憧れて乗った観覧車はそうでもなかった、そういうことは人生において、多く起こると考えたりした。

  • 自分とは遠い世界の話に思えたが、世の中にはきっと、こんな16歳がいるんだろうな。目を逸らしたくても、現実は確かにそこにある。淡々として、どうにも救われないような感覚がしんどかった。努力をしていないという主人公よりもさらに努力をしていないわたしの、遥かなる平凡な日々に感謝しなければならない。

  • 『涼子(すずこ)』の家は生活保護を受給している。怪我で失業し家から出ない父と、鬱でパチンコ通いの母の世話をしながら、お金を貯めて家を出ることを目標にバイトをしている。そんなある日、夜間高校のクラスメートに誘われた不思議なクラブで、年配の作家だという男性と出会う。

    女子高生の悲壮感の乏しい口調で語られる現実はハードだ。信じられないけど、実際にもあんなろくでもない親もいるんだろうな。確かに公金で生活するのだから、好き勝手はすべきではないとは思うが、親の犠牲にはならないようにできるとよいのだが・・・。
    先生と涼子の関係については、当人同士が納得しているのなら外野がとやかく言うことではないかもしれないが、やはり60も過ぎた男性と女子高生と言うのは気持ちが悪い。

  • 生活保護の両親と暮らす、夜間高校に通うすずこ
    妙に普通でおとなしい性格
    そのすずこが 変わっていく様を
    僕が思うに純文学風に書いた1冊
    惹かれつつも楽しめなかった残念

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著者プロフィール

1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』で第103回直木賞候補。著書に『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の思惑』、「船宿たき川捕り物暦」シリーズの『変わり朝顔』『初めての梅』(以上、祥伝社文庫刊)など。2021年10月、逝去。

「2023年 『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の策略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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