NOVEL 11, BOOK 18 - ノヴェル・イレブン、ブック・エイティーン

  • 中央公論新社
3.59
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本棚登録 : 384
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047121

作品紹介・あらすじ

この世で最も素晴らしい幸福とは短い幸福であるということが、ビョーン・ハンセンには心の底でわかっていた。ノルウェイ文学界の最も刺激的な作家ソールスター。巧妙なストーリーテリング、型破りな展開、オリジナリティ際だつその小説世界を村上春樹が初めて日本に紹介する-

感想・レビュー・書評

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  • とにかく不思議な小説。翻訳した村上氏もあとがきで書いているが、こんな物語を読んだのは初めて。だから最初に読んだ時の驚きを今でもよく憶えている。すげぇーと。
    この小説は、主人公と関係のある人達との物語と言える。愛人で後のパートナーとなるツーリー・ラッメルス。主人公の一人息子のペーテル・コンピ・ハンセン。親友のヘルマン・ブスク。後に彼の奇想な行いを手伝うメッツ医師など。他者と自己との関係を通して主人公の思考や思いが浮き上がる。物語の後半で主人公の奇想が実行に移されるのだが、この不思議な物語を通すとそれほど奇抜に思えないのだ。そのように帰結することに、読者はふっと投げ出されるも、投げぱっなしとならない妙な納得を覚えてしまう。

  • ビョーンという男の人生を描くノルウェー文学。ほとんど大したことは何も起きないのだが、不完全な人間の生活が淡々と描かれている感じ。オモロイかというとよくわからないが、一気に読めちゃう。
    前半は主人公が不倫相手を追って妻と息子を捨てて、新たな街で暮らす編、後半はその街に大学生になった息子がやってきて共に暮らす編。最後は事故で下半身麻痺になったフリをするという謎の作戦を決行する。

  • 斜め読み
    で、
    いったいナニが起きるんだ?
    と、
    ラストまで。

    「何かあと戻りできないこと」
    達成できたわけだ。
    続編は、、
    いいや

  • 話の筋立てもオチもないのに何やら読み終えた不思議な物語。翻訳者の村上春樹さんによれば続編があるらしく、確かにこの後がどうなるか気になるところであるが、この作家が話を収拾できるとは到底思えない。でも続きや別の作品も読んでみたいと思わせるということは間違いない。73

  • 訳者の村上春樹が後書きで語っているように、「よく訳がわからない。けれどとにかく面白い。」小説でした。主人公は社会的にはエリートなのに、簡単に妻や幼い子供を棄てる。二十歳になった息子と再会し、父親としてはズレた視線で自分とよく似ている息子を観察する。そしてとても普通の人は考えない事をして人々を欺く。かと言ってたいして後悔しているようにも感じられない。これは犯罪だよなぁ。それにしても動機がわからない!

  • 文学

  • 夢中になって読んでしまった。
    奇妙な小説であることは確かだが、
    なんと言えばよいのか、
    訳者あとがきで村上春樹さんが「コンサバな衣をまとったポストモダン」とおっしゃっているが、
    うまいこと言うな、さすがだな村上さん。
    こんなにおもしろいのに、
    この作者の著作は日本にはまだ一冊も紹介されていない、
    この作品が初めての日本語訳。
    ノルウェイ語からの日本語翻訳者ってそうはいないだろうな。
    今回英語からの重訳に二の足を踏んでいた村上さんに思い切ってもらえたおかげで、
    本書と出会えたことに感謝。
    続編もあるらしいが、英訳すら出ていないらしい。
    日本語訳はいつ読めるのだろう。
    待ち遠しい。

  • 章立てがなく、1冊切れ目なくつづくお話。

    なんとか読み終えたけど、ねじれながら「Life goes on」な話がとりとめなくつながっていく感じ。

    転帰も意外性は少なかったかも。

  • 初めて読むノルウェー人作家の作品であり、村上春樹による翻訳。

    前評判通り、読み終えた今感じるのはこれが非常に不思議な読後感を与えてくれるということである。その要因の一つは極めて心理描写の少ない叙述スタイルも相まって、登場人物のそれぞれが本心で何を考えているのかが全く分からず、かつそれが登場人物同士間でもそうである、ということである。主人公の50歳の男を中心として、その愛人、前妻との間の大学生になる息子、友人の医者が登場するが、そのそれぞれが固有の世界で生きており、同じ時間・空間を過ごしているはずなのにガラス板1枚を隔てたているかの如く、そこにはお互いの理解を拒む何かが存在している。そうした薄気味悪さにも関わらず、ここでの登場人物はそれを自明のことのように見なして生きていること、そこにこの小説の面白さがある。

  • ストレンジな小説。よくある不倫、離婚、不倫相手との結婚、その結婚した不倫相手の不倫、離婚、奇妙な共犯者(ヤク中医者)との出会い(ここらへんがファンタジーで、「現実との微妙なズレ」の一つの要因だろう)、元元妻との間の息子との共同生活(ここが一番面白い。ビョーンの目を通した、洞察した彼の息子の描写が)、共犯者と示し合わせた通り、下半身不随者のふりをした孤独な生活を送ろうとするところで終わる。奇妙なズレの感覚が、非常に心地よい。

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