- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120047930
作品紹介・あらすじ
『となりのトトロ』から『思い出のマーニー』まで、スタジオジブリでアニメーターとして働いた著者による27年間の回顧録。
感想・レビュー・書評
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スタジオジブリの制作部解散まで動画チェックといういわば裏方仕事に従事した女性スタッフの回想録。
いかにも宮崎駿っぽいエピソードだなあ、という話がたくさん入っていて非常に面白かった。
半ば神格化されたような感もある宮崎駿だけれど、いちファンからしてみればパワハラがヒゲはやしたような、癇癪持ちですぐ前言をひっくり返す、共同体のスタッフにとっては上司というかトップに君臨する人として悪夢のようにやりにくい人物だろうなあ、と思っていたので、まあ大体合っていた。
特に、水鳥に向かって「おまえ、飛び方まちがってるよ」と言ったエピソードは、彼の本質を表している非常に興味深い一節。
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広報誌「熱風」連載なので、幾重にもチェックが入っており、教科書的で味はマイルド。
動画チェックといいう中間管理職的な仕事。
駿が水鳥に向かって「お前、飛び方間違ってるよ」えええーっ、という挿話は少し面白い。 -
著者は宮﨑駿と一緒に、ジブリで長く働いた人。アニメ、というか宮崎映画がどのように作られるかには興味があったし、組織の中で働く職人、という視点からも面白かった。気持ちがわかる分、そうとう痛くもあるけれど。
ジブリの広報誌に書かれたものだそうだから、言えないこともたくさんあるだろう。それはよくわかっているが、かつて手のつけられないほど面白かった宮崎映画が、最近ちっとも面白くないどころか、筋が通ってなくて何やってんの、と思うことすらある理由がどこかにちらっとでも書いてあるかな、と思ったがやっぱりなかった。
中のひとたちは相変わらずおもしろいと思っているのかなあ。だとしたらそれが問題なのかもしれない。 -
スタジオジブリで長らく動画チェックを担当してきた舘野仁美さんのエッセー。宮崎アニメはよく見ているが、動画チェックの仕事については初めて知った。原画と動画、動画と動画の間が滑らかに繋がっているか、それをチェックする作画の品質管理の仕事。本当に地味な仕事で鉛筆の線一本一本を確認し、調整や修正をしていく。でもこれがないと美しいアニメにはならない。調整するのは作画だけではなく、現場スタッフの間も調整している。監督の意向や現場の考えや都合を理解し、最も良い方法を探している。縁の下の力持ち。その力と情熱に頭が下がる。アニメは人を楽しませる仕事であるが、その制作現場は壮絶な戦いの場(?)であることがひしひと伝わってくる。
いつも宮崎駿さんのそばにいたため、宮崎さんをはじめ、ジブリのスタッフの人間模様やエピソードも面白い。 -
スタジオジブリのアニメーター舘野仁美さんの回顧録。
本書を読むまでこの方のことは知らなかったけれど、仕事に対する誠実さがとてもよく伝わる素敵な本だと思った。
舘野さんは主に動画チェックという仕事を担当されていたようだ。
動画チェックという仕事について詳細を全く知らなくても大丈夫。
読み終わる頃には動画チェックがどんな仕事なのか、どれだけ大切な仕事なのか、どんなところが大変なのか、なんてことまですらすら言えるようになってしまう。
いや本当に、中間管理職というかなんというか、大変なお仕事なのですよ。
詳細は是非お読みください。
そして、スタジオジブリの魅力的な天才達のエピソードも盛りだくさん。
1番多いのは宮崎駿監督のエピソードで、本当にすごい人だなぁと感じた。
ただ、一緒に働きたいかと聞かれたら…ちょっと…悩む。
残念だったのは、高畑勲監督のエピソードが少なかったこと。もっと読みたかったなぁ。
私はジブリ作品が好きだし、ジブリの映画作りの話が好きだ。
もっともっとたくさんの人がこういう本を書いてくれたら嬉しいのにと思ってしまう。
そういう読者がいるということが、作り手の皆さんに届きますように。
どうかどうかお願いします。 -
ジブリで動画チェックをしていた著者の回顧録
アニメ制作一般の話や、特にジブリでは原画より動画を重視していたことなど
またアニメーターの仕事ぶりや一般的なキャリアの話など。
宮崎駿の話で印象に残ったことは、
-水鳥に向かって「お前飛び方間違ってるよ」と言った
-森繁久彌に対する演出で「リア王を思い出して」と指示
即ち、アニメーターになるためには幅広い教養があり、さらに現実世界よりも一歩進んだくらいの世界が見えていないと一流にはなれないということがわかる。
興味深いエピソードが満載で、読み易く面白かった。 -
テレビで宮崎さんの仕事風景を撮った番組をみたことがあるが、この作者も確実に出てたんだろうなあ。私が思う数少ない天才である宮崎駿の一端が垣間見れる作品。結局、「風立ちぬ」がさいごの作品にはならないようだが、この作者も?
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■書名
書名:エンピツ戦記 - 誰も知らなかったスタジオジブリ
著者:舘野 仁美
■概要
『となりのトトロ』から『思い出のマーニー』まで、スタジオジブリ
でアニメーターとして働いた著者による27年間の回顧録。
(amazon.co.jpより引用)
■感想
スタジオジブリで働いてきた人の目線で観た宮崎駿とジブリという会社です。
ジブリという会社も例にもれず、上と下からの違った指示での板挟みという
のが頻繁にある会社というのが読んだ第一印象でした。
宮崎さんがどういう人とかは色々な所で書かれているので、正直どうでもいい
のですが、一社員から観たジブリという会社はどうなのか?というのは興味深い
所でした。
天才・宮崎駿、虎の威を狩る・鈴木、一般受けしない天才・高畑を、今までとは別の
視点で見ているのは面白かったですね。
まあ、社員なので悪く言うわけは無いのですが、それでもコメントから想像するに
恐らくこんな位置づけなんだと思います。
・鈴木、高畑は内部で威張り散らし、裸の王様という存在
・宮崎は自分にも他人にも厳しい態度であったけど社員と近しい存在
この本自体、ジブリのチェックを通過して出版されている以上、自分たちに都合の
悪い事実は伏せているでしょうが、それでも読んでいて上記のように感じました。
先入観を廃除したとしても、やはり上記のように感じました。
宮崎さんの新作、作るみたいだけどどうなるのかな・・・・・
■気になった点
・本当にやりたいなら1回や2回没になったくらいであきらめるな。
・この世は理不尽に満ちています。 -
宮崎駿って、やっぱり変…(笑)
私にとっては憧れのアニメスタジオという仕事場。
でもこちらの本を読んで、どんな仕事でも「人間関係」って大変なんだな…と感じました。
アニメスタジオであっても、それが天下のスタジオジブリであっても、そこで働く人々は皆同じように「仕事」をしている。
人生って大変だ…。
素晴らしい作品を生み出しているスタジオジブリですが、監督達の「エンピツ」として(この「エンピツ」という喩えが良いですね)作品を作られた方達も並々ならぬ苦労があったのですね。