名作うしろ読み プレミアム

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 106
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120048197

感想・レビュー・書評

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  •  『名作うしろ読み』があっさり醤油味なら、『〜プレミアム』はこってり豚骨味。と、斎藤美奈子さんご本人が前書きでおっしゃっている。単なる続編ではなく、前者は日本近代文学中心で海外作品も少々という感じだったが、後者は海外作品多め、ミステリーや時代小説などエンタメ系作品にも範囲を広げたということらしい。
     『〜プレミアム』の方が好きかも〜、と思いながら初めのうちは楽しく読んでいったが、だんだん食傷気味に…。後半は飛ばし読み。図書館で借りた本だし、早く読了したいと思いながら読んでいるからそう感じるのだろう、この本は、書棚に置いておいて、時折会話するように読むのが向いていた気がする。でもこれでこの本と顔見知りにはなれたので、いつでもまた読めば楽しめるさ!と思っている。
     ミステリーのラスト一文も果敢に取り上げていくスタイルはさすがと思った。厳密な“ラスト一文”を避けざるを得なかった作品もあって、そこはニヤッとした。絶妙な匙加減。

  • 『名作うしろ読み』より幅広いジャンルを取り上げた分、衝撃度は少なかったかも。とは言えこの文章量で粗筋と背景と読みどころをおさえてるのはさすが。『不思議の国のアリス』『長いお別れ』『犬が星見た』読みたくなった。

  • たくさんの名作の登場。大好きな横溝正史さんの「八つ墓村」の筆者うしろ読みが良かったです。

  • 「名作うしろ読み」待望の続編!スタンダードな作品が多い印象だった前作に比べ、今回は幅がぐっと広がり、童話に時代物、SF、ミステリーetc…バラエティ豊かなラインナップとなっている。斎藤さん曰く、『名作うしろ読み』が「あっさり醤油味」なら、この本は「こってり豚骨味・トッピング全部のせ」風かもしれない…とのこと。確かにこってり感はあるが、斎藤さんの小気味よいツッコミは健在。そのお蔭で胸やけはしない(笑)
    ただ、なかなかの重量感ゆえか…図書館から借りてきて、嬉々としてすぐ読み始めたのに、なかなか読み終わらず。恋愛の古典もの、少年少女もの、おとぎ話の章までは、知っている作品も多く順調だったのだが、歴史、犯罪、耽美・幻想の章になってくると、「トッピング全部のせ」のずっしり感が…。初めて知る内容が多く、咀嚼し消化するのに時間を要した。読み流したくはなかったので、結構二度三度読みしたかな。『空気頭』『ドグラ・マグラ』『族長の秋』『フランケンシュタイン』など、改めて濃いめの作品群のあらすじを知って「うわぁ…」と思ったが、今回様々なトッピングの豚骨味を堪能できて非常に有意義であった。馴染みのある作品に対しても、「え、そんな解釈が出来るの!?」と新鮮な思いでした。名作って意外と、知ってるつもりで全然知らなかったなぁ、と。
    初めて知った作品で読んでみたいなと思えたのは、武田百合子『犬が星見た』。グロめ&不条理な作品が多かった後半の中で、何だか切ない想いに駆られた作品でした。そして、ラストの一文が印象的だったのは、エミール・ゾラ『居酒屋』、魯迅『阿Q正伝』かなぁ。エンディングにも実に様々な形があって、どんな着地をするかって結構重要だよなと改めて思ったのである。
    前作では全体的に、昔の男のだらしなさがとにかく印象的だったのだが、今回は古今東西の人間の心の裏側の複雑さが際立ったような。見たくないもの見ちゃった、的な。それでも、名作って骨太な作品ばかりだよなと実感しました、さすが「プレミアム」!新聞連載は終わってしまったようですが、またどこかで復活して欲しいです。

  • タイトルしか知らない名作は数多くあって、その名作がどんなものなのか2ページ足らずでぐっと興味がわいて面白かった。
    敷居が高いと思う名作たちを軽い気持ちで読んでみたいと思えた。

  • 名作の書き出しやあらすじを紹介される機会は数あれど、ラストの1行に焦点を当てたものは初めて読みました。
    ミステリーで「ラスト1行でどんでん返し」のような作品があるくらいでしょうか。

    ラスト1行に注目した評価が面白いというより、未読の名作のあらすじや作家の来歴を知るのが面白い著作でした。

    海外文学はいちど読むと別訳で読み返そうとは思いませんから、おとぎ話の項は特に面白かったです。

    文体が古かったり語彙が難しかったりで読む気になれない作品も、見開き2ページで知った気になれる、お得な1冊。

  • 最後の文章から作品を読み解く。読み落としの作品。あらためて紹介されると、機会を見て読みたくなる。何冊かチェックする。

  • いつか読もう、から、いま読みたい!になってしまった本が続出。斎藤美奈子おそるべし。

  • 本の本

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著者プロフィール

1956年新潟市生まれ。文芸評論家。1994年『妊娠小説』(筑摩書房)でデビュー。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で小林秀雄賞。他の著書に『紅一点論』『趣味は読書。』『モダンガール論』『本の本』『学校が教えないほんとうの政治の話』『日本の同時代小説』『中古典のすすめ』等多数。

「2020年 『忖度しません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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