欧米に寝たきり老人はいない - 自分で決める人生最後の医療

著者 :
制作 : 宮本 礼子 
  • 中央公論新社
3.71
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本棚登録 : 286
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047305

作品紹介・あらすじ

職員も受けたくないと言う「苦しみの多い終末期医療」。救急救命センターは高齢者でいっぱいのなぞ。ドッキリ!自然な看取りなのに警察が介入。欧米の高齢者医療は、苦痛の緩和とQOL向上。世界の非常識!?終末期高齢者への人工的水分・栄養補給。胃ろうで生かされるのはだれのため?医療サイト「ヨミドクター」で大反響を呼んだブログに大幅加筆・増補!

感想・レビュー・書評

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  • アンケート調査を医療従事者にも患者家族にも行っていて現状の生の声が確認できる良著
    終末期医療における延命治療の是非について
    日本の延命至上主義と人生の最期について話し合わないこと、延命治療を行わない場合に遺族から訴訟を起こされる可能性があること、高齢者の尊厳が損なわれていることなどを上げている
    オーストラリアでは18才から終末期の医療の希望を記す事前指示書を書くことができる、大切な人を亡くした場合のグリーフケアが1年受けられるという。
    日本のように終末期の高齢者に濃密な医療を行う状況から、点滴などもせず食べられるだけ飲めるだけという諸外国の対応とできるかどうか 胃瘻を作るのは日本独特であること

  • 人工呼吸器や胃ろうなどの延命治療が自然な死を如何に妨げているかが良く理解できた。日本の医療制度を崩壊させないために、何より人生の最後を迎えるお年寄りに辛い思いをさせないために、延命措置をやめるべきだ。素晴らしい啓蒙書。

  • 欧米に寝たきり老人はいない。
    なぜならば、食べられなくなったら、そのまま死を迎えることができるから。
    本人も、家族も、医師も、それが当然だと受け止めているからである。

    日本の場合はそうはいかない。
    胃に穴を開けられ、気管を切開され、腕を縛り付けられて、意識がなくなっても、濃厚医療を受けさせられながら、そのまま生きていかなければならない。
    意識がなくても痰の吸引は苦しく、からだをビクつかせて苦しむため、まるで拷問しているかのようだという。

    そうやって何年も生きなければならない。
    本人が、食べられなくなったら、そのままゆっくり死んでいきたいという自然死を望んでも、そうはならない。

    日本人の8割は病院で亡くなるわけだが、最後の場面がどのようになっているか、その実態がとてもよくわかる。
    現場関係者はそれが当たり前だと考えているが、そうである必要はどこにもないことも。

    年老いた両親を抱えている人、自身が高齢期にさしかかっている人は、ぜひ読んでおくべき本である。

  • このレビューを書く時点でかなり個人的な事情もあり★が5つも付いてしまった。
    長年、認知症・難聴・老齢の父を介護してきたが、その父を老人ホームに入れたばかりで、父の最期を覚悟している。
    父が元気な時は二人とも「意識が無くなって回復の見込みが無いなら延命措置はしないで欲しい」と言っていた。
    胃瘻(ろう)、深部への点滴、痰を切るための喉パイプなどの姿になるのはまっぴらごめんだと言っていた。
    それを医者や介護スタッフへ言わねばならない自分へ「どんな状態でも長生きを願うのが親孝行の子どもでは?」と良心の呵責を感じていたが、この本を読んで救われた。
    そして、覚悟が決まった。
    父の尊厳を、父の意志を最優先する。
    長生きさせることが親孝行、という固定観念が消えた。
    非常に良い本だった。
    著者のご夫婦、宮本顕二さん、宮本礼子さんに感謝!

  • 医師夫婦が日本の終末期医療について、疑問を呈している。

    日本では延命治療を望まない患者が多いにも関わらず、その意思を尊重できない現状がある。欧米では老人は寝たきりになる前になくなるので、寝たきり老人がいないという。
    実際に著者が海外の足を運んでもいる。

    日本では患者が延命治療を拒んでも延命治療を打ち切ったことで医師が法で裁かれる可能性があったり、家族がそれを許さなかったりする事情がある上、介護施設などで受け入れる際、胃ろうを造らなければ、入れなかったりと問題が多いことはわかった。
    ただ、著者の主張が、何度も繰り返されているので、読み疲れる部分があった。

    欧米では楽しくなければ生きていても意味がないと考えるようで、生きながらえさせるためだけに食事や栄養を無理やり流し込むことは、むしろ虐待と考えられているそうで、なるほどと思うと同時に、日本の医療が進んでいるのか遅れているのか、よくわからなくなった。

    日本では命はどんなことをしてでも救え的な考えがあり延命措置を止めることに対する抵抗は医療関係者に限らず強いのだろう。

    患者の親族が、生きていてくれるだけでいいという想いはわかるが、本人の意思を無視し、管だらけで苦痛に耐えさせるというのは親族のエゴでしかないように感じてしまった。

    昔のように、自然な流れで往生させるという看取りができないということは、患者本人にとって、死ぬこともままならない、人生の最期で、拷問を受けているようなものではないかと考えさせられた。

  • 色は最近聞かないがまた行っているかどうか ヨーロッパアメリカに寝たきり老人がいないのは 金銭的な問題が 大きいのではないかも 考えるきっかけとしてはあまり参考にならない

  • 欧米に寝たきり老人はいないー自分で決める人生最後の医療
    著作者:宮本顕二
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • 延命治療、自分は受けたくないと今は思う。
    でも、親にはしてしまうのだろうか?
    そして子は私に延命を望むのだろうか?
    答えはない。
    死ぬのは怖い。
    でも苦しむのも怖い。

  • 実際に経管栄養で延命している人を見ると必死に生きているということが分かると思う。その状態に至るには十人十様の事情がある。十把一からげに論ずるのは危険。僅かだが回復する可能性があると医師に言われれば、本人が判断できない状態なら本人に代わって何らかの処置をお願いするのが人というもの。
    尚、欧米にも経管栄養で延命している人は国により異なるが20〜60%はいるとネットに書かれていた。

  • 死を自分の事として考えると参考になる本です。

    今後生きていく上で考えるのは
    他人に対し判断に迷った時、「自分がして欲しい事を他者にも行う」裏を返せば、"自分がして欲しくない事は他人にもしない"ではないでしょうか。

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著者プロフィール

宮本顕二

1951年生まれ、北海道出身。独立行政法人労働者健康福祉機構 北海道中央労災病院名誉院長。北海道大学名誉教授。日本呼吸ケア・リハビリテーション学会理事長。内科医師。北海道大学医学部卒業。同大学大学院保健科学研究院教授を経て、2014年に北海道中央労災病院院長就任後、現職。

「2021年 『欧米に寝たきり老人はいない 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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